風邪をひいてしまった!栄養ドリンクは活用できる?

寒暖差のある季節の変わり目は風邪をひきやすい時期。風邪には休養や栄養補給が大切ですが、そのようなときに栄養ドリンクは活用できるのでしょうか?ここでは栄養ドリンクを飲むタイミングや市販薬を併用する時の注意点、栄養ドリンクの上手な活用のポイントをご紹介します。

監修

柴田 克己 先生

滋賀県立大学 名誉教授

INDEX

風邪をひいたとき、栄養ドリンクに効果はある?

栄養ドリンクとエナジードリンクの違い

栄養ドリンクと聞くと、コンビニやドラッグストアの棚にある瓶のドリンクを想像する人が多いと思います。最近はエナジードリンクと呼ばれる飲料が増え、元気の出るドリンクとして飲用する人が増えていますが、実はこれら二つには大きな違いがあります。

栄養ドリンクの多くは「医薬品、または医薬部外品」です。一方、エナジードリンクは「清涼飲料水」、つまり「食品」に分類されます。そのため、含まれる成分や成分含有量、効果・効能の表示義務にも差があり、同じ成分でも医薬品と食品とで配合量が異なります。

そもそも栄養ドリンク(ドリンク剤)とは

栄養ドリンクは滋養強壮、疲労回復、栄養補給など、健康増進を目的とし、微量栄養素、生体必須成分(体内で生合成可能であるが、合成量が常に必要量を満たすことが難しい成分のこと。たとえば、タウリンやイノシトール。)、微量生体必須成分(生体で必須とされる成分のうち、1日の要求量を1g以下とした成分のこと。たとえば、カルニチン。)などを含む液剤のことです。前述のように医薬品、もしくは医薬部外品であるものが多いです。

医薬品、医薬部外品に属する栄養ドリンク(以降、栄養ドリンクと称するものは医薬品・医薬部外品に属するものを指す)は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいて、効果・効能や製造工程における厳しい承認プロセスを経たうえで販売されています。

エナジードリンクは「清涼飲料水」であるので、薬機法の規制は受けません。栄養ドリンクは、さまざまな生体必須成分、微量生体必須成分や栄養素の組み合わせによって個々の製品ごとに効能・効果の特徴があり、その種類は多岐にわたります。

栄養ドリンクの主な効果をみてみましょう。

疲労回復、滋養強壮

よく聞く疲労回復、滋養強壮という言葉。この根拠の一つが栄養ドリンクに配合されているビタミンB1やアミノ酸です。栄養ドリンクの多くに疲労回復、滋養強壮に必要なこれらの栄養素が含まれています。

体力、身体抵抗力の維持・改善効果

製品によって差はありますが、栄養ドリンクには複数のビタミンが含まれています。アミノ酸・グルコース・脂肪酸代謝に影響するさまざまなビタミンの補給によって、身体組織(皮ふ、粘膜、細胞など)の正常な働きを助けます。

病中病後、食欲不振時の栄養補給

疲労回復に必要なビタミンB群などは、主に肉などに含まれますが、風邪をひくと喉の痛みで飲み込むのがつらかったり、食が進まなかったりすることはないでしょうか。体調の悪化で食欲がなく、食事だけでは充分な栄養素量を摂れないこともあります。そんなときには、補助的に栄養ドリンクを飲むことで、食事で摂りきれない栄養素を補うのもおすすめです。

市販の栄養ドリンクに含まれる主な成分とは?

ビタミンB群

ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類をまとめた名前です。ビタミンは、ほかに、ビタミンA、C、D、E、Kの5種類がありますので、13種類あります。ビタミンB群は、デンプンを構成するグルコース、タンパク質を構成するアミノ酸、脂肪を構成する脂肪酸から、エネルギー物質であるATPを作り出すのに不可欠な栄養素です。ビタミンB群は、エネルギー産生経路の活性が亢進状態の時には体内に留まり活用されますが、役目を終えると、速やかに腎臓を介して尿中に排泄されますので、過剰摂取による健康障害は起きにくいです。

特に強調したいのは、ビタミンB1の役割です。最も摂取量が多いデンプンやショ糖などの糖質からエネルギーを作るのに不可欠で、疲労回復に必要な栄養素です。

アミノ酸

アミノ酸は私たちの体を構成するための材料として必要なタンパク質を合成する栄養素で、20種類あります。なかでも体内で作ることのできない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、食事から摂取する必要があります。必須アミノ酸が配合された栄養ドリンクを活用することで効率よく摂取することができます。必須アミノ酸の中で分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンは骨格筋の主要なエネルギー源となります。筋肉疲労の回復には、分岐鎖アミノ酸配合の栄養ドリンクの補給がおすすめです。

タウリン

体内で作り出す量ではさまざまな生理作用を期待する必要量に足りないため、食品から取り入れる必要があります。医薬部外品の栄養ドリンクの成分の一つとしてよく利用されています。

長引かせたくない風邪。適切な栄養補給を!

「風邪」とは

私たちの身近な病気である「風邪」。医学用語では「風邪症候群」といい、鼻水や喉の痛み、咳や発熱などを伴う上気道の炎症のことです。

風邪の原因は8〜9割がウイルス感染といわれ、その原因となるウイルスは実に200種類以上にものぼります。一躍有名になった新型コロナウイルスをはじめ、ライノウイルスやアデノウイルスなどのさまざまなウイルスが上気道に感染し、これらの異物であるウイルスを排除するために私たちの体が炎症を起こすことで風邪症状が起こります。

風邪症状は体がウイルスと戦うサイン

風邪の代表的な初期症状である咳、鼻水、発熱などは、入ってきたウイルスなどの感染源となる病原体を体から追い出そうとする体の反応です。私たちは、病原体を咳や鼻水で外に出そうとしたり、さらに、病原体の苦手な温度まで体温を上げて、体を守ろうとします。

ウイルスと戦う体は普段よりエネルギー・栄養素を必要とする

風邪をひいたときの体は、健康なときよりもエネルギーを消耗しています。ウイルスなどの病原体と戦う細胞は、私たちの知らないところでエネルギー不足になっており、不足した栄養素をしっかり補う必要があります。健康の基本は「栄養・運動・休養」の三つですね。まずは、その一つである「栄養」。栄養素をバランスよく摂ることです。栄養素をバランスよく摂るということは、「日本人の食事摂取基準」に従った栄養素を摂るという意味です。

そして、次は「休養」。疲労の蓄積や睡眠不足による体力の低下、免疫機能の低下を防ぐことで、より一層回復を早くすることができるでしょう。「運動」は回復後にしましょう。

風邪をひいたときには、まず栄養補給が大切

体が侵入してきたウイルスと戦うためには、適切な栄養補給が必要です。とはいえ、栄養が大切だからといって、風邪のときにしっかりとした食事をするのは難しいことも。食事は消化のよい卵がゆや雑炊、柔らかく煮た野菜や肉の入ったスープなどに留め、栄養補給手段として、栄養ドリンクやゼリー状飲料を活用するのも一つの方法です。食欲がないときや、喉の痛みで食べ物を飲み込みにくいときでも飲みやすく、必要な栄養素を効率よく摂ることができます。

風邪と戦う体のためには休養。質のよい睡眠を!

部屋の温度、湿度は適切に管理を。

部屋や寝床の温度は暑すぎても寒すぎても寝つきが悪くなる一因になります。暖房や冷房は適切に使用して睡眠に適した環境を整えましょう。毛布や冷感シーツなど、季節に合わせた寝具を活用することもおすすめです。

また、ウイルスは乾燥した環境を好むため、エアコンの効いた部屋や、冬場は特に注意が必要です。加湿器を使うなどして、温度管理とともに部屋の保湿を行いましょう。

寝る前のカフェインや明るい光は控える

カフェインには覚醒作用があり、入眠を妨げる一因になります。コーヒーや紅茶、緑茶などにはカフェインが含まれています。寝る前にこれらの食品の摂取は控えましょう。

また、同様に明るい光にも目をさます作用があります。環境は暗めにし、スマートフォンなどの操作は控えるようにしましょう。明るい時間帯に眠る場合は、遮光カーテンなどを活用して暗い環境を作ることをおすすめします。

必要に応じて睡眠の質を助けるアミノ酸を

アミノ酸の中には睡眠に関与するものもあり、「グリシン」がその一つです。うまみ成分の一つでもあります。魚介類に多く含まれますが、寝る前に食事から摂取することが難しい場合や、風邪などによる栄養不調に伴って寝つきが悪いときは、栄養ドリンクでグリシンを摂取するのもおすすめです。栄養不良に伴う睡眠の質(眠りの浅さや目覚めの悪さ)を改善する働きがあり、深い睡眠を促すため、翌朝のすっきりした目覚めを助けてくれます。

風邪をひいたときに摂っておきたい、抵抗力を高める栄養素と食べ物

タンパク質・アミノ酸

タンパク質は全ての細胞を構成する主要な成分です。タンパク質は健康な状態の時には、動的平衡状態にあり、異化代謝量(アミノ酸から生成する尿素、CO2などへの分解量)と同化代謝量(アミノ酸からタンパク質への合成量)が平衡を維持しています。ところが、摂取するタンパク質・アミノ酸量の不足状態が続くと、分解量が合成量を上回り、体力の低下と免疫機能の低下などが起こりやすくなります。特に、必須アミノ酸の不足は、これらの低下に拍車をかけます。

必須アミノ酸を多く含む食品は、卵、肉類、豆類、魚類です。普段から積極的に摂るようにしましょう。風邪をひいて食欲がないときは、卵がゆなど消化のよい調理方法で摂取するとよいでしょう。

ビタミンB群

上述のように、13種類あるビタミンの中で8種類がビタミンB群に属しています。ビタミンB群の共通の生理作用は、体内で活性物質に変換されたのち、酵素の一部となり不可欠な役割を担う、補酵素作用です。

ビタミンB群を多く含む食品は、必須アミノ酸を多く含む食品と同じで、卵、肉類、豆類、魚類です。野菜類や果実類には多く含まれていません。食欲がないときは、便利な栄養ドリンクで補給するなどしましょう。役目を終えると尿中に排泄されるため、今日は「頑張るぞ」という時に限らず、毎日コンスタントに摂取する必要があります。

風邪をひいたときの栄養ドリンク、飲むタイミングや注意点は?

1日の用量を守る

栄養ドリンクは効率よく栄養を補給できるようにバランスを考えて作られており、「1日1回1本」など1日の用法、用量が決められています。一度にたくさん摂取してもより効果が得られるわけではなく、むしろ過剰摂取による健康障害につながる可能性があるため、必ず決められた用量を守りましょう。

飲むタイミングに決まりはありません。風邪をひいたときは、栄養素の吸収効率が一般的に高まる食間がいいのではと思いますが、自分の体調に合わせて飲むことをおすすめします。

ノンカフェインのものを選ぼう

カフェインの摂りすぎはかえって目が冴えてしまい眠りを妨げる可能性があるため注意が必要です。特に、エナジードリンクにはカフェインが多く含まれるため、質のよい睡眠の妨げになる可能性もあります。ものによってはコーヒーの2倍量のカフェインが含まれている場合もあります。

寝る前に栄養ドリンクを飲むときは、ノンカフェインのものを選ぶとよいでしょう。

他の薬との併用に注意

ここまでお伝えしてきたように、栄養ドリンクの多くは効能・効果のある医薬品、医薬部外品」です。他の医薬品と併用すると、成分の「相互作用」といってお互いの効果を増幅したり、逆に減退させたりする場合があります。また、同じ成分が含まれることで摂り過ぎになる可能性もあるため、他の栄養ドリンクとの併用はしないようにし、日常的に服用している薬がある場合は、医師に相談したうえで飲用するようにしましょう。

きっちりと必要な栄養素が摂れる栄養ドリンク、風邪をひいたときにもうまく利用しよう。

風邪をひいたときに栄養ドリンクを飲むことの効果は上記でお伝えしたとおりですが、肉体疲労の蓄積は風邪の原因の一つです。そもそも風邪をひかないように、普段から手軽に飲める栄養ドリンクを活用しながら、不足する栄養素を補い、良質な睡眠をとり、疲れをとるようにしましょう。

症状がつらいときには市販薬も活用して症状を和らげるようにします。栄養補給や休養をしっかりとっても風邪症状が改善されないようなら、まずはかかりつけ医などの地域で身近な医療機関に電話などでご相談ください。

<参考文献>
  • 厚生労働省「e‐ヘルスネット」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
  • 厚生労働省「eJIM」

風邪をひいたときの栄養補給にも
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