更新日:2024年7月25日
スマホ依存とは?日常生活への影響や依存から抜け出す方法を解説
「スマホ依存」は現代人が陥りやすいとされる依存のうちの一つ。今では生活の必需品といっても過言ではないスマホですが、「スマホがないと落ち着かない」「SNSやゲームをするために常にスマホが気になってしまう」といったように、スマホへの依存に悩まされている人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「スマホ依存」にフォーカスし、日常生活への影響について解説していきます。スマホへの依存から抜け出す方法についても紹介しますので、最後までぜひチェックしてみてください。
監修
山下 あきこ 先生
株式会社マインドフルヘルス 代表取締役 医学博士 神経内科・内科医師
INDEX
スマホ依存とは
スマホ依存とは、日常生活においてスマートフォン(以下:スマホ)を過剰に使用してしまい、食事や睡眠といった日常生活よりもSNSやインターネットを見ることを優先したり、スマホが使用できない状況に不安を感じたりする状態のことをいいます。近年では、スマホ利用者の増加に伴ってオンラインのサービスなども普及しているため、スマホに依存している人も少なくありません。
SNSやゲーム、動画サイト、Webサイトなど、スマホから利用しているサービスは人それぞれ。そのためスマホ依存は、場合によっては「ネット依存」や「ゲーム依存」とも言い換えることができます。
スマホへの依存が深刻化すると、やめたくてもやめられない状態に陥り、心身に影響が出て社会生活にまで支障をきたす可能性も。このような状態は、依存症の一種として「スマホ依存症」と呼ばれることもあります。スマホ依存症に医学的な定義や診断基準はまだありませんが、スマホの普及に伴い、研究や調査報告は年々増えてきています。
これってスマホ依存?依存の度合いをチェック
「もしかしたらスマホに依存しているかも…」という人も多いかもしれません。以下のような状態に多く当てはまる場合、スマホ依存に陥っている可能性があります。普段の生活を振り返りながら、自分の状態をチェックしてみましょう。
- ・スマホをつい使いすぎてしまい、勉強や仕事に集中することが難しい
- ・スマホを使用しているときに、手首や首の後ろに痛みを感じることがある
- ・スマホを使えない状況だと、そわそわしたり、イライラしたりする
- ・日常生活に支障をきたしているとしても、スマホの使用をやめられない
- ・SNSの投稿やメッセージなどを見逃さないよう、常にスマホを確認してしまう
- ・周囲からスマホの使いすぎについて指摘されたことがある
このような状態が続くと、日常生活にも影響が出ることがあります。「スマホが片時も手放せない」という人は、スマホとの付き合い方を見直すことが大切です。
「スマホの使いすぎをやめたいけど、どうしてもやめられない」「スマホ依存の影響で仕事や学校に行けなくなってしまった」といったように、社会生活に支障をきたすスマホ依存症が疑われる場合は、一人で抱え込まず、専門の医療機関や保健所、精神保健福祉センターなどに相談しましょう。必要があれば治療を受けることもできます。
日常生活への影響は?スマホ依存が引き起こすこと
スマホへの依存が重度になると、日常生活にどのような影響が出てしまうのでしょうか。スマホ依存が引き起こす変化やスマホ依存の具体的な症状を紹介します。
イライラや不安が生じる
スマホへの依存が進むと、スマホを使用できないときにイライラしたり不安を感じたりするようになります。イライラまではしなくても、スマホが手元にないだけでそわそわしてしまう、気になってしまうという人もいるのではないでしょうか。
このようなことが起こる理由には、脳の神経が関係しています。スマホに依存すると、使用する度に快楽物質のドーパミンが分泌されるため、ドーパミンの過剰分泌に耐性ができてしまい、次第に喜びや快楽を感じる機能が鈍化していきます。その結果、スマホがないと喜びを感じにくくなり、イライラや不安を感じやすくなるといわれています。
そうした物足りなさや満たされない感覚から、スマホを使う時間が増えると、スマホへの依存がさらに進む場合もあるため、注意が必要です。
意欲が低下する
意欲の低下もスマホ依存によって引き起こされる弊害の一つです。
SNSやスマホゲームのことなどが気になって仕方なくなると、仕事や勉強、家事などに対する意欲が低下して、手につかなくなる場合があります。その結果、仕事や学校を休みがちになったり、人と会うのが億劫になったりして、社会生活や対人関係にネガティブな影響が出てしまうこともあります。生活や仕事に身近なスマホだからこそ、適切な距離感で使用することが大切です。
睡眠や食事がおろそかになる
スマホに依存していると、気づかないうちに時間が経っていることも。こうした習慣が、睡眠不足の原因になる場合もあります。
SNSなどをつい長時間見てしまい、寝る時間が遅くなってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。人によっては、「生活リズムが崩れてしまった」「昼夜逆転してしまった」という人もいるかもしれません。
また、寝る直前までスマホの明るい画面を見続けると、スマホのブルーライトにより、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなるため、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりすることもあります。そのため、就寝前はスマホの使用を控えることが大切です。どうしてもスマホを使用したい場合は、ディスプレイの設定を行うとよいでしょう。明るさを抑えたり、色温度を暖色に設定したりすると、ブルーライトをある程度カットすることができます。ブルーライトをカットできる市販のフィルムを活用するのも一つの手です。
睡眠以外にも、スマホに夢中になるあまり、食事を少ししか摂らなくなったり、食事に集中できなくなったりする場合もあるでしょう。食事は、栄養の摂取だけでなく、料理の見た目、香り、味わいなどを五感で楽しんだり、友人や家族とだんらんしたりする機会でもあります。スマホを見ながら食事を摂ると、こうした喜びが半減してしまうことも。
睡眠をしっかり取るためにも、食事を楽しむためにも、スマホを使用する時間やタイミングを見直すことが大切です。
眼精疲労によって目の疲れや肩こりなどが起きる
スマホを使いすぎたときに、目の疲れや肩こりを感じる人も多いのではないでしょうか。
長時間、スマホの小さい画面にピントを合わせたり、明るい画面を見て刺激を受けたりすると、目に大きな負担がかかります。そのため、目の疲れや肩こりを感じるようになるのです。
睡眠を十分取ってもこうした症状が改善しない場合は、眼精疲労と呼ばれる状態になっている可能性があります。眼精疲労になると、目がかすむ、重い、痛いといった症状以外にも、肩こり、腰痛、頭痛、イライラなど全身に影響が出る場合も。眼精疲労になってしまったら、早めにケアすることが大切です。
スマホ依存はどう対策すればよい?
「これってスマホ依存かも…」と思ったら、まずはスマホの使い方を見直してみましょう。基本的には、スマホから距離を置き、使用しない時間をつくることが大切です。最初はスマホが気になるかもしれませんが、以下の対策を参考に、できることから始めてみましょう。
スマホの使用状況を確認する
まずは、スマホを1日に何時間使っているのか、どのアプリを多く使用しているのかなど、スマホの使用状況を確認しましょう。スクリーンタイムなどの機能を活用すれば簡単に確認することができます。
使用状況を客観的に見てみると、自分が思っているより長時間スマホを使っていたり、何回も同じアプリを開いていたりといった気づきが得られるはずです。こうしたデータを把握するだけでも、スマホ依存から抜け出す一歩となります。まずは気軽にチェックしてみましょう。
スマホの使用時間に制限をかける
スマホを使わない時間帯や1日の使用時間を決めて、制限をかけるのもおすすめです。使用制限についても、スクリーンタイムなどの機能で簡単に設定することができます。
制限をかけていても解除して使ってしまう場合は、「データ容量が少ないプランでスマホを契約する」「ロック解除のパスワードを複雑にする」「スマホをバッグなどにしまっておく」といった対策を行うのもよいでしょう。
スマホの通知をオフにする
通知が気になってスマホを開いてしまう場合は、通知をできる限りオフにしましょう。これは、SNSへの依存に悩んでいる人に特におすすめの対策です。
SNSをよく使う人の中には、通知が来ると「すぐに確認や返信をしないと」とプレッシャーを感じてしまう人もいるのではないでしょうか。「確認や返信が遅れると、友人や家族の反応が心配…」という場合は、通知をオフにしていることを事前に伝えておくと安心です。自分のペースでSNSを確認したり、メッセージを返信したりするようにしましょう。
デジタルデトックスを行う
デジタルデバイスを使わない時間を意識的につくる「デジタルデトックス」を行うのもおすすめです。スマホと距離を置くことで他のことに目を向け、スマホ以外のものに楽しみを見出すきっかけになるかもしれません。散歩や読書、料理など、スマホを使わずにできることを積極的に行ってみましょう。
デジタルデトックスをするには、「ながらスマホ」を減らすことも大切です。お風呂やトイレ、寝室にはスマホを持ち込まない、食事中はスマホを見ないといったように、メリハリをつけて使用するとよいでしょう。また、少しハードルが高いかもしれませんが、スマホを家に置いて外に出かけてみるのも効果的です。
スマホの長時間の使用による目の疲れや肩こりには、市販薬の活用もおすすめ
スマホの使いすぎで目の疲れや肩こりを感じている場合は、眼精疲労や肩こりの緩和に効果のある市販薬を活用するのもおすすめです。
目の疲れには、ビタミンB群が特に有用とされています。例えば、エネルギー代謝に関わり、神経を正常に機能させるのに欠かせないビタミンB1は、疲れ目の軽減や目の神経(視神経)の活性化に役立つ栄養素です。また、ビタミンB6やビタミンB12は、視神経に働いて目の疲れを和らげてくれるだけでなく、肩こりや腰痛といった症状にも効果があります。
こうしたビタミンB群を含む市販薬を活用すれば、スマホ依存による眼精疲労や肩こり、腰痛を軽減することができるでしょう。
眼精疲労を根本的に解消するためには、スマホの使用時間を減らす必要がありますが、まずは心身への影響を少しでも減らし、スマホ依存からの脱却への第一歩を踏み出しましょう。
- <眼精疲労や肩こり、腰痛の緩和におすすめのアリナミン製品>
スマホ依存から抜け出して、自分らしい毎日を!
スマホはどこにでも持ち歩くことができ、生活を便利にしてくれるもの。しかしながら、便利すぎるあまり、依存してしまう危険性も潜んでいます。「最近スマホばかり見ている」「他のことがおろそかになっている」と感じたら、まずはスマホの使い方を見直すことが大切です。スマホの使用状況を確認したり、使用しない時間を意識的につくったりしてみましょう。そうすることで、スマホ以外の楽しみや趣味を発見できるかもしれません。スマホの使用は適度に抑えつつ、自分の時間を大切に過ごしましょう。
- <監修者(山下あきこ)サイト>
- <参考文献>
- 精神神経学雑誌,第121巻第7号, 2019
- 厚生労働省「依存症についてもっと知りたい方へ」