更新日:2025年5月27日
ビタミンB群とは?効果や不足による影響、ビタミンB群を多く含む食品を紹介
ビタミンB群の効果について、ご存じでしょうか。ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類のビタミンを指します。ビタミンB群は、主にエネルギー代謝の補酵素として働きます。ここでは、ビタミンB群に含まれているビタミンがそれぞれどのような働きや特徴をもつのか、不足するとどのような影響が現れるのか、またビタミンB群を多く含む食品について紹介していきます。
監修
福渡 努 先生
滋賀県立大学 人間文化学研究院 教授、日本ビタミン学会 幹事、ビタミンB研究委員会 委員
INDEX
ビタミンB群とは
ビタミンとは
ビタミンB群の話を始める前に、まずはビタミン全体について簡単にお話しします。
ビタミンとは、人の体内で作れないか、わずかに作ることはできるものの必要量に満たず、体外から摂り入れることが欠かせない微量栄養素のことです。現在、人の生命活動に欠かせない栄養素として、ビタミンA、B群(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、C、D、E、Kという13種類のビタミンの存在が知られています。それらビタミンの必要量は、エネルギー源となり得る三大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)と比べるとごくわずかですが、体のさまざまな機能の維持になくてはならない存在です。
「ビタミン」という言葉自体にも、その重要性が表れています。生命維持に必須であることを意味する「Vital(バイタル)」と、最初に発見されたビタミンB1(チアミン)に「Amine(アミン)」という化学構造が認められたことから、「Vital+Amine」で「Vitamine(ビタミン)」と名付けられたのが「ビタミン」の始まりです。その後、全てのビタミンがアミン構造をもつわけではないとわかったため、最後の「e」が削除され「Vitamin」という綴りになりました。
ビタミンB群とは
ビタミンB群の8種類のビタミンは、主に代謝をスムーズにするための補酵素として働きます。「代謝」とは、栄養素からエネルギーを作りだしたり、成長や組織の修復などをしたりするために、体内で繰り返されている化学反応のことをいいます。「補酵素」とは、そのような代謝に必要とされる酵素の働きをサポートする物質のことです。
ビタミンB群に含まれているいくつかのビタミンは、互いに作用を助け合うように働いて、補酵素としての働きを高めています。なお、ビタミンは、水に溶けやすい水溶性ビタミン、水には溶けにくく脂肪に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられますが、ビタミンB群の8種類のビタミンは全て水溶性ビタミンです。
ビタミンB群の主な働き、効果
ビタミンB群に含まれる各栄養素の主な働き、効果は以下の通りです。
ビタミンの名称 | 主な働き、効果 |
---|---|
ビタミンB1 | ・主に糖質からエネルギーを作る際に役立つ ・神経の機能維持にかかわる |
ビタミンB2 | ・主に脂質の代謝にかかわる ・過酸化脂質の分解にかかわる ・皮膚、粘膜の維持にかかわる |
ビタミンB6 | ・タンパク質の代謝にかかわる ・神経の機能維持にかかわる |
ビタミンB12 | ・造血機能にかかわる ・神経の機能維持にかかわる |
ナイアシン(ビタミンB3/ニコチン酸、ニコチンアミド) | ・糖質、タンパク質、脂質の代謝にかかわる ・皮膚の機能を正常に保つ |
パントテン酸(ビタミンB5) | ・糖質、タンパク質、脂質の代謝にかかわる |
葉酸(ビタミンB9) | ・DNA合成、細胞分裂にかかわる ・正常な赤血球の生成にかかわる |
ビオチン(ビタミンB7) | ・糖質、タンパク質、脂質の代謝にかかわる ・皮膚の機能を正常に保つ |
ビタミンには、食品から摂取する栄養素としての働きや効果の他に、ビタミン剤などの一般用医薬品としての効能もあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ビタミンB1
糖質の代謝に必要不可欠なビタミンで、神経の機能維持にも役立つとされています。
ビタミンB1は当初、日本人研究者の鈴木梅太郎氏が、精白米に不足している栄養素として発見し、「オリザニン」と命名しました。それが後にビタミンB1と呼ばれるようになったという歴史があります。化学名は「チアミン」です。
エネルギー産生のしくみ(TCA回路)
食品から摂取した糖質は消化・分解されて最終的にブドウ糖(グルコース)となり、小腸から吸収されます。ブドウ糖は脳や筋肉などの細胞でエネルギー源として使われる際に、ピルビン酸という物質になります。このピルビン酸をアセチルCoAという物質に変換するときに、ビタミンB1が必要とされます。
ビタミンB1の助けを借りて作りだされたアセチルCoAは、TCA回路(クエン酸回路)という代謝の中心的な過程に入り、そこでエネルギーを産生します。つまり、ビタミンB1は、糖質からエネルギーを産生するうえで、いわば「潤滑油」のように作用しているといえます。
一般用医薬品におけるビタミンB1主薬製剤の効能又は効果
・次の諸症状の緩和:神経痛、筋肉痛・関節痛(肩・腰・肘・膝痛、肩こり、五十肩など)、手足のしびれ、便秘、眼精疲労(慢性的な目の疲れ及びそれに伴う目のかすみ・目の奥の痛み)
・脚気
「ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。」
・次の場合のビタミンB1の補給:肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時
- <肉体疲労時などのビタミンB1の補給に>
コラム
ビタミンB1よりも吸収されやすい「フルスルチアミン」(ビタミンB1誘導体)の誕生
脚気(かっけ)の予防に効く栄養素として発見されたビタミンB1は、人の生命活動に欠かせない栄養素であるものの、体に吸収されにくいという欠点がありました。そこで、ビタミンB1をより吸収しやすくした「フルスルチアミン」(ビタミンB1誘導体)が開発されました。ビタミンB1誘導体の発見の歴史は1951年までさかのぼります。
ビタミンB1誘導体は、1951年に食品中のビタミンB1分解因子を研究していたとき、ニンニクと一緒にすることでビタミンB1が消失する現象が起きたことがきっかけで偶然発見されました。調べてみると、ニンニクにより水溶性のビタミンB1が、脂溶性の「アリチアミン」という物質に変わったことが判明しました。アリチアミンには、ビタミンB1に比べ消化管で吸収されやすいという特徴がありました。その後さらに研究が進み、薬としての安定性を高めた「プロスルチアミン」という物質が誕生しました。
しかし、プロスルチアミンにはニンニク臭いという唯一の欠点がありました。そこで、コーヒーの香り成分のひとつである「フルフリルメルカプタン」を還元させたものをビタミンB1に結合させ、特徴はそのままで臭いがあまり気にならない「フルスルチアミン」が誕生しました。フルスルチアミンは、体内に吸収された後、各組織に移行し、活性型ビタミンB1となって疲れの改善などにすぐれた効果を発揮します。
フルスルチアミンの誕生について詳しくはこちら
ビタミンB2
脂質の代謝に必要不可欠なビタミンであり、酸化ストレスから細胞を守る働きを持ちます。また、皮膚や粘膜の機能維持にもかかわっています。総じて、成長や発育を支える栄養素であり、肌や粘膜、髪の毛の健康維持にも重要な栄養素です。化学名は「リボフラビン」です。
ビタミンB2は、光に弱いビタミンです。食品の中のビタミンB2を保つためには、不透明な容器に保存するとよいでしょう。なお、ビタミンB2を過剰に摂取すると、その時点で必要とされない分は尿とともに排泄されます。このとき、ビタミンB2は黄色をしているため、尿が濃い黄色に染まります。
一般用医薬品におけるビタミンB2主薬製剤の効能又は効果
・次の諸症状の緩和:口角炎(唇の両端の腫れ・ひび割れ)、口唇炎(唇の腫れ・ひび割れ)、口内炎、舌の炎症、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび・吹き出物、肌あれ、赤ら顔に伴う顔のほてり、目の充血、目のかゆみ
「ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。」
・次の場合のビタミンB2の補給:肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時
ビタミンB6
人の体には約5,000種類の酵素が存在していると考えられています。ビタミンB6は、そのうちの約200種類もの酵素を助ける働きがあることがわかっています。とくに、タンパク質の代謝や、免疫機能の維持には欠かせません。
また、ビタミンB6は神経伝達物質(脳内の情報のやり取りに必要な物質。ドーパミン、セロトニン、GABA〈ギャバ〉など)の合成にも使われます。他にも、ホルモンの作用を維持するためにも必要な栄養素です。
ビタミンB6は、「ピリドキシン」など6種類の化合物の総称です。
一般用医薬品におけるビタミンB6主薬製剤の効能又は効果
・次の諸症状の緩和:口角炎(唇の両端の腫れ・ひび割れ)、口唇炎(唇の腫れ・ ひび割れ)、口内炎、舌の炎症、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび・吹き出物、肌あれ、手足のしびれ
「ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。」
・次の場合のビタミンB6の補給:妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時
ビタミンB12
タンパク質や核酸の生合成、アミノ酸や脂肪酸の代謝に欠かせない栄養素です。後述の「葉酸」とともに、骨髄(こつずい:骨の内部にあり血液の成分を作っている組織)で赤血球を作るのを助けています。
ビタミンB12はもともと、鉄の補充では改善しない貧血の治療に役立つ成分として発見されました。このため、「造血ビタミン」と呼ばれることもあります。ただし、造血だけでなく神経の機能維持などにも働いています。化学名は「コバラミン」です。
一般用医薬品におけるビタミンB1・B6・B12主薬製剤の効能又は効果
・次の諸症状の緩和:神経痛、筋肉痛・関節痛(肩・腰・肘・膝痛、肩こり、五十肩など)、手足のしびれ、眼精疲労(慢性的な目の疲れ及びそれに伴う目のかすみ・目の奥の痛み)
「ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。」
・次の場合のビタミンB1・B6・B12の補給:肉体疲労時、妊娠・授乳時、病中病後の体力低下時
- <筋肉痛・関節痛、手足のしびれ、神経痛、眼精疲労の緩和に>
ナイアシン(ビタミンB3/ニコチン酸、ニコチンアミド)
ナイアシンは「ビタミンB3」とも呼ばれ、糖質や脂質の分解に必要なビタミンです。他にも、皮膚や粘膜の炎症防止や血行促進なども含め、細胞が正常に機能するために体内で幅広く働いています。また、アルコールを飲んだ後にできる「アセトアルデヒド」という、二日酔いの原因とされる物質の分解にも関係しています。
ナイアシンは、食品から摂取する以外にも、トリプトファンというアミノ酸を材料として体内でも作られています。ナイアシンは、「ニコチン酸」と「ニコチンアミド」の総称です。
ナイアシンはナイアシン単独ではなく、さまざまなビタミン剤などに配合されています。
パントテン酸(ビタミンB5)
パントテン酸は「ビタミンB5」とも呼ばれ、ギリシャ語で「どこにでもある」という意味の「pantos」から名付けられたビタミンです。実際に、さまざまな食品に含まれています。
パントテン酸は糖質や脂質の代謝に関与していて、善玉コレステロールの増加や、ホルモンや抗体の産生などにも関係しています。
パントテン酸はパントテン酸カルシウムなどとして、さまざまなビタミン剤などに配合されています。
葉酸(ビタミンB9)
葉酸は「ビタミンB9」とも呼ばれ、ビタミンB12と同様に、赤血球の産生を助けるという、造血に関連するビタミンです。また、アミノ酸の代謝やDNAの合成、タンパク質の合成などにも関与しています。化学名は、「プテロイルモノグルタミン酸」です。
葉酸は英語で「folate」又は「folic acid」といわれますが、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」では、「folate」は葉酸全体を指す場合に使い、「folic acid」はプテロイルモノグルタミン酸を指す場合に使うとされています。通常の食品に含まれている葉酸はfolateで、folic acidはほとんど含まれていません。folic acidは葉酸強化食品やサプリメントに含まれています。両者は体への吸収効率が異なり、folic acidはfolateの約2倍の効率で吸収されるといわれています。
特に、妊娠初期の葉酸不足は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを高めることがわかっています。そのため、妊娠を計画している方や、妊娠の可能性がある方、妊娠初期の妊婦の方は、葉酸を多く摂る必要があります。その場合は、葉酸強化食品やサプリメントなどで吸収効率のよいfolic acidを摂ることが推奨されています。
ビオチン(ビタミンB7)
ビオチンは「ビタミンB7」又は「ビタミンH」と呼ばれます。後者の呼称の「H」は、ドイツ語で皮膚を意味する「Haut」の頭文字です。ビオチンが皮膚炎を予防する成分として発見されたことから、このように名付けられました。
ビオチンは、タンパク質や脂質の代謝に関連するビタミンです。皮膚や髪、爪などの健康を維持するためにも働いています。また、ビオチンは食品から摂取する以外に、腸内細菌によっても作られています。
ビオチンはさまざまなビタミン剤などに配合されています。
ビタミンB群が欠乏するとどうなる?
ビタミンB群の欠乏により起こりやすい疾患・症状、不足による影響
最初にお話ししたように、ビタミンは生命の維持に必要不可欠な栄養素です。ビタミンが足りない状態が続いて体の諸機能に支障が起き、なんらかの症状が現れてしまう状態を「ビタミン欠乏症」といいます。
一方で、症状が現れていない段階の潜在的な「ビタミン不足」の状態であっても、体の諸機能がスムーズに行われないことがあります。つまり、ビタミン不足の状態では、欠乏症のリスクが高まるだけでなく、欠乏症とは別の影響の懸念が生じてくるということです。例えば、ビタミンB1不足では疲れやすさや抑うつ、物忘れが増えたり、ビタミンB2不足では子どもの成長障害のリスクにかかわるといわれています。
ビタミンB群の欠乏により起こりやすい代表的な疾患・症状は以下の通りです。
ビタミンの名称 | 欠乏により起こりやすい代表的な疾患・症状 |
---|---|
ビタミンB1 | 脚気、脚気心、ウェルニッケ脳症など |
ビタミンB2 | 口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎など |
ビタミンB6 | 末梢神経の障害、皮膚炎、口角炎、口唇炎、食欲不振、貧血など |
ビタミンB12 | 悪性貧血、神経障害など |
ナイアシン(ビタミンB3/ニコチン酸、ニコチンアミド) | ペラグラ、下痢、口内炎など |
パントテン酸(ビタミンB5) | 手足の痺れ、食欲不振など ※多くの食品に含まれているため、欠乏は起こりにくいとされています。 |
葉酸(ビタミンB9) | 悪性貧血、高ホモシステイン血症、胎児の神経管閉鎖障害など |
ビオチン(ビタミンB7) | 悪心、食欲不振、皮膚炎、脱毛など |
- <ビタミン欠乏症について詳しくはこちら>
ビタミンB群が不足する理由として考えられること
ビタミンは、ミネラルと並ぶ「微量栄養素」です。微量栄養素は、体に必要とされる量も少ないですが、食品に含まれている量も少ないため、食習慣次第で容易に不足してしまいやすいものです。
微量栄養素が不足してしまう例として、少食や偏食、何らかの特別な食習慣をもつ人(ベジタリアンなど)が挙げられますが、これらに加えて、ビタミンB群が不足しやすい理由としては以下のようなことが考えられます。
・ビタミンB群は水溶性ビタミンである
ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性ビタミンです。そのため、調理の過程で失われやすいものです。さらに、水溶性であるということは、体に吸収された後も尿にまざって排泄されてしまい、体内に溜めることのできる量に限りがあります。このような特徴のために、不足しやすくなります。
・アルコールの代謝に必要とされる
アルコールの代謝にはビタミンB群が必要とされるため、飲酒量が多いほど、不足するリスクが相対的に高まります。特にビタミンB1やナイアシンといったビタミンは多く消費されるため、おつまみなどにはこれらのビタミンが多く含まれるものを選ぶとよいでしょう。また、毎日のように大量にビールを飲むなどした場合には、尿量が増え、それとともに排泄されるビタミンが増えることも、ビタミンB群が不足するリスクにつながります。
さらに、習慣的な飲酒は、栄養素の吸収低下と肝臓の働きの低下につながり、それらによってビタミンの不足やビタミンの活性化が不十分になることも、ビタミンB群が不足するリスクを上昇させます。
・エネルギー代謝に必要不可欠である
エネルギー源として使われる主要な栄養素である糖質は、その代謝にビタミンB1が必要不可欠とされます。そのため、糖質を大量に摂取していたり、身体活動量が多くエネルギーが大量に必要とされる場合(アスリートなど)には、ビタミンB1の需要が高まり、相対的に不足のリスクが高まります。
ビタミンB群を多く含む食品
ビタミンB群を多く含む食品は、以下の通りです。
ビタミンの名称 | 多く含む食品 |
---|---|
ビタミンB1 | 豚肉、うなぎ、さば、たらこ、玄米、ライ麦パン、グリーンピース、枝豆、カシューナッツ、ひらたけ |
ビタミンB2 | 豚・牛・鶏レバー、さば、いわし、うなぎ、ブロッコリー、マッシュルーム、鶏卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、納豆 |
ビタミンB6 | 豚赤身、鶏ささ身、牛レバー、まぐろ、かつお、さば、いわし、玄米、ピーマン、にんにく、バナナ、ピスタチオ、ごま、じゃがいも |
ビタミンB12 | 牛・豚・鶏レバー、いわし、さば、さんま、かつお、あじ、さけ、しじみ、あさり、かき、海苔、鶏卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト |
ナイアシン(ビタミンB3/ニコチン酸、ニコチンアミド) | 鶏肉(皮付き、ささ身)、牛・豚レバー、かつお、まぐろ、かじき、いわし、さば、ひらたけ、エリンギ |
パントテン酸(ビタミンB5) | 牛・豚・鶏レバー、鶏肉(皮付き、ささ身)、たらこ、ししゃも、アボカド、モロヘイヤ、納豆、ひらたけ、なめこ、エリンギ |
葉酸(ビタミンB9) | 牛・豚・鶏レバー、鶏肉(皮付き、ささ身)、海苔、ブロッコリー、ほうれんそう、芽キャベツ、かぼちゃ、枝豆、アボカド |
ビオチン(ビタミンB7) | 牛・豚・鶏レバー、鶏肉(皮付き、ささ身)、かれい、さけ、あさり、ピーナッツ、卵黄、納豆、まいたけ |
ただし上述の通り、ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性ビタミンであるため、調理の過程で失われやすいもの。ビタミンB群を効率よく摂取するには工夫が必要です。
ビタミンB群を効率よく摂取する方法
調理方法を工夫する
水溶性ビタミンであるビタミンB群は、食材を洗う際に使う水や、煮汁などに溶けて流れ出てしまいやすい栄養素です。これをできるだけ抑えるためには、野菜などを洗うときは時間をかけず、簡単に流すのみにするとよいでしょう。水溶性ビタミンは熱に弱いという特徴もあるため、いわしやまぐろ、かつおなどのビタミンB群を多く含む魚は、生の刺身にして食べるようにしましょう。
また、食材は細かく切らずに大きく切る、皮が付いたまま調理する、煮る場合は溶け出したビタミンB群も食べられるようにスープや汁物にする、などの工夫を取り入れてみてください。例えば、豚肉や皮付きのじゃがいも、ほうれんそうを使って豚汁などにすると、効率よく、またおいしくビタミンB群を摂取することができるでしょう。
なお、野菜や果物に関しては、旬の時期に栄養素の含有量が多くなるといわれています。そのため、なるべく季節感を取り入れた献立にするとよいかもしれません。また、ビタミンB1については、ニンニクや玉ねぎに含まれている化合物の「アリシン」という成分と結合して「アリチアミン」になると、吸収率が高くなることがわかっています。ビタミンB1が豊富な食材と、ニンニクや玉ねぎを一緒に使う料理にするのもよいでしょう。
サプリメントやビタミン剤を活用する
健康診断や医療機関で行われる一般的な検査では、ビタミンの不足をチェックすることはあまりないため、不足に気づく機会が限られています。少食や偏食気味の人、外食の多い人、高齢の方、スポーツをしている人などは、ビタミンB群を含む微量栄養素が不足している可能性があります。できるだけ規則正しい食生活を心がけるようにしましょう。
栄養素は、食事から摂取することが基本です。とはいえ、多忙のために食事に気を付けている時間がない、料理や栄養についてあまり詳しくない、といった人も少なくないでしょう。そのようなときは、サプリメントやビタミン剤などの活用を考えてみるのも一つの手です。
なお、ビタミンB群は相互に作用するといわれています。そのため、サプリメントやビタミン剤などを用いるなら、一般的には、ビタミンB群の中の1種類のビタミンのみを含むものよりも、ビタミンB群全体が含まれているものを用いたほうがよいとされています。
ビタミンB群の効果を知った上で、摂取を意識してみよう
ビタミンB群として分類されている8種類のビタミンは、主に代謝をサポートするように働くビタミンで、その働きは互いに影響を及ぼし合っています。ビタミンB群が不足すると、疲れやすくなったり、気力が低下しやすくなることも。普段の食事量が少ない、食生活が乱れている、高強度のトレーニングを続けているといった人は、ビタミンB群が不足しやすくなっているかもしれません。毎日の健康のために、ぜひ一度ご自身の食生活を見直してみてください。それとあわせて、効率よく摂取できる手段として、ビタミンB群を配合したサプリメントやビタミン剤などの活用も考えてみてはいかがでしょうか。
- <参考文献>
- 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf - 文光堂「臨床病態栄養学 第4版」, 2021
- 南山堂「症例から学ぶ栄養素欠乏」, 2023
- 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書