更新日:2025年6月25日

腰痛や足のしびれの原因とは?対処法や予防法についても解説

腰痛や足のしびれがあると、日常生活や仕事に支障が出ることがあるでしょう。症状が長引くと痛みや不快感が慢性化することもあるため、早めに治したいと考えている人も多いのではないでしょうか。腰痛にはさまざまな原因があり、その際に足のしびれをともなうケースも少なくありません。本記事では、腰痛や足のしびれが起きる原因、症状を引き起こす主な疾患、すぐにできる対処法を解説します。習慣化したい予防法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

監修

竹谷内 康修 先生

竹谷内医院 院長

INDEX

腰痛や足のしびれの原因は?

腰痛や足のしびれは、神経の圧迫や運動不足、血行不良など、さまざまな原因によって引き起こされます。症状を改善するためには、まず原因を正しく把握し、適切な対策や治療法を選択することが大切です。

ここでは、代表的な原因を4つ紹介します。

神経の圧迫

神経の圧迫は、腰痛や足のしびれを引き起こす代表的な原因の1つです。

例えば、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などによって、脊髄から伸びる神経根(しんけいこん)が圧迫されると、坐骨神経痛や腰痛、足のしびれなどを招くことがあります。

腰椎椎間板ヘルニアを横と上から見た図

※イメージ

神経の圧迫を引き起こす疾患については、次の章で詳しく解説します。

運動不足

日常的に運動量が不足していると、体力が落ち、腰を支える筋力が低下するため、腰痛や足のしびれが起きやすくなります。

特に、背筋の筋力が落ちると姿勢が崩れやすくなり、腰痛が引き起こされることも少なくありません。腹筋の筋力低下も、腰痛を持つ人によく見られます。

腰痛によって生活が制限されてしまうと、体力がさらに低下し、悪循環に陥ることがあるため、ストレッチや軽い筋トレなどを定期的に行うことが大切です。

冷えやストレスによる血行不良

冷えや精神的なストレスによる血行不良も原因の1つです。

体が冷えると、末梢血管が収縮することで血行が悪くなり、足のしびれや腰痛が起こりやすくなります。

また、心理的ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、血行不良になりやすく、冷えやこりなどが起きる場合も。特に、長時間同じ姿勢で仕事をしている人や、デスクワーク中心の生活を送っている人ほど血行不良になりやすいため、注意が必要です。

ビタミンB群の欠乏

ビタミンB群は、神経の働きを正常に保つうえで不可欠な栄養素です。そのため、不足すると神経伝達がうまく機能しなくなり、しびれや痛みなどの症状が強まる場合があります。

例えば、糖質の代謝に必要なビタミンB1が欠乏すると、エネルギーを作り出せなくなり、疲労やだるさ、筋肉の疲れにつながることも少なくありません。ビタミンB1は糖質の代謝の他にも、神経の情報伝達に関わっています。神経細胞の主要なエネルギー源は、糖質が分解されてできるブドウ糖ですが、ビタミンB1はそのブドウ糖をエネルギーに変える反応に関わっています。ビタミンB1の欠乏が続くと、手足がしびれたり、力が入りにくくなったりすることもあります。

また、ビタミンB6は体の中でさまざまな情報を伝達する役割を担う神経伝達物質の合成を助ける働きがあります。さらに、ビタミンB12には神経伝達をスムーズにし、末梢神経の修復や保護を助ける働きがあります。そのため、これらのビタミンB群が欠乏すると、手足のしびれなどの症状が生じることがあります。

ビタミンB群を含むビタミンは「微量栄養素」とも呼ばれ、体に必要とされる量は少ないものの、食品に含まれている量も少ないため、容易に不足してしまうといわれています。しかし、ビタミンは人の生命活動には欠かせない栄養素です。食生活が乱れている場合、ビタミンB群も不足しやすくなるため、まずは食生活の見直しを行いましょう。

腰痛や足のしびれを起こすことのある疾患

腰痛や足のしびれは、筋肉の疲労や血行不良などによる軽度なものもあれば、疾患によって引き起こされる重篤なものもあります。ここでは、腰痛や足のしびれを起こすことのある主な疾患を4つ紹介します。

疾患の診断には、医師の診察や検査が必要です。強い痛みやしびれを感じたり、違和感を覚えたりしたら、自己判断せず、まずは整形外科を受診しましょう。

腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア

「腰椎椎間板ヘルニア」は、「ヘルニア」と略されることも多く、20~40代の比較的若い世代にも見られる疾患です。

「腰椎(ようつい)」とは、背骨の腰部分の骨のことで、「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる骨が5つ積み上がって形成されています。この椎骨と椎骨の間に存在し、クッションの働きをしているのが「椎間板(ついかんばん)」という軟骨です。

腰椎椎間板ヘルニアは、重いものを持ち上げたり、悪い姿勢で作業を行ったりして腰に過度な負担がかかることで外に押し出された椎間板が神経根を圧迫し、腰やお尻、太ももからふくらはぎにかけて痛みやしびれなどが起きている状態を指します。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

「腰部脊柱管狭窄症」は、脊椎の中心部にある「脊柱管(せきちゅうかん)」が加齢などによって狭くなり、その中を通る神経や脊髄が圧迫されることで、下肢の痛みやしびれ、麻痺が起きる疾患です。

主な症状としては、長時間歩行すると痛みやしびれが出て、歩くのが難しくなる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が挙げられます。歩いているうちに腰やお尻、足が痛み出し、少し前かがみになって休むと症状が和らぐのが特徴です。

腰椎(ようつい)すべり症

加齢による骨の変形などによって、腰椎を構成する椎骨が本来の位置からずれてしまう疾患を「腰椎すべり症」といいます。

腰部脊柱管狭窄症と同様、長時間歩いているときに痛みが出やすいのが特徴です。ずれが大きくなると、神経や神経根が圧迫され、腰痛や足のしびれが起こりやすくなります。

糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害は、糖尿病の合併症の1つとして発症する神経障害です。血糖値が高い状態が長く続くと、末梢神経がダメージを受け、手足のしびれや感覚が鈍くなるといった症状が現れることがあります。

放置していると、小さなケガや火傷にも気づきにくくなり、重症化するおそれがあるため、早期の発見と適切なケアが必要です。治療では、血糖値のコントロールなどを適切に行いつつ、ビタミンB群などの栄養素を摂取するなど、生活習慣の改善も行います。

腰痛や足のしびれを和らげるための対処法

すぐに医療機関へ行くほど症状が強くない場合は、日常生活にセルフケアを取り入れることで症状が改善するケースもあります。

ここでは、比較的取り入れやすい対処法を3つ紹介します。ただし、痛みやしびれが続く場合や、症状が強い場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。

安静にする

痛みやしびれが急に現れた場合は、まずは無理をせず安静を保つことが大切です。横になったり、痛みの少ない姿勢で過ごしたりして、症状を悪化させないようにしましょう。

ただし、疾患が原因ではない一般的な腰痛については、安静にしすぎると、かえって逆効果になる可能性も。腰痛があると、痛みやしびれが起きるのを恐れて、仕事や日常生活を制限してしまう人も少なくありませんが、そうした制限は予防の面でも回復の面でも望ましくないことが分かってきています。

病院を受診して特に疾患が見つからなかった場合は、安静にする期間は3日以内に収め、痛みが和らいできたら徐々に体を動かすようにしましょう。ぎっくり腰の場合でも、長期間安静にしていると回復が遅くなるともいわれているので、できる範囲で普段通り生活することが大切です。

患部を温める

血行不良や筋肉の緊張が原因の場合は、患部を温めると痛みやしびれが緩和されるといわれています。使い捨てカイロや温熱パック、湯たんぽなどを利用して、腰痛や足のしびれが強い部分を適度に温めると、血行が促進されたり、筋肉の緊張が緩和されたりすることで、痛みが軽減する場合もあります。

ただし、患部を温める場合は、低温やけどの恐れがあるため、長時間当てっぱなしにしない、就寝時には使用しないなど、安全に配慮して行うことが大切です。また、疾患や怪我によって炎症が起きている場合は、温めることで腫れや炎症がさらに悪化するリスクがあるため、避けるようにしましょう。

市販薬を使う

湿布などの外用薬や、鎮痛剤やビタミン剤などの内服薬を使うのも1つの手です。

・外用薬

湿布などの外用薬には消炎鎮痛剤の成分が含まれており、痛みを緩和する効果が期待できます。湿布には冷湿布と温湿布がありますが、急に痛みが出始めたときには、炎症を抑えるために冷湿布を選ぶのがよいでしょう。一方、慢性的に痛みが出ているときには、血行を改善して痛みを緩和するために、温湿布を使うと痛みが緩和されやすいといわれています。

・内服薬(のみ薬)

ぎっくり腰などで痛みが強い場合は、痛みを直接的に抑える鎮痛剤を使うのも1つの方法です。痛みが和らぐまで鎮痛剤をのみ続けたほうが、慢性的な腰痛を防ぎやすくなるといわれています。

鎮痛剤のように痛みを直接止める効果はありませんが、筋肉や神経の働きに作用して痛みを緩和する効果が期待できるビタミン剤を活用するのもよいでしょう。

例えば、ビタミンB6には神経伝達物質の合成を助ける働きがあり、ビタミンB12には、神経伝達をスムーズにし、末梢神経の修復や保護を助ける働きがあります。他にもビタミンB1は、筋肉の疲れを和らげたり、神経細胞のエネルギー源であるブドウ糖をエネルギーに変える働きがあり、腰痛やしびれなどの改善に役立つ栄養素です。また、ビタミンEは末梢の血液循環に関わり、血行促進を図ることで、しびれの原因の1つである血流障害を改善する効果が期待できます。

これらの栄養素を含むビタミン剤をうまく活用することで、腰痛や足のしびれを和らげていくのもよいでしょう。

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腰痛や足のしびれを予防するには?

腰痛や足のしびれは再発を繰り返すことが多いため、治療やケアだけでなく、予防が欠かせません。うまく予防するには、普段の姿勢や動作、生活習慣を見直し、原因を取り除くことが重要です。

最後に、腰痛や足のしびれの予防法を4つ紹介します。

姿勢や動作に気をつける

猫背のまま長時間作業したり、何かを持ち上げる動作や前屈みになる動作を行ったりすると、腰椎に不要な負荷がかかり、腰痛やしびれを引き起こしやすくなります。そのため、腰痛やしびれを予防するには、正しい姿勢や負担のかからない動作を習慣化することが大切です。

デスクワークでは、背筋を伸ばしてあごを引き、首や肩が前に出ないように工夫しましょう。腰については、後ろに反らせた後に前方に少し戻した状態をキープします。長時間作業を行う場合は、椅子の背もたれの腰部分にクッションやタオルを固定するなどして、腰のカーブを支える工夫を行うのもおすすめです。

軽作業などで物を持ち上げる際は、前屈みにならないよう、スクワットをするようにひざをしっかり曲げて一度腰をおろしてから持ち上げると、腰痛やしびれを予防できます。

ストレッチや適度な運動を行う

腰痛や足のしびれを予防するには、作業や仕事の合間に軽いストレッチを行って血流を改善したり、軽い筋トレを行って背筋や腹筋の筋力を高めたりすることも大切です。

ここでは、気軽にできる体操を2つ紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。

・神経の圧迫を取り除く「ひざ抱え体操」

ひざ抱え体操

①横向きに寝て両ひざを曲げる
頭の下に枕やクッションを敷いても問題ありません。無理のない高さに調整しましょう。

②両手で両ひざを抱えて胸に引き寄せる
股関節が硬い場合は、無理に胸まで引き寄せる必要はありません。できる範囲でひざを引き寄せましょう。

③上半身を丸めて胸をひざに近づける(イラスト左側の状態)
脊柱管が広がるよう、腰のあたりをしっかり丸めるイメージで行います。

④上半身を丸めたまま、両手を離して力を抜く(イラスト右側の状態)
腰のあたりのカーブが緩まないよう意識しながら、体をリラックスさせます。この状態を2~3分キープしましょう。

この体操は、1日に数回行うのがおすすめです。朝晩の2回だけでも、腰痛や足のしびれの予防が期待できます。

・硬くなった背中を伸ばす「背中伸ばし体操」

背中伸ばし体操

①立ったまま、イスの背もたれなどに手を置く
安定したところに手を置きましょう。安定していれば、テーブルや手すりでも問題ありません。

②上半身を前に倒して背中を伸ばす
この状態を1分間キープします。腰ではなく、背中を伸ばすことを意識しましょう。

この体操は、背中をしっかり伸ばせますが、その分、腰にかかる負担も大きくなります。足腰に痛みやしびれを感じたらすぐに中断しましょう。

ストレスを溜めない

「人間関係にストレスを感じている」「仕事や家事などにやりがいを感じられない」「業務量が多い」「家事・育児の負担が大きい」「周りに頼れる人がいない」といった心理的なストレスも、腰痛や腰痛にともなう足のしびれを引き起こす大きな原因の1つです。

長時間の仕事や精神的プレッシャーが続く場合は、我慢せず、適度な休息をとりましょう。場合によっては、周囲の人や相談窓口などに相談して、状況の改善を図ることも必要です。

ストレスを感じているときは、自分の思いや考えなどをノートに書き出すのもよいでしょう。ストレス解消になるだけでなく、ネガティブな感情にのみ込まれずに自分の置かれている状況や自分の考えなどを客観視できるようになります。体力に余裕がある場合は、趣味や運動に没頭してリフレッシュするのもおすすめです。

栄養バランスのよい食事を摂る

腰痛や足のしびれを予防するには、タンパク質や炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの多様な栄養素をバランスよく摂取することも欠かせません。特に重要なのが、筋肉の疲れを和らげるビタミンB1と末梢の血液循環に関わるビタミンE、筋肉や神経の修復に必要不可欠なタンパク質の摂取です。

例えば、ビタミンB1は豚肉や玄米、ビタミンB6は魚やバナナ、ビタミンB12は貝類やレバーに多く含まれています。ビタミンEを多く含むのは、ナッツ類、かぼちゃ、アボカドなど。タンパク質は、肉や魚、卵、大豆などから摂取することができます。

こうした食品を普段の食生活に積極的に取り入れるようにしましょう。食生活で十分に補えない場合は、市販のビタミン剤を活用するのも1つの方法です。

腰痛や足のしびれは予防が重要!症状が強い場合は医療機関へ

腰痛や足のしびれは、日常生活の中で多くの方が経験する症状です。原因は、栄養不足や血行不良から、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの疾患まで多岐にわたります。症状が軽度の場合は、患部を温める、ビタミンB群やビタミンEを含むビタミン剤を活用するといったセルフケアを行うのもよいでしょう。一方、痛みやしびれが長引く、日常生活に支障をきたすほど症状が強いという場合は、医療機関への受診が必要です。自己判断で放置すると、症状が悪化する恐れもあるため、異変を感じたら早めに受診するようにしましょう。

<参考文献>
  • 徳間書店「頸椎症の名医が教える竹谷内式首トレ」, 竹谷内 康修, 2020
  • 宝島社「最新版 腰をまるめて自分で治す!脊柱管狭窄症」, 竹谷内 康修, 2022

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