更新日:2023年1月30日

眼精疲労や目の疲れに効くツボは?簡単にできる疲れ目予防も紹介

眼精疲労や疲れ目を感じたとき、どこのツボを押せば緩和されるのでしょうか。

近年、スマートフォンやパソコンなどの長時間使用によって目の負担が大きくなり、目のかすみや目の奥に痛みを感じる人が増えているようです。
そこで今回は、そんな目の疲れからくる症状に、効果的なツボ刺激の方法と、その他の簡単にできる予防法・対策を紹介します。

監修

伊藤 剛 先生

北里大学東洋医学総合研究所、北里大学客員教授

INDEX

眼精疲労や疲れ目の症状と原因

「眼精疲労」と「疲れ目」、どちらも同じ意味の言葉だと思われるかもしれませんが、実際は少し異なります。

前者の「眼精疲労」は、慢性的な眼※1の疲労から、目※2だけではなく体の他の場所にも影響が現れている状態(肩こりや倦怠感、頭痛、めまい、吐き気など)です。一方で後者の「疲れ目」は、目の使いすぎによる目の一時的な症状であり「眼疲労」と言い換えることができます。

「疲れ目」が慢性的になってしまった眼精疲労はもちろんのこと、疲れ目そのものにもきちんと対策をとって、快適な“視生活”を送ることが重要です。

※1 眼:眼球本体を表す。一般的に専門分野における用語として使用される。
※2 目:眼球だけでなく、まわりのまぶたや目頭・目尻も含んだ顔のパーツを表す。

症状:目がかすむ、目の奥が痛い、肩こり、頭痛、吐き気…

眼精疲労や疲れ目(眼疲労)の症状は、以下のように、目の症状と目以外の症状の二つに分けられます。

・目の症状

目の疲れ、かすみ目、充血、目が重い、目がしみる、目が渇く、目の奥が痛い、涙目、目がしょぼしょぼする、まぶしい、まぶたのけいれん、視力低下など。

・目以外の症状

頭痛、肩こり、吐き気、めまい、倦怠感、食欲不振、うつ・不安など。

原因:目の使いすぎ、ドライアイ、老眼、環境、ストレス…

眼精疲労や疲れ目(眼疲労)の原因の多くに、目の酷使(使いすぎ)が挙げられます。例えば、スマートフォンの小さな画面を見続けるといったことです。

目は何かを見続けている間、目の奥の網膜にピントを合わせるため、目のレンズ「水晶体」の屈折を常に調整し続けなければいけません。その役割を「毛様体」という部分の筋肉が担っています。つまり、疲れ目のおおもとは、毛様体筋の筋肉疲労といえます。

ただし、以下に挙げるような目の病気や周囲の環境に問題があることも覚えておきましょう。

・眼精疲労・疲れ目を起こす目の病気や状態

近視や遠視・老眼・乱視が適切に矯正されていない、ドライアイ、白内障、緑内障、網膜症、眼瞼下垂(がんけんかすい:目を開けたときに上のまぶたがしっかり上がらない状態)など。

・環境の問題やストレスの影響

照明が暗い、またはまぶしすぎる、姿勢が良くない、空調が顔にあたるなどの環境の問題や、長時間労働、睡眠不足、精神的なストレスなど。

【プチメモ】ドライアイ

眼精疲労・疲れ目を起こす目の状態として挙げられるドライアイは、失明につながることはないものの、長期にわたって生活の質を落とします。

シェーグレン症候群などに合併する病的な場合を除くと、ドライアイの多くは、画面を見る機会が多いお仕事や、細かい確認作業などによって眼の交感神経が過度に緊張してしまうことが原因です。

交感神経の緊張によって、涙の分泌が阻害されて目が乾いてしまったり、瞳孔がうまく動かなくなって目に強い光が入ってしまったりします。その結果、目が疲れやすくなる、しょぼしょぼするなどの症状が現れているのがドライアイです。

そのため、ドライアイの症状緩和には、交感神経(自律神経)の緊張を緩めることが重要になります。

眼精疲労や目の疲れにツボ押しは効果的?

眼精疲労や目の疲れはツボ押しを行うことで、自律神経が緩み、症状を緩和することができます。

ツボの刺激は、数千年の歴史のある東洋医学に基づく療法の一つです。東洋医学では、人間の体の中には心身機能を保つためのエネルギー(気)があって、体の中を巡っていると考えます。そのエネルギーが巡る道筋のことを「経絡(けいらく)」といい、その経絡に沿って並んでいる体の表面のポイントが「ツボ」です。正式には「経穴(けいけつ)」と呼ばれます。

経穴、つまりツボを刺激すると、経絡の流れが良くなって、さまざまな症状が改善すると考えられています。解剖学的にも、体の表面に分布している神経と、内臓などに分布している交感神経は同じ所から分岐しています。そのため、体の表面のツボを刺激することで、その作用は体の中にまで及ぶと考えられます。

なお、東洋医学では眼精疲労を、「肝(かん)」の血液や栄養が不足していて、目や視神経に十分な栄養が届かない状態といった考え方をします。

※肝臓の機能を統括し、血液の循環を調節。自律神経の働きも調節する。

眼精疲労の改善におすすめのツボ

目のまわりには、眼精疲労や疲れ目などの目の症状に効果的なツボが広がっています。疲れ目の影響が体にも現れている眼精疲労にも効果のあるツボは、目から離れた場所にあるものも少なくありません。

なお、目のまわりのツボを刺激する際には、眼球を押さないように、十分注意してください。初めは弱めに押して、狙いが定まったら徐々に力を加えしっかり押すと良いでしょう。指先で小さな円を描くように揉むのも効果的です。

疲れ目に効果的な、目のまわりのツボ

・睛明(せいめい)

目頭と鼻の付け根の間に位置します。目が疲れたときには、ツボ押しをしようと思わなくても、自然に人差し指などでここを押していることも多いのではないでしょうか。指の腹を当てたり、親指と人差し指で、左右両方のツボを同時につまんだりするのも良い方法です。

疲れ目だけでなく、目に現れるさまざまな症状に効果があるとされています。例えば、かすみ目や涙目、充血、目のしょぼしょぼした感じ、まぶたがピクピクとするけいれんなどです。また、鼻の機能を整える効果もあるので、花粉症の症状、鼻水、鼻づまり、いびきなどにも試してみても良いでしょう。

・攅竹(さんちく)

眉頭の少し下にある小さなくぼみに位置するツボです。目の痛み、見えにくい、ドライアイ、かすみ目などの症状をやわらげる他、頭痛や頭重感(ずじゅうかん)、鼻づまりなどにも効果的だとされます。

・承泣(しょうきゅう)

黒目の真下のくぼみにあるツボです。疲れ目や目のかすみ、涙目、ドライアイなど目の不快な症状や、胃腸の不調にも良いとされています。また、目の下のクマやたるみを抑える効果も知られています。

目のまわりのツボの中でも、特に眼球のすぐ近くに位置しているので、眼球を押さないように注意しましょう。

・魚腰(ぎょよう)

眉の中央あたりに位置する小さなくぼみにあるツボです。攅竹と絲竹空の中間にあたります。目の充血、腫れ、痛みに良いとされています。

・絲竹空(しちくくう)

攅竹とは反対に、眉尻の下で、眼窩(がんか:眼球が収まっている頭蓋骨のくぼみ)の縁に沿ったくぼみに位置するツボです。ここも睛明などと同様に、目が疲れたとき、自然に指で押していることが多いのではないでしょうか。疲れ目や目のまわりのけいれん、頭痛に効果的です。

・瞳子髎(どうしりょう)

目尻から親指の幅半分外側のくぼみに位置するツボで、疲れ目の治療にとって重要なツボの一つです。目の機能を調節して、眼精疲労や目のかすみ、充血、目の奥の痛み、目のまわりのクマなどに効果があるとされます。また、目尻のシワをとるのにも効果的といわれていて、美容にも欠かせないツボです。さらに頭痛を抑える効果もあります。

瞳子髎は、数秒の指圧を繰り返すという押し方が良いでしょう。症状が強いときは、ここを起点に、目の周辺のマッサージをするのもおすすめです。

・太陽(たいよう)

目尻と眉尻の中間点から、親指の幅1本分だけ耳側にずれたくぼみ、いわゆる「こめかみ」にあるツボ。昔から経験的に、独特な効果をもつ「奇穴(きけつ)」と呼ばれるツボの一つです。

目の奥の痛みや充血、目が乾きやすい(ドライアイの症状の一つ)、物がかすんで見える、まぶしく感じる、目がしょぼしょぼする、などの症状に効果があり、頭痛や顔面の痛みに対しても良いとされています。

眼精疲労にも効果的な、目から離れた所にあるツボ

・天柱(てんちゅう)

後頭部の髪の生え際にある、左右の耳たぶの下を結んだ線上で、2本の太い筋肉の外側のくぼみが天柱です。天柱を刺激すると、頭部の血行が促進されて、目の疲れや頭痛が改善し、なおかつ、それらにともなう首や肩こりなどの不快な症状が改善していきます。

両手の親指の腹を当てて、他の指で頭を包み込み、頭を軽く後ろに倒して、親指で目に向かって斜め上に押し上げるように押します。また、ソフトボールを首の後ろに置き、仰向けになって刺激するという方法もあります。この場合は、首の下に折りたたんで高くしたタオルを敷くと、より強く刺激できます。

・風池(ふうち)

後頭部の髪の生え際、左右の耳たぶの下を結んだ線上で2本の太い筋肉の両外側をわずかに離れたくぼみにあたります。天柱の少し上の外側のあたりです。首とつながる眼の交感神経の緊張をほぐし、頭部と目の血流を改善。目の疲れ、涙目に加えて、頭痛や肩こり、首のこりなどに良いとされています。

両手の親指の腹を当てて、他の指で頭を包み込み、頭を軽く後ろに倒して、頭の中心に向かって親指を押し込むように刺激します。また天柱と同様に、ソフトボールなどを用いるのも良いでしょう。

・肩井(けんせい)

疲れ目にともなって、肩がこることがよくあります。首の骨の根元と肩先を結んだ線の中間あたりにある肩井は、肩こりの定番のツボです。肩井を刺激して血流を改善すると、肩こり解消とともに、疲れ目が改善することも少なくありません。

右肩は左手、左肩は右手の中指か人差し指で押し込むと良いでしょう。押しながら、肩を少し回すと、より効果的です。

・合谷(ごうこく)

手の甲の親指と人差し指の、骨の分かれ目あたりにあるツボです。目からだいぶ離れた所にありますが、特に目の痛みに対して効果を期待できます。合谷は経絡の末端にあたり、その流れが滞りがちになるポイントで、首から上の症状や歯痛など、幅広い症状に効くツボだからです。手の甲にあるため、いつでも気軽に刺激できるというメリットもあります。

眼精疲労や疲れ目を防ぐためにできることは?

目を酷使しない、環境を見直す

眼精疲労と疲れ目のおおもとは、目の使いすぎです。そして、さきほども解説しましたが、目のレンズである水晶体の厚みを変化させて、目のスクリーンである網膜にピントを合わせるための毛様体筋の筋肉疲労が深く関係しています。そのため、対策は目を酷使しないことです。仕事や何かの作業中には、定期的に遠くを見たりして目を休めるようにしましょう。また、物を見る環境や目の使い方を見直すことも大切です。

例えば、作業時の照明の明るさや姿勢をチェックしてみてください。パソコンなどの作業画面に照明が映り込んで、ディスプレイが見にくくなっていませんか?ディスプレイと目の距離が離れすぎたり近すぎたりしませんか?

さらに、室内が乾燥していたり、空調の風が目にあたるとドライアイの症状が悪化したりして、疲れ目がひどくなることもあります。また、目の疲労には睡眠を十分にとることも大切です。

目の体操や目のまわりのマッサージ

眼精疲労や疲れ目は、ツボ押しだけではなく、目のまわりをやさしくマッサージすることでも回復につながります。また、ふだんから目の体操を心がけるようにすると良いでしょう。両目を大きく見開いて、上下左右に大きく回し、右回りと左回りをしたら、目をギュッと閉じます。これを数回繰り返して、その後はしばらく目を休めてください。このような目の体操やマッサージで、目の血流が改善します。

なお、目を休める際には、温めるのが効果的です。例えば、温かいタオルをまぶたの上に乗せたり、疲れ目と関連した症状の現れやすい後頭部や肩を温めたりすることも、血流が良くなるため、疲れ目対策になります。

食事や栄養からのアプローチ

目の健康にはビタミンAやE、B群などの微量栄養素が、意外なほど深く関係しています。

例えばビタミンB群は、疲労回復や視神経機能を維持したり、目の角膜や結膜といった粘膜の機能を助けるように働きます。それ以外にも、ビタミンAやEなども、目の健康に対する機能性が明らかになっています。このような各種の微量栄養素を含む食事を意識的に行ったり、サプリメントを活用したりするのもおすすめです。

適切に市販薬を使う

眼精疲労には、ここまでに解説したような対策の一つひとつが重要で、「これさえあればすぐに治る」というような特効薬は、残念ながらありません。

一般的に「目の症状のための薬」というと、点眼薬などの外用薬を思い浮かべるかもしれませんが、目の機能改善を期待できる内服薬もあります。

先述したとおり、ビタミンは目の働きにおいて大切であり、各種ビタミンが配合された薬も効果的です。

例えば、ビタミンB群は、疲れ目の原因である毛様体筋の働きを助け、筋肉疲労の緩和を促します。その他、ビタミンEは、細い血管の血流を改善し、新陳代謝を活発にして疲れ目の緩和につながり、ビタミンB12は神経の働きに関与して疲れ目や眼精疲労を緩和します。

点眼薬だけでなく、これらの有効成分が含有されている内服のビタミン剤を試してみることでも、効果を実感できるかもしれません。また、高齢者のかすみ目に良いとされる八味地黄丸(はちみじおうがん)や、肩こりを改善し目の疲れをとる葛根湯(かっこんとう)や桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)などの漢方薬もあります。

視力にあったメガネやコンタクトレンズを使用

視力が低下していれば、目が疲れるのは当然ですし、見にくい物を見ようとするため首や肩もこります。

自分で気づかないうちに、近視や乱視、老眼が進行していることは少なくありません。眼精疲労や疲れ目がひどくなったら、メガネやコンタクトレンズがあっているかどうかの確認も必要です。

眼精疲労や疲れ目に何かの病気が隠れていることも

眼精疲労や疲れ目の原因は多岐にわたっていて、複数の原因が重なって症状が悪化していることも少なくありません。ツボ刺激やマッサージなどとともに、環境を見直したりして、考えられる原因を一つずつ減らしていきましょう。

また、いろいろ対策をしても症状がいつまでも改善しない場合は、何かの病気の症状として眼精疲労や眼疲労が起きている可能性があります。医療機関を受診してそのような病気がないか調べてもらいましょう。

<参考文献>
  • 東洋療法学校協会/医道の日本社「東洋医学臨床論〈あん摩マッサージ指圧編〉」
  • 主婦と生活社「最新版 よくわかるツボ健康百科」
  • 伊藤剛「カラダを考える東洋医学」
  • 伊藤剛「東洋医学の専門医がやさしく教える即効100ツボ」
  • 東洋療法学校協会/東洋療法雑学事典/ツボの数
  • 伊藤剛/PHP研究所「副交感神経を活かして不調を治す!」

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