更新日:2026年2月25日
肩こりからくる吐き気や頭痛の原因は?つらい症状で疑うべき疾患と対処法

「肩こり」に吐き気までともなう場合、体は何らかの異変を知らせようとしているのかもしれません。「これってただの肩こりじゃない?」と不安になる人も多いでしょう。症状の改善のためには、まずその原因を正しく理解することが大切です。
この記事では、なぜ肩こりが吐き気や頭痛を引き起こすのか、そのメカニズムを詳しく解説します。さらに、めまいやしびれなどの随伴症状*、医療機関を受診すべき危険なサインの見極め方、そして日常生活で実践できる対処法や予防法をご紹介します。
*随伴症状:ある病気や症状に付随して現れる他の症状のこと
監修
竹谷内 康修 先生
竹谷内医院 院長
INDEX
肩こりと吐き気が同時に起こる原因と理由
現代では、多くの人が肩こりに悩まされています。厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、自覚症状のある人の割合(有訴者率)の上位5症状のうち、男性では肩こりが2位、女性は1位と、性別を問わず身近な不調として挙げられています。
しかし、不快感は肩だけにとどまらず、場合によっては吐き気をともなうことも。ここでは、肩こりがなぜ吐き気を引き起こすのか、そのメカニズムと特徴を解説します。
肩こりが引き起こす吐き気のメカニズム

肩こりによって吐き気が生じる背景には、主に「緊張型頭痛」と「自律神経の乱れ」が深く関係している可能性が高いと考えられます。
長時間同じ姿勢を続けたり、精神的なストレスが過度にかかると、後頭部から首や肩にかけての筋肉が持続的に緊張し、筋肉疲労を引き起こします。すると、筋肉内に乳酸やピルビン酸などの痛みを生じさせる物質が蓄積して血流が悪くなり、首や肩のこりが生じて、頭蓋骨周囲の筋肉を収縮させ、神経を刺激することで頭痛を引き起こします。こうした筋肉の持続的な緊張によって起こるのが、緊張型頭痛です。緊張型頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが特徴の「片頭痛」とは異なり、頭全体が締めつけられ、圧迫されるような鈍い痛みが続く特徴があります。このタイプの頭痛の随伴症状として吐き気が現れることがあり、頭痛・肩こり・吐き気は関連していると言われています。
さらに、首・肩まわりの筋肉の異常な緊張は、全身の機能をコントロールする自律神経のバランスを乱す一因にもなります。筋肉のこわばりによる血流悪化や、筋肉から発せられる異常な信号が脳に伝わり続けることで、自律神経の働きに影響が及ぶのです。自律神経は胃腸の動きもコントロールしているため、バランスが崩れると胃の不快感や吐き気といった消化器系の症状として現れます。
このように、肩こりに由来する緊張型頭痛や自律神経の乱れが、肩こりと吐き気が同時に起こる主なメカニズムと考えられるのです。ただし、肩こりにともない頭痛が起こるケースは多いものの、必ずしも頭痛を引き起こすとは限らず、肩や首の強いこわばりだけで吐き気が現れることもあります。
・肩こりによる症状の進行
肩こりが原因で起こる症状は、進行度によって段階的に変化します。
【初期段階】
- ・首・肩の重だるさ、違和感
- ・軽い疲労感
この段階であれば、ストレッチや入浴、姿勢の見直しなどのセルフケアを行うことで改善が期待できます。
【中期段階】
- ・慢性的な肩こり
- ・緊張型頭痛、軽度の吐き気
中期段階になると、セルフケアに加え、整体やマッサージ、生活習慣の見直しが有効です。
【重度・慢性化】
- ・強い頭痛や吐き気、自律神経の乱れによる不眠・動悸
- ・手足のしびれ、集中力低下
ここまで進行している場合は、医療機関での診断や治療が必要です。整形外科や神経内科へ相談しましょう。
吐き気をともなう肩こりの背景
吐き気をともなう肩こりの背景として、主に2つの要因が考えられます。それぞれ見ていきましょう。
・長時間のパソコンやスマートフォンなどの使用

うつむき姿勢で画面を長時間見続けることで、首や肩の筋肉の強い緊張や眼精疲労が生じます。こうした緊張は血流の低下を招き、肩こりを悪化させるだけでなく、緊張型頭痛を引き起こしたり、自律神経のバランスを乱したりします。
・精神的ストレス
仕事上のプレッシャーや人間関係の悩みなど、精神的なストレスも肩こりと吐き気を誘発する大きな要因です。ストレスがかかると、無意識のうちに全身の筋肉がこわばり、緊張型頭痛が悪化しやすくなります。さらに、不安感や抑うつといった精神的な不調、あるいは自律神経の乱れが生じることで、吐き気などの身体症状として現れることも少なくありません。加えて、ストレスにともなう睡眠不足は心身の緊張を回復させにくくし、症状をさらに悪化させる要因になります。
- <眼精疲労を感じたときにおすすめのアリナミン製品>
肩こりが引き起こす吐き気、頭痛以外の症状
重度の肩こりは、吐き気や頭痛にとどまらず、さまざまな不快な症状を引き起こすことがあります。これらの症状は、肩こりを放置することで体のバランスが乱れているサインである場合も。ここでは代表的な随伴症状である「めまい」と「しびれ」、そして医療機関の受診を強く推奨するケースについて解説します。
めまい
肩こりと同時に「ふらつき」や「浮遊感」といった、回転しないタイプのめまいを感じる場合、首・肩こりが原因で起こる「頚性(けいせい)めまい」が疑われます。「上を向く」「急に振り向く」など、特定の首の動作で症状が強くなる場合は、首の状態が悪化しているサインです。放置せず、専門医への相談を検討しましょう。
しびれ

肩こりとともに腕や手のしびれや力の入りづらさがある場合は、頸椎(けいつい)の変形などによって神経が圧迫されている可能性があります。筋肉の緊張が進むと、首の骨である頸椎の負担が増し、骨の間から腕へ伸びる神経(神経根)が圧迫されやすくなります。長時間の不良姿勢や加齢によって頸椎に変形が生じると、神経の通り道が狭くなり、しびれや違和感を引き起こします。
よくある症状の例
- ・首から肩甲骨、腕にかけて痛みが走る
- ・指先や手全体のしびれや痛み
- ・触ったときの感覚が鈍い
- ・手や指に力が入れにくい
片側の腕だけに症状が見られる場合は、脳ではなく首の神経に原因がある可能性が高いと考えられます。ただし、脳梗塞などの疾患でも片側に症状が出ることがあるため、自己判断は避けることが重要です。また、神経症状が疑われるケースでは、セルフケアでの改善は難しく、放置すれば悪化する恐れも。速やかに専門医の診察を受けましょう。
- <手のしびれの緩和におすすめのアリナミン製品>
医療機関の受診が必要なケース
肩こりや頭痛、吐き気が同時に現れる場合、重大な疾患が隠れている可能性があるため、慎重な判断が必要です。中には、肩こりが原因ではない疾患が吐き気を引き起こしているケースもあり、見過ごすと危険なケースも。以下の症状が出ていないかどうか、チェックしてみてください。
【危険なサイン!セルフチェックリスト】
- □ 突然、後頭部をハンマーで殴られたような激しい頭痛が起きた
- □ 吐き気や頭痛が急激に悪化し、我慢できない
- □ 手足の片側だけにしびれや麻痺がある、力が入らない
- □ ろれつが回らない、言葉がうまく出ない
- □ 物が二重に見える、視野が欠ける
- □ ひどいめまいでまっすぐ立てない、歩けない
- □ 安静にしても痛みが治まらない、夜も眠れないほど痛い
- □ 肩や背中の痛みに加え、胸の痛みや圧迫感、息苦しさがある
- □ 発熱や悪寒がある
- □ 時間の経過とともに痛みやこりの範囲が広がっていく
これらの症状は、くも膜下出血や脳梗塞、脳腫瘍といった脳の疾患、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気、あるいは頸椎の重篤な障害など、緊急性の高い疾患のサインである可能性があります。また、激しい吐き気や嘔吐は、胃腸炎や腸閉塞、髄膜炎などの感染症が背景にある場合も。「肩こりのせいだ」と思い込んでしまうと、病気の発見が遅れる危険性があるため、一つでも当てはまる場合はためらわずに医療機関へ。判断に迷うときは、かかりつけ医や整形外科に相談してください。
日常生活で実践できる肩こりの対処法
吐き気をともなうほどのつらい肩こりを防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが非常に大切です。ここでは、日常生活の中で無理なく取り組めるセルフケアの方法をご紹介します。
姿勢の改善と簡単なストレッチ
・作業環境
パソコンやスマートフォン、タブレットなどを長時間連続して使う作業は、首・肩への負担が大きくなります。一連続作業は1時間以内にとどめ、10~15分の休憩を取ることを心がけましょう。また、椅子・机・モニターの高さを体に合わせたり、猫背や頭部が前に出る姿勢を避けたりすることで、負担を大きく軽減することもできます。
・ストレッチ
肩甲骨まわりの可動域を広げ、首〜背中の筋肉を緩めるストレッチは、筋肉の緊張の改善に効果的です。以下の3つを連続して行うことを毎日・1セットとして、無理のない範囲で実践してみてください。
❶首の後ろ側を伸ばすストレッチ
右手を頭の左後ろに添え、ゆっくりと頭を前に倒して、首の後ろ側を伸ばす(左手で反対でも行う):左右1分ずつ
❷首の前側を伸ばすストレッチ
右手で左肩側の首の付け根を押さえ、首を右後ろにそらして、首の前側を伸ばす(左手で反対でも行う):左右1分ずつ
❸胸を開くストレッチ
姿勢は椅子に座っても、あおむけに寝ても、どちらの体勢でもOK。
座って行う場合は、両手を背中の後ろで組む、または左右に大きく広げて腕を伸ばし、胸を開くようにストレッチする。
寝て行う場合は、バスタオルを2~3枚かために巻いて筒状にし、後頭部から腰にかけてのラインに敷いて仰向けになる。次に、両腕をひじが90度に曲がるように開き、手のひらを上に向けて「小さなバンザイ」をして胸を開く。そこから両手を真上に「大きなバンザイ」をするように伸ばす:1分

温めたタオルや入浴による血行促進
首・肩を温めることで筋肉が緩み、血行促進が期待できます。特に、就寝1~2時間前に40℃のお湯に10~15分浸かる入浴は、血管を拡張させて全身の血液を改善する他、疲労回復やリラックス効果、深部体温の調整による睡眠の質向上、自律神経の安定など多くのメリットがあります。全身浴だけでなく、半身浴でも効果が期待できます。
市販薬の活用
セルフケアを試しても改善しないつらい肩こりや、それにともなう痛みには、市販薬を活用する方法もあります。肩こりの緩和の効果がある市販薬には、次のようなビタミン類がよく配合されています。
・ビタミンB群(B1, B6, B12)の働き
ビタミンB1は糖質の代謝をサポートし、エネルギー産生を助けることで疲労の回復を促すと考えられています。不足するとエネルギーが十分に作られず、肩こりや筋肉痛につながることがあります。
ただし、ビタミンB1は体に吸収されにくい性質があります。そこで、ビタミンB1を吸収しやすくしたのがビタミンB1誘導体である「フルスルチアミン」です。市販薬にはフルスルチアミンを配合した製品もあり、こうした製品を活用するのも一つの方法です。また、ビタミンB6やビタミンB12も神経の機能維持に重要とされています。
・ビタミンEの働き
ビタミンEには末梢血管を広げて血行を促進する働きがあります。血流が改善されることで、筋肉に酸素や栄養素が届き、老廃物を排出しやすくなります。その結果、筋肉の緊張が和らぎ、肩こりの症状緩和に役立つとされています。
これらのビタミン類は本来、食事によって摂取するのが理想ですが、つらい症状があるときや忙しくて食生活が乱れがちなときは、ビタミンを配合した市販薬を服用するのも一つの方法です。
- <フルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)や他のビタミンB群を配合したアリナミン製品>
肩こりと吐き気の予防法
つらい症状を一時的に和らげるだけでなく、肩こりや吐き気を繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直し、根本的な原因にアプローチすることが大切です。ここでは、健康的な体づくりのために意識したい4つのポイントを紹介します。
栄養バランスを考えた食生活

丈夫な筋肉やスムーズな血流を維持するためには、栄養バランスのよい食事を規則正しく摂取することが大切です。主食・主菜・副菜をそろえつつ、五大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)を過不足なく取り入れましょう。
- ・たんぱく質:筋肉の材料となる重要な栄養素。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れるのがおすすめ。
- ・ビタミンB群:筋肉や神経の疲労回復を助ける栄養素。豚肉、うなぎ、玄米、レバーなどに多く含まれる。
- ・ビタミンE:血行促進作用があり、肩こり緩和をサポート。ビタミンEが含まれる代表的な食品は、ナッツ類、かぼちゃ、植物油など。
- ・体を温める食材:ショウガやネギ、根菜類、発酵食品などは、体を内側から温め、血行促進に役立つ。
適度な運動習慣
運動不足は筋力低下や血行不良につながり、肩こりを悪化させる大きな要因です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、全身の血流を促し、筋肉の柔軟性を高めるだけではなく、ストレス解消にも効果的。毎日少しでも体を動かす習慣を取り入れましょう。
ストレスの軽減
ストレスがたまった状態が続くと交感神経が優位になり、筋肉がこわばって血管が収縮し、肩まわりの筋肉の緊張や血行不良が悪化してしまいます。そうならないためにもストレス対処の基本である「3つのR」を意識して、心身をリラックスさせましょう。
・レスト(Rest):休息、休養、睡眠
「しっかり休む」ことは、ストレスケアの基本です。仕事の合間に短い休憩を取って席を立つ、週末はなるべく仕事のことを考えずにゆっくり過ごすなど、意識的に休息時間を確保しましょう。また、質の高い睡眠も日中に受けた心身のダメージを修復するために必要です。
・レクリエーション(Recreation):趣味や気晴らし
趣味やリフレッシュできる時間は、気持ちの切り替えに大きく役立ちます。運動や旅行、映画鑑賞、読書など、自分が「楽しい」と感じることに没頭する時間を積極的に取り入れましょう。
・リラックス(Relax):心身の緊張をほぐす
軽いストレッチや深呼吸、音楽、アロマなど、心と体の力を抜く時間をつくることも効果的です。自分に合った方法で、その日のストレスはその日のうちに対処することを心がけましょう。
睡眠の質の向上
睡眠不足や浅い眠りが続くと、筋肉の緊張が十分に回復せず、肩こりを翌日に持ち越してしまいます。以下のポイントを参考に、快眠につながる習慣を整えてみてください。
・自分に合った寝具を選ぶ
枕の高さやマットレスの硬さは、睡眠中の姿勢に大きな影響を与えます。朝起きたときに首・肩に痛みを感じる場合は、寝具が合っていない可能性が高いです。タオルなどを使って微調整し、自分にとって最もリラックスできる環境を整えましょう。
・朝に太陽光を浴びる
朝の光は体内時計をリセットし、睡眠を促すホルモン「メラトニン」のリズムを整える働きがあります。毎朝決まった時間に起きて日光を浴びる習慣をつけると、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。一方で、就寝前のスマートフォンなどの強い光はメラトニン分泌を妨げるため、寝る1~2時間前には使用を控えるよう心がけましょう。
さらに、睡眠の質を高めるためには栄養面も欠かせません。睡眠に必要なセロトニンやメラトニンの合成や代謝には、ビタミンB6、マグネシウム、ナイアシンなどが関与しています。これらの栄養素をしっかり摂取することで、体内のリズムを整え、深い睡眠をサポートできます。
他にも、日中に適度な運動をしたり、夕方以降は覚醒作用があるコーヒーや緑茶、チョコレートなどの摂取を控えたりするのもおすすめです。
- <栄養不良に伴う睡眠の質(目覚めの悪さ・眠りの浅さ)改善におすすめのアリナミン製品>
つらい肩こりと吐き気の原因を知り、症状を繰り返さない体を目指そう

つらい肩こりと吐き気は、首・肩まわりの筋肉の緊張、血行不良、自律神経の乱れなど、いくつかの要因が重なることで起こります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運動不足、ストレスなど、日々の習慣が大きく影響しています。
改善には、正しい姿勢を意識し、こまめなストレッチを行ったり、入浴で血行を促したりする方法が有効です。つらい症状が続く場合は、ビタミンB群やビタミンEを含むビタミン剤を取り入れるのも一つの手です。ただし、強い頭痛やしびれなどの異変があるときは、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
また、症状を繰り返さないためには、栄養バランスのよい食事、適度な運動、ストレスのケア、質の高い睡眠など、生活習慣を整えることが何よりも大切です。
- <参考文献>
- 竹谷内康修; 徳間書店, 2020『頸椎症の名医が教える竹谷内式首トレ』
- 沓脱正計・黒岩誠; こころの健康25 (2), 2010『日本人が訴える肩こりの特徴について』
- 永関慶重・永関一裕; 日本頭痛学会誌, 2023『緊張型頭痛の疫学と肩こり頭痛の成因分類』









