更新日:2025年6月25日
疲れが取れない30代女性必見!体がだるい・眠いのは疲れのせい?対策を紹介
30代の女性の中には、「休んでも疲れが取れない」「常に体がだるい」「寝ても寝ても眠い」「原因は分からないけど、とにかく体調が悪い…」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。30代はライフステージの変化が起こりやすく、心身ともに負荷がかかりやすい時期。特に女性の場合は、ホルモンバランスの変化も影響して、身体の不調を感じやすくなっています。では、こうした疲れや不調に対して、どう対処すればよいのでしょうか? この記事では、30代女性の疲れが取れない原因と有効な対策、疲労回復に役立つセルフケアを紹介します。
監修
渡辺 恭良 先生
日本疲労学会 理事長、神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授、理化学研究所 名誉研究員、Integrated Health Science株式会社 代表取締役CEO
INDEX
30代女性の疲れは特に深刻!
忙しい現代では、「疲れが取れない」という悩みを抱える人も少なくありません。なかでも、30代の女性の疲れは、特に深刻な傾向にあることが分かっています。
日本リカバリー協会が発表している「リカバリー(休養・抗疲労)白書2024レポート」では、2017年から行われている大規模インターネット調査「ココロの体力測定」の結果をもとに、日本の人口を「元気な人」「疲れている人(低頻度)」「疲れている人(高頻度)」に分類しています。
このレポートによると、30代の「疲れている人(低頻度+高頻度)」の割合は87.4%で、他の年代と比べて最も高くなっています。特に、30代の女性は「疲れている人(低頻度+高頻度)」の割合が90.8%と、どの層よりも高く、疲労が深刻です。
30代はキャリアの中で重要な転機を迎えたり、ライフイベントが発生したりすることが多い時期。それにともない仕事での責任、家事や育児の負担が大きくなり、心身ともに疲労が溜まりやすくなっていると考えられます。
「疲れが取れない」=疲労の回復が追い付いていない状態
そもそも「疲労」とは、労働や運動などによる全身のオーバーワークによって生じた活性酸素により、身体の中の細胞中の大切な部品が酸化(さび付き)することによって細胞そのものが傷つき機能低下した後、その傷ついた細胞を修復するためのエネルギーが不足している状態のことを指します。
傷ついた細胞を修復するには、十分な休養と修復エネルギーが必要です。細胞が傷ついた状態が回復しないまま放置されると、さまざまな不調につながります。つまり、疲労によって「休みたい」と感じるのは、病気などにならないように身体が休養の必要性を知らせるアラートでもあるのです。
・疲労には3タイプある
疲労には、「急性疲労」「亜急性疲労」「慢性疲労」の3タイプあるのをご存じでしょうか?
「急性疲労」は、短い時間の疲労のことで、少し休養を取ったり、一晩寝ると回復するのが特徴です。しかし、過密スケジュールや睡眠不足が続くと、回復が追い付かなくなってしまい、「亜急性疲労」と呼ばれる状態になります。
亜急性疲労になると、一晩寝ただけでは回復せず、疲労を翌朝まで持ち越してしまうことも多くなります。疲労感が2日~1週間ほど続き、日常生活にも支障が出る可能性も。亜急性疲労がさらに重くなると、数ヵ月以上長期間にわたって疲れやだるさが続く「慢性疲労」※状態になります。慢性疲労になると、休息と睡眠では改善が難しくなり、心理的・身体的に深刻な不調を引き起こすこともあるため、早めの対策が必要です。
※慢性疲労…6ヵ月以上の期間のうち、半分以上の期間、断続的にも疲れを感じている状態。
なお、子どもの場合は30日以上疲れが続く状態を指し、期間が大人と異なる。
もし、原因がはっきりと分からないのに6ヵ月以上厳しい疲労症状が続き、生活すらも困難な場合には、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS: Myalgic Encephalomyelitis / Chronic Fatigue Syndrome)などの病気が疑われます。気になる症状が長期化している方は、早めに医療機関を受診しましょう。
30代女性が「疲れが取れない」と感じる主な原因と対策
疲れを取るためには、まずは自分がどのような要因によって疲れを感じているのかを知り、適切なケアを行うことが大切です。ここでは、30代女性が「疲れが取れない」と感じる主な原因と、その対策について詳しく紹介します。
日々のストレスや疲れの蓄積
30代の女性は環境の変化も多く、生活のさまざまな場面でストレスを受けやすくなっています。公私ともに充実する反面、頑張り過ぎているという人も多いでしょう。小さな子どもの育児や親世代のサポートなど、自分だけではコントロールが難しい状況も抱えながら生活を送る人も少なくありません。逆に、同世代の状況を見て比べてしまったり、無意識のうちに焦ってしまうことも。こうした生活の中で、上手に気持ちの切り替えができず、思うような休息が取れないと、身体的・精神的な疲労が蓄積され、次第に回復力が低下してしまいます。
また、過度なストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れがちになり、食欲不振や消化不良、冷え性、肩こり、イライラ、頭痛、不眠などにつながることもあるため、早めの対策が必要です。
運動量・筋肉量の減少
仕事や育児、家事などで忙しい30代は、運動するための時間を取ることが難しい場合も多いです。運動をしたくても疲れて動きたくない気持ちが勝ってしまうこともあるでしょう。また、デスクワークが中心の生活では、長時間座っていることが多く、筋肉を使う機会が減少してしまうことも。運動不足が続くと血行が滞り、酸素や栄養素が全身へ十分に行き届かないため、疲れや肩こりを感じやすくなります。
さらに、運動不足によって筋肉量が減少すると基礎代謝が下がり、ちょっとした日常動作でも疲れやすくなることに。筋肉量は25~30歳ごろをピークに加齢とともに減少するため、30代のうちから意識して運動習慣を身につけることが大切です。
睡眠の質の低下
疲労の回復には、十分な睡眠時間だけでなく「睡眠の質」が大きく影響します。睡眠時間を確保できている場合でも、睡眠の質が低下していると十分に休めた感覚が得られず、疲れを持ち越している状態といえます。 原因として、寝る直前までスマートフォン(スマホ)の画面を見続けていたり、リベンジ夜更かし(日中の生活に充足感や満足感が少ないために、睡眠時間を削ってでも何かをしようとしてしまうこと)などによって寝る直前まで刺激や情報の多い生活を送っていることも考えられます。
前述の「リカバリー(休養・抗疲労)白書2024レポート」でも、「疲れている人(高頻度)」は寝ている間に目覚めてしまう中途覚醒が多い傾向にあると報告されていて、疲れの度合いと睡眠の質には大いに関係があります。
- <日中の眠気に対処したい方はこちらをチェック>
食生活の乱れ
仕事や育児、家事などで忙しい30代の女性は、食事の時間が不規則になったり、料理に手間をかける余裕がなくなったりすることも多いでしょう。なかには、ストレスや疲れから甘い物やジャンクフードを食べ過ぎたり、過度なダイエット、無理な食事制限でエネルギー不足に陥ったりする場合も。
こうした食生活の乱れによって、ビタミンやミネラルなどの必要な栄養素を摂取できていないと、疲労が回復しにくい状態に陥ってしまいます。
疲労回復のためには、三大栄養素のバランスを意識しながら毎日3食をきちんと食べることが大切です。特に疲れているときには、糖質と一緒にビタミンB群を意識的に摂取するのがおすすめです。
- <ビタミンB群を配合し、栄養不良に伴う疲れやすさや身体のだるさに効くアリナミン製品>
ホルモンバランスの乱れ
30代は仕事や家庭の負担が重なりやすく、ストレスを感じる場面が多い年代です。特に女性の場合、強いストレスを受けると、女性ホルモンの分泌が不安定になり、自律神経に影響が出る場合も。
自律神経は体内のさまざまな働きを調整しているため、バランスが崩れると、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸などにつながります。また、ホルモンバランスが乱れると、生理痛やPMS(月経前症候群)が悪化する場合もあります。
貧血
貧血も、疲労倦怠感といった体の不調を引き起こす原因の一つです。貧血になると血液中のヘモグロビンが不足し、全身に酸素を運ぶ力が低下するため、疲れ、めまいなど、さまざまな不調が現れます。
月経(生理)のある女性はどうしても鉄分不足がちになり、知らず知らずのうちに貧血になっていることも少なくありません。厚生労働省のデータによると、月経のある20代~40代の女性の約65%が、「貧血(鉄欠乏性)」もしくは「かくれ貧血」とされています。
無理なダイエットによる栄養不足も、貧血を引き起こす要因の一つです。極端なカロリー制限や糖質制限などは避けるようにしましょう。
貧血によって立ちくらみなどの日常生活への支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診して検査を受け、必要に応じて適切な治療を行うことが大切です。
疲れが取れない30代女性に試してほしい! 疲労回復方法
疲れが取れずに悩んでいる場合は、まずは積極的に休養を取ることが大切です。
そのうえで普段の生活習慣を見直し、疲れにくい身体づくりを目指しましょう。
ここでは、疲れが取れない30代女性に試してほしい、おすすめの疲労回復方法をご紹介します。
30代女性こそ摂りたい。疲労の軽減につながる栄養素を摂取する
特に30代の女性は、エネルギー産生を促す栄養素や抗疲労成分、抗酸化作用のある成分などを摂取し、疲労を軽減するよう意識してみましょう。
・エネルギー産生を促す栄養素
疲労から回復するためには、活性酸素によって酸化され傷ついた細胞を修復するのに十分なエネルギーを補給する必要があります。疲れが取れないと感じるときは、三大栄養素の代謝を助け、エネルギーを効率的に生成する働きがあるビタミンB群を意識して摂取しましょう。
糖質・アルコールの代謝を助けるビタミンB1は豚肉や玄米に、脂質の代謝を助けるビタミンB2は卵や豆類に、エネルギー産生・代謝を助けるナイアシンは魚介類に多く含まれています。
・ビタミンB1を改良した抗疲労成分フルスルチアミン
ビタミンB1は疲労の対策に有効な栄養素ですが、水溶性であるために食品から摂ろうとすると調理過程で流出したり壊れてしまう弱点があります。そこで、ビタミンB1の構造の一部を改良することで、ビタミンB1よりも体内への吸収率を高めたビタミンB1誘導体、フルスルチアミンという抗疲労成分が知られています。なお、フルスルチアミンは、医薬品(医薬部外品も含む)にのみ配合が認められている成分です。
まずは食事からさまざまな栄養素をバランスよく摂取することをメインに、必要に応じてフルスルチアミンを含んだ医薬部外品の栄養ドリンクなどを活用しましょう。
・抗酸化作用のある成分
「抗酸化作用」がある栄養素は、疲労の原因となるとされる「活性酸素」を除去してくれます。
「抗酸化作用」がある代表的な栄養素には、鶏胸肉などに含まれるイミダゾールジペプチド、いわしなどに含まれる還元型コエンザイムQ10、レモンなどに含まれるビタミンC、鮭などに含まれるアスタキサンチンが挙げられます。活性酸素は疲労の原因だけでなく、老化、がん、シワ、しみなどの原因にもなるため、これらを除去するための栄養素を積極的に摂取できるとよいでしょう。
・その他の成分
女性は貧血になりやすいので、肉、魚、あさり、小松菜などに含まれる鉄分を摂取しましょう。鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄は吸収率が高く、非ヘム鉄の吸収もサポートしてくれます。鉄分は、動物性タンパク質やビタミンCを同時に摂取すると吸収率がアップするため、肉や魚料理に野菜や果物を組み合わせるなど工夫できるとなおよいでしょう。
さらに、「月経前症候群(PMS)」の症状の緩和や妊娠中の悪心・嘔吐(つわり)の軽減が期待できるビタミンB6を意識して取るのもおすすめです。ビタミンB6は、肉や魚、豆類などに多く含まれています。鉄分とビタミンB6をセットで摂取できるとよいですね。
楽に取り組めるものからでOK! 日常生活に運動を取り入れる
疲労回復には適度な運動が効果的ですが、「運動しよう!」と思っても、なかなか継続できないことも多いのではないでしょうか。そんなときには、スマホを見ながらや寝転がりながらできる「ながら運動」や、簡単なストレッチやヨガ、筋力トレーニングを生活に取り入れるのがおすすめ。
また、ウォーキングのようなリズミカルな運動は、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンを活性化させ、心が落ち着いてさわやかな気分になったり、ポジティブな気分になることが分かっています。つまり、身体の疲労回復だけでなく、気持ちを整えたり、気分転換のうえでも一石二鳥といえるでしょう。
運動のためにまとまった時間を取るのが難しい場合、通勤やオフィスでの移動時に階段を使ったり、車や自転車を使うところを歩いたりするのもよいでしょう。週に1回でもよいので、運動習慣を無理なく取り入れてみてください。
質のよい睡眠を叶える! スリープセレモニーを行う
疲労の回復のためには、睡眠時間を十分に取るだけでなく、質のよい睡眠を取る必要があります。
睡眠の質を高めるためには、「スリープセレモニー」と呼ばれる寝る前のルーティンをつくるのもおすすめです。毎晩決まったルーティンを行うことで、条件反射で入眠スイッチが入りやすくなるといわれています。
例えば、お気に入りのハーブティーをのむ、簡単に1日の出来事メモを書く、アロマディフューザーを焚く、ぬりえをする、静的な軽いストレッチをするなど、自分なりのスリープセレモニーを取り入れてみましょう。
シャワーだけはNG! 入浴時は湯船に浸かる習慣をつける
忙しいとついシャワーで済ませてしまいがちですが、疲労回復を目指すなら湯船に浸かる方がおすすめです。湯船に入って体が温まると血行が促進され、疲れが取れやすくなる他、体の修復やリラックス効果をもたらす副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。
快眠や疲労回復を意識するなら、就寝の1時間程度前に入浴するのが最も効果的といわれています。入浴後に体温が徐々に下がっていくタイミングで眠りにつくと、質のよい睡眠が取りやすくなります。
また、リラックスやストレス解消が目的の場合は、40℃程度のお湯に肩まで浸かる全身浴がおすすめです。ただし、42℃以上の高温になると交感神経が活発になり、睡眠に悪影響を与える可能性があるので注意しましょう。全身浴の場合、お湯に浸かっている時間は、10~15分間程度が目安になります。
自分に合ったストレス対処方法を用意しておく
ストレスをより上手に軽減するため、自分に合ったストレスへの対処方法を知り、事前に用意しておくのがおすすめです。
こうしたストレス対処方法は、一般的に「ストレスコーピング」と呼ばれ、大きく分けて下記の2種類があります。自分に合ったストレスコーピングを複数用意し、臨機応変に活用しましょう。
・問題解決型コーピング
「問題解決型コーピング」とは、ストレスの原因となっている状況を変えたり、問題を明確にして解決策を探したりする方法です。
- ・原因をはっきりさせる
- ・具体的なプランを立てる
- ・代替案を見つけて評価する
などの対処が当てはまります。
例えば、「いつも時間がなくて仕事が思うように終わらない」「焦って集中できない」といったストレスに対しては、1日の中でやるべきタスクと時間割をきちんと決めて、シングルタスクを一つずつクリアする、といった方法で対処できそうです。このように、自分でコントロールできそうなストレスの対処時におすすめの方法です。
・情動焦点型コーピング
「情動焦点型コーピング」とは、ストレスを感じたときの感情(情動的な反応)をコントロール・軽減したり、問題から一時的に離れたりして心を守る方法です。いわゆる“気分転換”も含まれ、例えば、「SNSやネットニュースを見て不安になったり気持ちが落ち込んでしまい、気になって夜も眠れない」といったストレスに対しては、一時的にインターネットから離れて音楽を聴いたり、好きな香りをかぐ、お笑い番組で思いっきり笑う、といった方法が考えられます。自分でコントロールしきれないストレスの軽減も目指す方法となります。
疲れが取れにくい30代だからこそ、早めのケアを
公私ともに目まぐるしく、頑張る30代の女性は、知らず知らずのうちに疲れを溜め込みがち。睡眠不足や食生活の乱れなどによって、疲れが取れない状態が続くと、どんどん回復に時間がかかるようになり、疲労が慢性化してしまいます。疲れが溜まっていると感じたら、無理をせず自分に合った疲れ対策をとりつつ、環境を改善できないか、もしくは生活の見直しを含め周囲にサポートを求め、しっかりと休養を取るようにしましょう。
どうしても疲れが長引く場合や、めまい、極度の倦怠感、体重減少が続くなど、明らかな不調が見られる場合は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS:Myalgic Encephalomyelitis /Chronic Fatigue Syndrome)などの病気にかかっている可能性も考えられます。症状が改善しない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
- <参考文献>
- 「寿命を延ばす疲れないカラダ」, 宝島社, 2024年
- 「疲労と回復の科学 (おもしろサイエンス)」日刊工業新聞社, 2018年