更新日:2023年12月27日

病み上がりにおすすめの食事とは?栄養が摂れて消化のよい簡単レシピを紹介

病み上がりのときにどんな食事をとるか悩んだことはありませんか?風邪やインフルエンザなどのつらい症状が落ち着き、少しずつ食欲も戻ってきた頃とはいえ、身体はまだ本調子ではないかもしれません。そんなときこそ、栄養のある食事をとりたいものですね。本記事では、病み上がりにおすすめの食事やそのレシピ、体力回復に向けた対策などを紹介します。

監修

谷口 英喜 先生

済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長/東京医療保健大学大学院 客員教授

INDEX

病み上がりとは?

病み上がりとは、病気が治ったばかりで、まだ体力が元通りにならない状態(にある人)のことをいいます。

病気の重症度や個人差にもよりますが、風邪の場合、一般的には発症から3日目くらいまでは熱や鼻水などの症状が続き、7~10日目くらいまでによくなっていきます。また、インフルエンザの場合は、一般的に発症から回復するまでの期間が1週間程度ですが、場合によっては、せきや鼻水、身体のだるさなどが長引くこともあるでしょう。

風邪やインフルエンザなどを発症しているときは、いわゆる「体力」の中でも運動能力を表す「行動体力」ではなく、健康維持能力を表す「防衛体力」が低下している状態です。病み上がりで消耗している体力は、この「防衛体力」にあたります。

病気に限らず、激務続きの人や二日酔い、つわりで栄養が思うように摂れず、体力に不安があるような状態の人も本調子ではない人といえるため、病み上がりのように防衛体力が消耗している状態に近いといえます。いずれの場合も「防衛体力」の回復が必要で、そのために、まず気をつけたいのが食事です。

病み上がりのときの食事で気をつけたいこと

病み上がりのときの食事で最初に気をつけたいことは、風邪などの症状によって消耗した防衛体力を補い、身体の機能を正常に戻すために、栄養バランスのよい食事をとることです。病み上がりでまだ体調がすぐれない場合、油物などの胃に負担のかかる食べ物は避けて、消化のよい食事をとりましょう。

風邪などで発熱すると、水分とエネルギーが消費されます。熱が下がったあとも、なるべく水分を多くとり、エネルギー源となるような食事を意識しましょう。特に、まだ鼻水・鼻づまりがあるときや、のどの痛みが残っているときは、体内の異物を流し出そうとしていたり、異物と戦ったあとの炎症が残っているためとうかがえます。こういった状態のときには、温かい料理や汁物で身体を温めるとともに、殺菌作用のある食べ物を取り入れるのもおすすめです。

また、のどの痛みが残っているときは、炎症になっている部分に刺激を与えないように、ご飯をおかゆに変えるなど、やわらかい食べ物を選びます。また、硬い野菜や肉類は小さく刻む、やわらかく煮込むなど調理法も工夫しましょう。香辛料などの刺激物は、痛みを助長させてしまうことがあるので、控えるのが無難です。また、濃い味つけも避けるようにしましょう。

栄養バランスのよい食事のために!意識して摂りたい栄養素や食材

栄養バランスのとれた食事には、「エネルギーになるもの」「身体をつくるもの」「身体の調子を整えるもの」の3要素が必要です。主食(炭水化物)、主菜(主にタンパク質)、副菜(ビタミンやミネラル)を揃えるようにすると、バランスが整いやすくなります。

炭水化物

炭水化物は糖質と食物繊維に分類されます。そのうち、身体や脳の重要なエネルギー源として利用されるのは主に糖質です。ご飯、パン、麺類などの主食の他、砂糖や果物などの甘いものに豊富に含まれています。

タンパク質

筋肉や臓器、血液など身体をつくるのに欠かせない栄養素であるタンパク質。免疫抗体の材料にもなります。タンパク質を多く含む食材は、魚、肉、卵、乳製品などの動物性食品や大豆製品などです。

ビタミンA

身体の機能調節や維持にはビタミンが不可欠。ビタミンは13種類あり、どれも不足なく摂ることが大切ですが、病み上がりのときには、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあるビタミンAを摂るとよいでしょう。にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

ビタミンC

ビタミンCはさまざまな器官を丈夫に保つ働きがあり、病み上がりにも欠かせません。ブロッコリー、じゃがいも、キウイフルーツ、柑橘類など野菜や果物全般に豊富に含まれています。

ビタミンB群

摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミンB群が必要です。体内の代謝に必要な酵素の働きを補うため、意識して摂りましょう。多く含む食材としては、赤身の魚、豚肉、鶏肉、卵、牛乳、納豆、バナナ、玄米や全粒粉パンなどが挙げられます。

病み上がりの際には、消化によく、胃腸に負担がかからない食事がおすすめです。次項からは、おかゆ、うどん、豆腐、スープ、鍋、レモネードなど、病み上がりでも食べやすく、必要な栄養が摂れる食材を含んだレシピを紹介します。

病み上がりにおすすめの食事1.おかゆ

病み上がりにおすすめする食事一つ目は、体調がよくないときの定番料理「おかゆ」。今回は大根を使ったおかゆを紹介します。

大根は別名「すずしろ」と呼ばれています。1月7日に無病息災を祈り、正月の食事で疲れた胃をいたわるために食べる「七草がゆ」に用いられる、七草のうちの一つです。

大根に含まれているイソチオシアネートという成分には、炎症鎮静効果や消化促進、殺菌作用などがあるといわれており、のどの炎症やせきによいとされています。また、アミラーゼ(ジアスターゼ)などの消化酵素が、胃腸の働きを助けて食べ物の消化を促進。葉の部分にはビタミンCが豊富なので、葉まで残さず使うのがおすすめです。

大根のおかゆのレシピ

◆材料(1人分)

  • ・大根:60g
  • ・大根の葉:15g
  • ・ご飯:150g(お茶碗1杯分)
  • ・水:200cc
  • ・塩:小さじ1/4杯

(1)大根は皮をむいて1cm角に切る、大根の葉は小口切りにする。
(2)鍋に大根、水、塩を入れて煮る。
(3)大根に火が通ってきたら、大根の葉、ご飯を加えて3分ほど煮る。

病み上がりにおすすめの食事2.うどん

病み上がりにおすすめの食事二つ目は「うどん」。のどごしがよいうどんは、病み上がりでも食べやすい食材です。

ただし、あまり噛まずにのみ込んでしまいがちな食べ物でもあるので、よく噛むことを意識しましょう。

今回紹介する「かきたまうどん」は、タンパク質が豊富な卵を使ったレシピ。片栗粉でとろみをつければ温かいまま食べられて、心も身体もほっとするはずです。

かきたまうどんのレシピ

◆材料(1人分)

  • ・冷凍うどん:1玉
  • ・卵:1個
  • ・細ネギ:適量
  • ・水:200cc
  • ・白だし:大さじ3杯
  • ・片栗粉:大さじ1杯(同量の水で溶く)

(1)卵を溶きほぐす。細ネギを小口切りにしておく。
(2)鍋に白だし、水、水で溶いた片栗粉を加え、混ぜながら煮る。とろみがついてきたら溶き卵を回し入れる。
(3)冷凍うどんを耐熱容器に入れ、記載の時間通り電子レンジで加熱する。
(4)加熱したうどんに(2)でつくった汁をかける。

病み上がりにおすすめの食事3.湯豆腐

病み上がりにおすすめの食事三つ目は「湯豆腐」。消化吸収のよい豆腐は、病み上がりに食べても比較的身体に負担がかかりにくい食材といえます。

豆腐からは、ビタミンB1の他、エネルギー源となる炭水化物やタンパク質の摂取が可能です。また、トッピングに使用するネギには血行をよくし、身体を温める作用も期待できます。一般的な湯豆腐は鍋で温めてつくりますが、今回は電子レンジで、より簡単につくれるレシピを紹介します。

レンジでつくれる湯豆腐のレシピ

◆材料(1人分)

  • ・絹ごし豆腐:150g
  • ・水:大さじ2杯
  • ・ポン酢:適量
  • ・カツオ節:適量
  • ・ネギ:お好みで

(1)耐熱容器に絹ごし豆腐、水を入れ、600Wの電子レンジで1分加熱する。
(2)お湯を捨てて、ポン酢、カツオ節をかける。お好みでネギをトッピングする。

病み上がりにおすすめの食事4.スープ

病み上がりにおすすめの食事四つ目は「スープ」。水分が多く、消化によいスープは、食欲があまりないときでも口にしやすい食べ物です。

今回紹介する「豆乳のコーンスープ」は、タンパク質が豊富で、ビタミンB群やビタミンE、カリウム・マグネシウムなどのミネラルを多く含む豆乳を使用しています。簡単で栄養価の高いレシピです。

豆乳のコーンスープのレシピ

◆材料(1人分)

  • ・コーンクリーム缶:1缶(200g)
  • ・調整豆乳:200cc
  • ・コンソメ:小さじ1/2杯
  • ・塩:少々
  • ・こしょう:少々

(1)鍋にコーンクリーム缶と豆乳、コンソメを入れてかき混ぜ、火にかける。
(2)沸騰直前で火からおろし、塩・こしょうで味をととのえる。

病み上がりにおすすめの食事5.鍋

病み上がりにおすすめの食事五つ目は「鍋」です。鍋は具材をやわらかくなるまで煮てつくるため、胃腸に負担がかかりづらいという特徴があります。

野菜や肉などが一度に食べられて、さまざまな栄養を摂ることができるのも嬉しいポイント。カット野菜やサラダチキン、鍋の素を使えば、本調子でないときでも簡単につくれますね。

カット野菜の簡単鍋のレシピ

◆材料(1人分)

  • ・鍋用カット野菜:1袋(約200g)
  • ・お好きなキノコ:25g
  • ・サラダチキン:100g
  • ・鍋の素:1個(1人分)
  • ・水:300~500cc

(1)キノコ、サラダチキンを食べやすい大きさに切る。
(2)鍋に、カット野菜、キノコ、鍋の素、水を入れて火にかける。
(3)沸騰したらサラダチキンを入れ、煮込む。

病み上がりにおすすめの食事6.レモネード

六つ目は病み上がりにおすすめの飲み物「レモネード」。

食欲がないときでも、水分補給のために飲み物を欠かさないことが大切です。レモネードは、材料のレモンにビタミンCが豊富に含まれているので、風邪や感染症のときにおすすめ。甘みをつけるには、のど飴の成分としてもよく用いられているはちみつを使います。なお、はちみつは1歳未満の乳児に食べさせないよう注意しましょう。

ホットレモネードのレシピ

◆材料(1杯分)

  • ・お湯:200㏄
  • ・すりおろししょうが:小さじ1/2杯
  • ・はちみつ:大さじ1~2杯
  • ・レモン汁:大さじ1~2杯

(1)カップにすりおろししょうがとはちみつを入れ、お湯を注いで混ぜる。
(2)レモン汁を加える。

病み上がりにおすすめの食事7.調理のいらない手軽な食事

コンビニやスーパーで購入できる食材・お惣菜を活用

病み上がりで元気がないときは、手間のかかる調理ができないことも多いため、コンビニやスーパーで購入できるお惣菜やお弁当などを買ってくるのも一つの手段です。

ただし、お惣菜やお弁当は栄養バランスが偏りやすいので、選ぶ際には少し注意してみてください。主食・主菜・副菜を揃えるのが理想ですが、それが難しい場合は主食に加えて、主菜か副菜を1品つけることを意識して選びましょう。

例えば、うどんやパスタ、おにぎりなどの主食に、サラダチキンやゆで卵などの主菜を組み合わせれば、「炭水化物+タンパク質」が摂れます。また、主食にサラダ、煮物、和え物などの野菜を使用した惣菜を追加して「炭水化物+ビタミン類」とするのもよいでしょう。

果物

果物は洗うだけ、皮をむくだけで食べられるため、手軽に栄養を摂ることができる強い味方。ビタミンCを豊富に含むキウイフルーツ、ビタミンB6やミネラルを含むバナナ、腸内環境を整える作用のあるリンゴペクチンを含むリンゴなどが、病み上がりの食事におすすめです。また、多くの果物の80~90%は水分なので、水分補給にもなります。

ビタミンCやミネラルなどが含まれているのは野菜も同じですが、果物にはさらに、ブドウ糖や果糖などの糖質が多く含まれています。なかでも、ブドウ糖は脳のエネルギー源となり、糖質自体はエネルギーとして使われる他、脂質の代謝にも関与します。病み上がりでうまく食事がとれていないときは、果物で糖質を摂取するのもよいでしょう。

加工食品

手軽に食事ができるレトルト食品や冷凍食品、フリーズドライ食品、缶詰食品などの加工食品を活用してもよいですね。おかゆ、うどん、味噌汁、野菜ジュースなどラインナップも豊富で、好みに合わせて選べるのも魅力。

長期間の保存が可能な商品が多いため、普段からストックしておくと「調子がよくなくて買い物に行けない」などというときにも便利です。ただし、脂質の多い食品は消化器官に負担がかかるため、病み上がりに食べるのはなるべく避け、栄養が偏らないように選ぶのが理想です。

食欲がないときは…?

食欲がない状態が数日程度なら、水分補給に努めつつ、無理に食べないという選択肢もあります。ただしその場合でも、欠乏のリスクを避けるために、ビタミンやミネラルは意識して何らかの方法で摂ることが、早い回復には欠かせません。だんだんと食欲が出てきたら、胃に負担をかけないよう、1食あたりの摂取カロリーを抑え、少量ずつ食べるようにしましょう。1回の食事量が少ない分、食事の回数を増やし、1日のトータルで一定数の食事量を確保するようにしてみてください。

ビタミン類などが含まれたゼリー状飲料や栄養ドリンク、ミネラルを含んだ経口補水液等を活用するのもよいでしょう。消化・吸収も比較的早く、のどを通りやすいため、食欲がないときでも身体に負担をかけずに栄養補給ができます。

また、食欲がないという理由以外でも「病み上がりで十分な食材を購入できない」「食事をつくる体力がない」「不調で食べられるもの(食べたいもの)が限られる」などの理由で健康的な食事ができないときもあるはず。

そんな困ったときには、栄養補助食品や指定医薬部外品をうまく活用しましょう。

体力回復のためにできること

風邪のつらい症状が落ち着いたとしても、身体の機能は万全な状態とはいえません。風邪がぶり返したり、他の感染症にかかったりしないよう、無理をせずに回復に努めましょう。

十分な睡眠をとる

暖かく快適な環境で、安静にして休養をとりましょう。十分な睡眠時間を確保し、良質な睡眠をとることが大切です。

せきや鼻づまりで眠れないときは、症状を和らげるために市販薬を使用するのもよいでしょう。

水分を補給する

口の中が乾燥すると、のどの粘膜の働きが低下し、ウイルスや細菌を外に出す力が落ちてしまうため、こまめに水分補給をしてみてください。

特に、起床時・食事中・入浴後・寝る前の水分補給を忘れずに。カフェインを含む飲料は利尿作用があり、水分が排出されやすくなってしまうので、体調がすぐれないときは、なるべくカフェインを含まないお茶(麦茶など)や水、経口補水液、スポーツ飲料を飲むようにしましょう。

飲酒や喫煙は控える

アルコールは、のどの粘膜に傷をつけ、病原体を体内へ侵入させやすくするといわれているので、飲酒は控えるのが無難です。

また、喫煙すると、正常な身体の機能を低下させ、感染症への抵抗力が弱まってしまうと報告されています。さらに、喫煙者は元々、インフルエンザに感染しやすく、重症化しやすいリスクも指摘されているので、感染症の症状ピークを越えているからといっても、病み上がりに喫煙することは避けたほうがよいでしょう。

動ける範囲で適度な運動を行う

病み上がりで、いきなり運動をするのは難しいかもしれませんが、ウォーキングや軽いジョギングなどの適度な運動は、体内のさまざまな機能の働きを高めるといわれています。

ただし、過度な運動やトレーニングは防衛体力を低下させる可能性があるため、だいぶ回復してきたなと感じたときに、様子をみながら適度に行うことを心がけましょう。

病み上がりのときは食事に気をつけよう!

病み上がりの身体は、いつも以上に栄養と休息を求めている状態です。身体を休めることはもちろん、「食事」にも気をつけてみてください。凝った料理をしなくても、少し工夫をするだけで、栄養バランスがよく、消化によい食事をすることができます。しっかり栄養を摂って、1日も早く体調を回復させ、元気な自分を取り戻しましょう!

「病み上がり」の関連情報はこちら
<参考文献>
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
  • 厚生労働省e-ヘルスネット
  • 時事通信社,2005「食材健康大事典」五明 紀春(監修)

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