更新日:2026年1月28日
バンザイ寝はやめるべき?手を上げて寝る原因と心理、対処法を解説

「バンザイ寝」とは、両腕を上げて寝る姿勢のことです。赤ちゃんにもよく見られるバンザイ寝ですが、大人がバンザイ寝をする場合は、体の不調や心理的な要因が関係していることがあります。手を上げた姿勢で寝ると楽だと感じる人や、無意識にこの姿勢になってしまう人は、呼吸が浅くなっていたり、体のゆがみが影響している可能性も考えられます。また、バンザイ寝を続けることで肩や腕の筋肉が常に引っ張られ、体に負担がかかるリスクも考えられます。この記事では、バンザイ寝の原因や体への影響、改善方法についてわかりやすく解説します。
監修
川上 洋平 先生
かわかみ整形外科クリニック 院長
INDEX
バンザイ寝の特徴とは?
「バンザイ寝」とは、仰向けで両腕を上げて寝る姿勢を指します。バンザイ寝をしていると気持ちよく感じられることがありますが、実は体の不調のサインの可能性もあります。
バンザイ寝をしてしまう原因と心理的な背景
ここでは、大人がバンザイ寝をしてしまう原因と心理的な背景を紹介します。
首や肩の筋肉の緊張

バンザイの姿勢をとると、背筋が伸び、首から肩にかけての筋肉が一時的に緩むため、気持ちよく感じることもあります。そのため、無意識にバンザイの姿勢をとってしまう人は、首や肩の筋肉が緊張している可能性があります。
例えば長時間にわたるデスクワークやスマートフォンの操作は血行不良を引き起こしやすく、首や肩周辺の筋肉が硬くなり、こりや痛みを感じやすい状態になってしまいます。バンザイ寝の姿勢をとるのは、日常の姿勢や習慣による筋肉のこりだけでなく、体全体の代謝や血行不良などにより、回復が十分に行われなかったり、筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなることで、結果的に筋肉の張りやこりが起こりやすくなることも一因です。
猫背などの姿勢の乱れ
日頃の悪い姿勢もバンザイ寝の原因の一つです。例えば肩甲骨が前方に傾いたり、肩関節が内側に強くねじれると「巻き肩」という姿勢の乱れが生じやすい状態になります。巻き肩は肩甲骨や肩関節のスムーズな動きを妨げて肩へ負担をかけるため、筋肉のこりや緊張の原因となります。
また、首や肩まわりの筋肉は呼吸を補助する役割も担っており、これらが強張ることで呼吸にも負担がかかります。さらに、背中が丸くなる「猫背」の姿勢では、胸郭の動きが制限され、横隔膜の働きも弱まります。すると、肺に取り込む空気の量が減ってしまい、呼吸が浅くなりがちに。バンザイをすると胸が開き、酸素を多く取り込めるようになるため、呼吸を補おうとする反応としてバンザイ寝の姿勢をとっているとも考えられます。
安心感、リラックス感を求める無意識の行動
交感神経は、私たちの体を活動的な状態に切り替える役割を担っており、緊張状態やストレスがかかったときに活性化します。特にオーバーワークや慢性的な疲労が続く場合、交感神経のスイッチが切れず、常に高ぶった状態になることがあります。そのとき、体が無意識にリラックスしようとして、バンザイ寝をしてしまっていると考えられます。
疲労から回復するためには、十分な休息や睡眠が欠かせません。さらに、疲労回復をスムーズにする栄養素を摂取することも大切です。特にビタミンB群は代謝に関わり、エネルギーの産生を助けるビタミンです。
中でもビタミンB1は糖質からエネルギーを作り出すときに必要なビタミンで、不足すると、エネルギーの産生がスムーズに行えなくなり、疲労の回復が遅れてしまう可能性もあります。
コラム
赤ちゃんがバンザイ寝をする理由は?
バンザイ寝は赤ちゃんによく見られる寝姿勢です。お腹の中で丸まっていた反動で、手足が自然と広がりバンザイ寝になるという説もあります。
また、大人がする場合とは異なり、赤ちゃんの場合は体が未発達なので、体の機能を補おうとしてこの姿勢をとることが多いです。
例えば、赤ちゃんは体温調節がまだうまくできないため、バンザイのポーズを取ることで、手のひらから体内の熱を逃がそうとしていると考えられています。バンザイの姿勢をすることで胸が開き、呼吸がしやすくなるため、より深くリラックスした状態になっているともいわれます。
バンザイ寝を続けると起こる体への影響
バンザイ寝は、一時的にはリラックスできる体勢に感じられるかもしれません。しかし長時間続けると、体にさまざまな負担をかけてしまう可能性があります。ここでは、バンザイ寝を続けることで起こりうる、体への影響を紹介します。
首こりや肩こり
バンザイ寝をすると、肩から腕にかけての血管が引き伸ばされ、血管の中が狭くなるため、血流が滞りやすい状態になります。この状態が長時間続くと、周囲の筋肉が硬くなり、血行不良が生じやすくなってしまいます。血行不良が進行すると、朝起きたときの首や肩のこりにつながります。
いびきや無呼吸のリスク
通常起きている状態では、空気は鼻からのどを通って気管へとスムーズに流れていますが、仰向けで寝ている間は、のどの筋肉の緊張が緩みやすく、舌がのどの奥に落ち込みやすくなります。その結果、空気の通り道が一時的にふさがれ、いびきが出る、呼吸がしづらくなる、睡眠時無呼吸のリスクが高まる、といった問題が起こることも。特にバンザイ寝では両腕を上げることで胸郭が引き上げられ、顎が引けた状態になるため、気道の圧迫を引き起こしやすくなります。このような姿勢は、気道閉塞のリスクを高める要因の一つと考えられています。
睡眠の質低下による疲労感

体に負担のかかる姿勢が続くと、睡眠中の酸素供給が不安定になり、深い睡眠に入りにくくなったり、無呼吸状態になって夜中に目が覚めることも。睡眠の質が低下すると、その影響を受けて集中力やパフォーマンスも低下し、慢性的な疲労や不調の一因となることもあります。
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バンザイ寝を改善するためのポイント
ここではバンザイ寝をしないようにするために、日頃から気をつけたいポイントを紹介します。
就寝前のストレッチ
バンザイ寝を改善するためには、まず首・肩・背中まわりの緊張を緩めることが大切です。デスクワークなどで首や肩の筋肉が緊張しがちな人は、寝る前に軽く首や肩のストレッチをして血行を促進し、筋肉をリラックスさせておくとよいでしょう。さらに軽いストレッチを行うことで、副交感神経が活性化されるので、心身が落ち着くというメリットも。特に就寝前に行うと、リラックスしやすくなるといわれています。
ただし、就寝前の激しい運動は、かえって睡眠を妨げるため、軽いストレッチに留めておくのがよいでしょう。
ストレッチの詳しい方法は、下記記事を参照してください。
寝具の見直し
寝具は睡眠の姿勢に影響を与えるため、快眠のためには自分に合った寝具選びがポイントです。
例えば、マットレスが柔らかいと胸や腰への負担が増加し、反対に硬いと体に圧がかかり過ぎて血流が妨げられることに。また、枕には寝たときに首とベッドとの隙間を埋めて、後頭部から首にかかる負担を和らげる役割があります。そのため、高さの合わない枕を使っていると、首や肩に余計な負担がかかってしまう可能性があります。また胸や首まわりの筋肉の動きが制限されてしまい、寝ている間の呼吸がしづらくなることもあるでしょう。
仰向けの姿勢で快適に寝るためには、首から頭にかけての傾斜角度が10~15度、額より顎の先が5度程度下がっている状態が理想とされています。この条件に合う高さの枕が、呼吸が楽で、首、肩、背中の筋肉の緊張がとれると考えられています。後頭部から首にかけてのカーブの形状は人それぞれ異なるため、自分自身の体型や姿勢の癖に合った枕を選ぶことが大切です。
ストレスの軽減

ストレスは首や肩の筋肉を緊張させ、バンザイ寝につながりやすくします。まずはしっかりと休息をとって、心身を休める時間を意識的に確保することが大切です。日中も、作業の合間に立ち上がって体を動かす、軽く一息つくなど、こまめなリフレッシュを挟むようにしましょう。
日々の緊張状態から気持ちを切り替えるために、運動や趣味、自然に触れる時間をもつこともおすすめです。短時間でも構わないので、自分の好きなことに集中できる時間を生活のなかに取り入れてみてください。さらに、深呼吸や軽いストレッチ、好きな音楽を聴くなど、自分なりにリラックスできる方法を見つけておくのもおすすめです。家族や友人とゆったりとした時間を過ごすことも、ストレス軽減につながります。
栄養バランスを整える

バンザイ寝の原因となる首・肩の疲労を和らげるためには、バランスのよい食事を3食しっかり取ることが大切です。主食・主菜・副菜を基本に、炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの五大栄養素を過不足なく摂り入れましょう。バンザイ寝が習慣になっていたり、日頃から肩や首のこりや疲労を感じている方は、疲労の回復をサポートしたり神経の機能を正常に保つ働きのあるビタミンB群や、血行の促進に関わるビタミンEを意識して摂取しましょう。
ビタミンB群のうち、ビタミンB1は糖質の代謝をサポートし、エネルギーの産生をスムーズにして疲労回復を促進する働きがあるため、首や肩こりの原因となる筋肉の疲労の回復にも役立ちます。食品では、豚肉や大豆などに含まれています。しかし、ビタミンB1は食品から摂取しても体内に吸収されにくいという性質があります。そのため、吸収性を高めたビタミンB1誘導体「フルスルチアミン」が配合されたビタミン剤を活用することも一つの手です。
ビタミンB6・B12は神経の機能を正常に保つ働きがあり、首や肩こりの改善に効果があるとされています。
ビタミンB6は魚や肉、レバー、種実類、ニンニクなどに、ビタミンB12はしじみなどの貝類 · 牛レバーなどの肉類 · 鶏卵などの卵類 · 干しのりなどの海藻類などに多く含まれます。
ビタミンEは悪い姿勢などによる筋肉が緊張し、こり固まってしまった状態に対して血行の促進に関わることで緩和します。ビタミンEは植物油やアーモンドなどに含まれます。
食事から積極的に取り入れることを意識しながら、補足的にこれらのビタミンが含まれているビタミン剤を活用するのもよいでしょう。
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バンザイ寝は体からの不調のサイン。正しく理解して快適な睡眠を目指そう

バンザイ寝は、体が発する不調のサインかもしれません。一見リラックスしているように見えても、首や肩の筋肉の緊張や疲労、ストレスが原因となっている可能性があります。バンザイ寝が習慣化すると、首や肩のこりが悪化したり、睡眠時のいびきや無呼吸につながり、睡眠の質を下げて疲労の回復を妨げる要因になることも。改善するためには、ストレスを溜めない生活を心がけ、バランスのよい食事を取ることが大切です。特に寝ても疲れが取れないと感じている人は、エネルギー代謝を支えるビタミンB1や神経の機能を正常に保つ働きのあるビタミンB6・B12、血行を促すビタミンEなどの栄養素を積極的に摂り入れるようにしましょう。忙しくて食生活が乱れがちな人は、ビタミン剤の活用もおすすめです。生活習慣を見直して、より質の高い睡眠と健康的で快適な毎日を目指していきましょう。
- <参考文献>
- 日本整形外科学会「首こり」
- 日本臨床整形外科学会「肩こり」









