更新日:2024年1月29日
オーバーワークとは?原因やもたらす症状、疲労を蓄積しないための対処法を解説
働きすぎの状態が長く続く「オーバーワーク」になっていませんか?「最近、疲れがとれない」「元気が出ない…」と感じるこの疲労感は「休息が必要」という身体からのSOSサイン。日々の仕事を見直すとともに、疲労回復に努めることが大切です。今回は、身体の疲れのメカニズムや、オーバーワークの原因と対処法、疲労を蓄積しないための対処法について解説します。
監修
渡辺 恭良 先生
日本疲労学会 理事長、
神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授、
理化学研究所 名誉研究員、
Integrated Health Science株式会社 代表取締役CEO
INDEX
オーバーワークによる疲れは身体からのSOSサイン
オーバーワークは、言い換えれば過重労働のこと。その人にとって負担が重すぎる長時間労働などで、働きすぎになっている状態を指します。
通常、日々の疲れは休息や睡眠、気分転換、栄養補給などで回復することができます。しかし、オーバーワークで長期間にわたって身体やこころに大きな負荷がかかり続けると、一時的な休息などでは疲労がなかなか改善されにくくなることが報告されています。
そもそも疲労とは、心身への過度のストレスが重なって起こる「作業能率(活動能力)が低下した状態」です。これは、休息の必要性を知らしめ、このまま放置すると健康が損なわれてしまう、という身体からの警報サイン(アラーム)でもあります。休んでも疲労が回復しないオーバーワークの状態が続くと、パフォーマンスの低下だけでなく、ほとんどすべての臓器の疾患、がん、アレルギー疾患、精神障害などの病気を発症するリスクも高まるため、過重労働が問題視されているのです。
明確な定義はありませんが、残業時間や休日労働時間などの時間外労働が「月45時間」を超えて長くなるほど、健康が損なわれてしまう可能性があるといわれています。これに対して近年、時間外労働の上限が罰則つきで規定されるなど、国としても厳しく管理する体制が整えられつつあります。
「疲れ」を感じるとき、身体の中では何が起きている?
人が「疲れたな」と感じるとき、身体の中では何が起こっているのでしょうか?
私たちの身体の中では、あらゆる細胞が日夜稼働しています。体内の細胞は、生命活動で発生する活性酸素によってダメージを受けます。このダメージによって細胞の活動能力、つまりその人自身の活動能力が落ちた状態が「疲労」です。
傷ついた体内の細胞を修復するためには、非常に多くの修復エネルギーが必要です。しかし、オーバーワークが続くことで修復エネルギーが不足していると、体内の細胞へのダメージが修復されることなく蓄積され、細胞の調子が悪くなっていきます。
このとき、体内の細胞の傷害を感知した免疫系細胞がシグナルを脳神経系・内分泌系などに送ります。脳は、そのシグナルに含まれる身体のどこの細胞がどの程度損傷しているかという情報によって「疲労の程度」をキャッチしていることがわかってきています。その感覚が「疲労感」というものです。
つまり、疲労は休息の必要性を知らせ、体内の細胞が過剰活動によって疲弊してしまうのを防ぐための警報だといえます。疲労の自覚症状としては、活動意欲の低下、だるさ、脱力感、「これ以上活動したくない」という不快感などが挙げられます。
身体の中での出来事は、人間の生命活動、そして社会活動へと大きく影響を及ぼします。人が生活(仕事、介護、育児、学業、運動など)においてオーバーワークをしているとき、それらを乗り切ろうと身体の中でも細胞や各組織においてオーバーワークが起こっています。身体、そして生活上でのオーバーワークは地続きであり、心身の状態と生活上の状況の双方に気を配ることが大切です。
オーバーワークの原因は?
オーバーワークになる原因は、環境によるものと、個人によるものの二つに大きく分けられます。また育児・介護など、ライフステージごとの場合や、仕事・学業・スポーツ上のトレーニングなど個人の状況によって左右されるものもあり、双方が重なる場合も考えられます。ここでは、特に仕事の場面にフォーカスし、職場や企業側の管理体制など周囲の環境による原因を具体的に解説していきます。
人手不足
職場の人手不足のため一人当たりの業務量が多くなり、オーバーワークになってしまうことがあります。ぎりぎりの人数でのシフト制の勤務環境など、休みたくても代わりの人が見つからず慢性的なオーバーワークになることも少なくありません。
業務を残業なしに処理するためには、人員・業務量を見直すことが必要です。また、特定の人しか担当できない業務がある場合、業務量が増えたときにその人の負荷が大きくなり、オーバーワークに発展してしまうこともあるでしょう。
仕事の特性
職業や職場、個人の役職や立場など、担っている仕事の特性によって残業せざるを得ない状況を生んでしまっている可能性もあります。
例えば「顧客からクレームや要望変更など突発的な業務が生じやすい」「ノルマ、目標の水準が高い」「締め切りや納期にゆとりがない」といったケース。部下・後輩の指導や他の人の仕事をカバーするために残業をしている場合もあるでしょう。
その他、勤務時間が労働者の裁量に委ねられている「裁量労働制」で働いている人も注意が必要です。クリエイティブ職や研究職、資格が必要な専門職などの裁量労働制の職種は、自由な働き方ができる一方、求められる成果への強いプレッシャーを感じたり、時間に制限がないため長時間労働になったりしてしまう懸念もあります。
コミュニケーション不足
意外かもしれませんが、コミュニケーションが不足している状況も、オーバーワークの原因になります。情報共有をし合う習慣がない、したとしても頻度が少ない環境では、タスクに対する客観的な見直しがしづらく、指摘もされづらいでしょう。
さらに、急に頼まれる業務に振り回されることが多かったり、スケジュールに余裕がなかったりすれば、冷静に業務の優先順位がつけられず、業務量が膨らんでしまうことも。
実際に、コミュニケーションが円滑である、同僚間で仕事のノウハウを教える風土がある、上司が就労上の問題を理解しているという職場では、労働時間が短い傾向にあるという報告もあります。
職場の雰囲気
職場の雰囲気、上司や同僚などの考え方もオーバーワークに関係します。働き方改革が進められてはいるものの「仕事以外の時間を犠牲にしてでも、会社に貢献すべきだ」といった考え方が根強い職場では、有給休暇を取りづらかったり、定時で仕事を終わらせて帰ることに抵抗感があったりするでしょう。
また、上司や同僚など周りの目を気にして残業せざるを得ない「付き合い残業」を生んでいるケースもあるようです。
仕事を断りづらい状況
上下関係と集団意識が強い職場では、仕事を頼まれたら断りづらく、自分の業務量以上に引き受けてしまうことも。
そもそも、職務内容や責任範囲が曖昧な日本の雇用契約では、「自分がやらなくてもよい仕事かどうか」という判断がつきづらいという特徴があります。そのため断る理由もつくりにくく、頼まれた仕事は基本的には請け負ってしまい、オーバーワークにつながっている可能性があるでしょう。
オーバーワークになりやすい人の特徴
次に、人によるオーバーワークの原因を見ていきましょう。オーバーワークになりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか?
相談しづらい環境にいる人
自分から相談をするのが苦手で、一人で仕事を抱え込んでしまうことはありませんか?しかし、相談することに苦手意識を感じているのは、自身の性格のせいではなく、そもそも相談しづらい環境下にいるためかもしれません。
相談しづらい環境下にいる人とは、例えば、リモートワークが定着し、気軽に声をかけにくい環境にいる場合や、慢性的に業務量が多く、相談したくても「みんな大変だから」と遠慮してしまうような場合です。また、部下の相談には乗る機会があるものの、自分の相談に乗ってもらえる機会が少ないケースも考えられます。特に、クリエイティブな仕事をしている人は、そもそも中身を理解できる相談相手がいないという問題もあります。
仕事量や作業工程の判断が苦手な人
仕事の優先順位を決めるのが苦手な人は、今日やらなくてもいい仕事をその日中に終わらせようとして1日の業務量が増え、残業につながることも。また、自分の見込みよりも工数がかかるタスクへの見通しがつけられておらず、納期間際に焦ることになり、結果、オーバーワークにつながります。
一つの作業に必要以上に時間をかけている場合は、生産性が下がってしまうため、作業量に対して所要時間をあらかじめ決めてから、取り掛かるとよいでしょう。難しい作業や思考力を要するものから先に取り掛かることもコツ。それでも時間内に作業を終わらせることが難しければ、改めて最適な手順を検討するのもよいでしょう。
疲労やストレスの自覚症状がない人
相当な長時間労働をしているのに、疲労やストレスをあまり感じていない(自覚症状がない)という人は特に要注意。このような人たちのことを「過剰適応」といいます。
単に仕事が好きというだけでなく、完璧主義や強い使命感のある人、正義感が強く「自分は必要とされている」と思っている人ほど、無理をしているのに疲労感を自覚できなくなっていることがあります。また、本人の性格や特性に関わらず、深夜や休日でも業務のメールが飛び交う職場環境で常時オンモードにあるのが日常になっているために、休養の取り方がわからなくなっている人も多いかもしれません。
こういった人が多い環境では、知らず知らずのうちに、自分も同じ働き方をしてしまう可能性があります。周囲に過剰適応のような状態の人を見かけたら、それとなく働き方を注意して、冷静に客観視してみることも必要です。
オーバーワークがもたらす不調の症状
オーバーワークによって疲労が蓄積したままの状態では、さまざまな症状や弊害を引き起こします。疲労感(自覚症状)の感じ方には個人差があり、少しの業務でかなり疲れる人もいれば、多少の残業では疲れない人もいるでしょう。自分では「大丈夫」と思っていても、身体は疲労している可能性があるので、自覚症状の有無だけで判断せず、労働時間も含めて健康状態を把握するようにしましょう。
疲れがとれにくい
身体や頭脳を使った労働、精神活動によってたまった疲労は、本来ならば休憩や十分な睡眠・栄養摂取、リフレッシュによって回復します。しかし、オーバーワークを続けていると、十分な疲労回復がされる前に疲労がさらに蓄積するという悪循環を生みかねません。
疲労が6ヵ月以上継続する場合を「慢性疲労」と呼び、日によって少し良くなったり、悪くなったりしますが、総じて異変を感じ始めた期間の半分以上の日数でかなりはっきりと自覚できるような疲労感があり、ある時期から回復が図れないような状態をいいます。
慢性疲労になると、生活上の工夫や休息をとってもすぐには元の状態に戻れなくなっていることも多く、自身で対処できなくなるほどの状態であるために医療機関に受診することが必要です。
そこまでではなくても、「最近疲れがとれにくい日があるな」と感じる場合には、早めに疲れに対処する習慣を日頃から心がけることが大切です。
※以下の疾患は医師による診断が必要です。心配な場合には、早めに医師の診断と治療を受けましょう。
慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)とは?
(正式名称:筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)
これまで健康に生活していた人が、さまざまなストレスがきっかけとなり、ある日突然、原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、強い疲労感とともに微熱、頭痛、脱力感、筋肉痛、思考力の低下、抑うつ状態などの精神神経症状などが長期にわたって続く疾患です。こうなると、患者さんは健全な社会生活が送れなくなってしまい、症状が重い場合には、生活そのものが壊されてしまう深刻な状況に陥ります。
慢性疲労症候群の発症に大きく関わっているのは「ストレス」だと考えられています。人間関係がうまくいかないなどの長期間の精神的なストレスにさらされ続けることも要因になりえます。加えて、完璧主義・物事へのこだわりが強いといった性格や気質も関係することがわかってきています。
なお、慢性疲労症候群(CFS)という呼び方は疲労という誰もが日常生活で経験している症状を病名として用いていることにより誤解や偏見を受ける可能性があるために、現在は「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群
(ME/CFS:Myalgic Encephalomyelitis /Chronic Fatigue Syndrome)」と呼ばれるようになってきています。
2016年に改訂された筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準は以下のようになっています(一部抜粋)。
6ヵ月以上の期間にわたって「強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下」「活動後の強い疲労・倦怠感」「睡眠障害、熟睡感のない睡眠」「認知機能の障害ないし起立性調節障害のいずれかを認める」といった状態を認め、臨床検査を実施の上、他の疾患・病態と鑑別および日常活動における疲労・倦怠の状態を医師によって判断する。
集中力・パフォーマンスの低下
人は働きすぎると、脳の中の新規学習・計画・集中といった機能を司る領域に休みをとるよう警告を発すると考えられています。疲れると眠くなり、集中力・注意力・思考力・認知機能の低下を招くのはそのためです。
また、疲労によって脳だけでなく身体の作業効率が低下した状態になっているため、満足なパフォーマンスが得られない可能性もあります。
ストレスによる心理・感情面の変化
オーバーワークによって仕事のストレスが高まりやすくなります。ストレスが高まり、蓄積すると、心理・感情面にさまざまな変化が現れてきます。
例えば、「気分が落ち込む、何事にも悲観的になるような憂うつ感がある」「好きなことに興味が持てず、何をするにもおっくうに感じる」「イライラして落ち着きがない」「漠然と不安や焦りを感じる」などです。このような気持ちが続く場合、ストレスや疲れがたまっていると考え、積極的に休息をとりましょう。
逆に、休息をとってもいつもの自分の状態に戻れていない、仕事でのパフォーマンスが著しく落ちていると感じる場合、腹痛や頭痛など心身に症状が現れている場合は、メンタル面でのケアが必要となります。気になる場合はなるべく早めに医療機関を受診しましょう。
オーバーワークにならないための対処法
オーバーワークを避けるためには、健康障害防止の観点から、時間外労働は月45時間以下とするのが望ましいでしょう。ただし、月45時間以下であっても、自分にとって労働時間が非常に長いと感じる場合や持病がある場合などは、健康に影響が出る可能性があります。あくまで自分に合った働き方や労働時間に調整することを心がけましょう。
オーバーワークへの対策は事業者側の管理体制の見直しなどももちろん必要ですが、ここでは主に労働者本人としてできる対処法を紹介します。
業務を効率化する
まず取り組みやすいものとして、日々の業務の効率化を図るのがおすすめです。
仕事に優先順位をつけ、タスクの「見える化」をするなど、日々の業務に無駄なところがないかを見直しましょう。タスク管理やタイムマネジメントなど、さまざまな業務効率化のツールがあるので適宜利用するのも一つの方法です。周囲の人に効率化の方法を聞いて情報交換するのもよいでしょう。
ただし、業務の効率化は個人だけでなく、企業側の改善によるところも大きいはずです。個人レベルでは難しいかもしれませんが、機会があればペーパーレス化によるバックオフィス※の体制整備、ITツールを利用した情報共有の効率化や勤務時間の可視化、業務改善コンサルティングの活用なども一手です。
※企業などの組織において、事務・管理業務などを担当し、フロントオフィスを支援する部門。人事・経理・総務・情報システム管理部門など。
上司や相談窓口などに相談する
長時間労働や仕事の配分など、自身の努力では解決しにくいものについては、周囲に相談しましょう。社内の該当部署や相談窓口があれば、ぜひ活用してください。一緒に解決策を検討してくれるはずです。
「大ごとにはしたくない」「相談しづらい」と感じる人もいるかもしれませんが、無理をすれば体調を崩してしまう可能性がありますし、仕事が間に合わず会社や周りの人にも影響が出てしまうかもしれません。自分一人の問題として抱え込まず、解決に向けて動くことが大切です。
また、日頃から周囲の人と、お互いに業務内容を共有しておくことで、いざというときにフォローし合いやすくなります。「困ったときはお互い様」の意識を持って、日頃から助け合える関係づくりを進めることも意識しましょう。
テレワークの場合はオンとオフの時間をつくる
テレワークは移動時間がなくなることで時間的余裕が生まれるうえ、通勤のストレスから解放され、肉体的、精神的にもゆとりを持つことができます。
一方で、オンとオフの切り替えがつきにくく、結果として長時間労働になりやすい傾向も。労働時間の管理やオン・オフの切り替え、業務の効率化を意識するなど、自身でも対策をとることが必要です。
ストレスチェックを行う
オーバーワークなどで疲労を感じたら、厚生労働省が公開している「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」(以下:チェックリスト)を活用すると、簡単に疲労度を測定することができます。
疲労の蓄積があると判定された場合は、チェックリストを見せながら上司や医師に相談するなど、早めに対処しましょう。チェックリストは、インターネット上に公開され、オーバーワークによる健康障害防止対策のツールとして広く活用されています。
簡単に今の疲れやすさをチェックしたい人はこちら。
疲れのセルフチェック ーカラダの疲れー
家族や友人の協力を得る
家族や友人など、身近な人に話を聞いてもらうだけでも、気分転換になるはずです。自身の仕事の状況や最近の体調・気持ちの変化など、ざっくばらんに話してみては。職場に改善を求めたり、転職したりするには、ある程度の時間がかかりますから、まずは家族に事情を話し、休日は睡眠・休養のための時間を優先できるよう、協力を得ることも必要です。
逆に、自分の家族が長時間労働などにより「疲労を蓄積させているのではないか」と不安に感じたときには、見た目の様子からチェックリストで測定を行うことができます。その結果を用いながら、本人と話し合ってみましょう。
意識して休息をとる
疲労を蓄積させないためには、日頃から休息をとることが大切。ノー残業デーなど会社の過重労働防止対策を活用し、有給休暇をとれるときには積極的に取得しましょう。
「疲れた」と感じたときは、作業の合間に短い休息を挟み、休憩時間には仕事のことを考えないなど、意識的に身体と脳を休ませる習慣をつくるとよいでしょう。
疲労をためない方法
高血圧や糖尿病など基礎疾患のある人は特に、オーバーワークによる健康障害を起こしやすくなります。日頃から健康的な生活習慣や疲労回復を心がけ、自身の健康増進に努めましょう。
規則正しい生活のリズムを心がける
忙しいときには健康管理が後回しになりがちです。まずは規則正しい生活を心がけ、心身のバランスを整えましょう。日々の生活を見直すことは、生活習慣病をはじめとする疾患の予防にもなり、体調がよいことは仕事のパフォーマンスにもつながります。
そして、不調や体調不良だと感じたら忙しくてもすぐに医療機関に行き、医師に診てもらいましょう。放っておくことは重症化リスクを高め、治療に多くの時間を費やすことにもなります。また、持病の管理・治療もおろそかにしてはいけません。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は、脳・心臓疾患のリスクになるとともに、メンタルヘルスの不調のリスクも高めます。できるだけ睡眠時間を確保するようにしましょう。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、心身の健康を維持するために1日7~9時間の睡眠を心がけるとよいでしょう。
栄養バランスのよい食事をとる
疲労を感じるときは、体内の細胞がダメージを受けて機能低下し、細胞を修復するためのエネルギーが必要な状態です。細胞のエネルギーのもとになるのは、糖質・脂質・タンパク質からなる三大栄養素。さらに、体内で糖質からエネルギーをつくり出すために不可欠なビタミンB1を摂取することが大切です。
仕事が忙しくなると外食やコンビニなどのお弁当を食べる頻度が多くなり、栄養が偏りがちに。忙しいときこそ、三大栄養素をバランスよく摂ることを意識した食品選びを心がけましょう。三大栄養素に加えて、不足しがちなビタミンなどは指定医薬部外品などの市販薬や栄養補助食品などで補うこともおすすめです。
- <疲労の回復・予防に関連するアリナミン製薬の製品>
適度な運動を行う
仕事でのオーバーワークによる不調を予防し、疲労回復するためには、習慣的に適度な運動を行うことが有効です。通勤時や昼休みなどに、1回10分程度の簡単なストレッチなどで身体を動かしましょう。
座り続ける仕事が多い場合は、30分ごとに3〜5分程度立つのがおすすめです。
自分に合った休養・リフレッシュ方法を試す
疲労には大きく分けて「肉体疲労」と「精神疲労」があります。肉体疲労には休息や睡眠、栄養補給。精神疲労には旅行や趣味などによる気分転換が効果的です。オーバーワークによる疲労をためないためには、身体を休め、精神的にも仕事から離れることが重要なのです。
入浴やマッサージ、体操をする、音楽を聴く、栄養バランスを意識した美味しい食事をとる、不調や疲れにあわせた栄養ドリンクを飲むなど、日常的に疲労を回復することができる自分ならではの対処法を見つけて、疲労を持ち越さないことも忘れずに。
オーバーワークは早めの対処が肝心
オーバーワークによって疲労がたまると、心身の健康が損なわれてしまいます。ひどくなると仕事を続けることができなくなる可能性もあるため、早めの対処が肝心です。どんな仕事でも、身体が資本です。労働時間の長さに関わらず、疲れを感じたら積極的に休息をとり、疲労を回復させるための対処法を試してみましょう。
- <参考文献>
- 日刊工業新聞社,2018「疲労と回復の科学 (おもしろサイエンス)」渡辺恭良・水野敬(著)
- 厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001084057.pdf - 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定 過労死等の労災補償 Ⅰ」
https://www.mhlw.go.jp/content/001004366.pdf
- 「オーバーワーク」の関連情報はこちら
- 疲れの情報局「疲労のコアメカニズムとその影響」
- 疲れの情報局「『疲れやすい』の原因は? 4つの行動と栄養素の不足」