更新日:2021年12月1日

魚の目玉は目にいいの!?

近年、魚を食べる人が減る、いわゆる「魚離れ」が起きているといわれています。事実、『水産白書』(農林水産省)では、魚介類の摂取量が年々減少し、平成18年には魚介類と肉類の摂取量が逆転、その差が拡大していると報告しています。
今回は意外と知られていない魚の栄養素と私たちの目の疲れの関係についてご紹介致します。

INDEX

おいしい魚、食べてますか?

「日頃の食事の主菜には、魚介料理と肉料理のどちらが多いか。」というアンケート結果によると、肉料理が56%、魚介料理は11%と両者に大きな差があることが分かりました。魚料理が家庭の食卓にあまりのぼらない理由を尋ねたところ、「家族が魚介類を好まないから」「魚は肉より割高」「魚介類は調理が面倒」といった回答が得られました。特に、子供に魚介類を好まない傾向があるようですが、味の好き嫌いに対する嗜好(味覚嗜好性)は生後の経験や学習によって形成され、それがその人の食生活に重大な影響を与えるといわれているため、このままでは日本の魚食文化はますます先細っていくことになり、同時に日本の水産業の将来にも一抹の不安を感じてしまいます。

栄養豊富な魚料理、特に目玉にはビタミンB1がいっぱい!

食卓にのぼる魚料理、皆さんはどの部位を食べていますか。恐らくは、美味しくて食べやすい身の部分だけという方がほとんどではないでしょうか。身の部分は、良質のタンパク質からなり、筋肉や皮膚など体を構成するアミノ酸などの供給源といえます。 では、血合い、皮、頭など、その他の部分はどうでしょうか。身に比べて独特のくさみや食べにくさから多くの人に敬遠されがちですが、食通ではむしろこちらの方が好きだという方もいらっしゃるようです。血合いにはタンパク質のほかビタミンやミネラルが、とりわけビタミンB1や亜鉛・鉄が多いようです。また、皮にはビタミンAやB2が、小魚などの頭にはカルシウムやリンなどが多いといわれています。
さらに踏み込んで、魚の目玉はいかがでしょうか。最近では、マグロの目玉にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などが含まれ、記憶や学習能力の向上あるいは生活習慣病などの予防の成分として注目を浴びています。
しかしながら、魚の目玉にはこれらの成分だけでなく、実はビタミンB1が多く含まれているのです。この魚の目玉、ビタミンB1の生産がまだ不十分だった太平洋戦争中には、兵士の滋養強壮のため、魚からくり抜かれ乾燥させて戦地に送られたそうです。この結果、昭和19年頃には、目玉抜きの魚が市場に出回ったという記録があります。

目の疲れとビタミンB1

目玉にビタミンB1が多いのは、魚に限ったことではありません。アヒルやカモなどの目玉にもビタミンB1が多く含まれていることが分かっており、恐らくヒトにおいても同様の可能性があります。それを裏付けるエピソードとして、ビタミンB1が不足しがちな食糧難の時代、ワラビ(※1)を多食する地方では、ビタミンB1の摂取不足から「目がかすむ」などの症状の訴えが多かったと記録されています。

皆さんも、受験勉強や読書、パソコンや携帯電話の長時間操作などで、「目がかすむ」あるいは「目がしょぼしょぼする」といった症状があらわれたりしませんか。その症状は、焦点を調節する筋肉の疲労に加えて、ひょっとするとビタミンB1の不足に原因があるのかもしれません。
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)では、多くの年代においてビタミンB1の推奨量(※2)を満たしていないという結果でした。つまり、普段の食事から栄養を十分に摂っていると思っていても、一部の栄養素は不足している可能性もあるのです。
ビタミンB1が不足してくると、目の症状のほか「疲れやすい」や「朝起きるのがつらい」といった症状が起きることがあるので、このような場合にはビタミンB1を意識して摂るように心がけてみてはいかがでしょうか?

※1 ワラビ:ビタミンB1(チアミン)分解酵素のアノイリナーゼ(チアミナーゼ)を含んでいるが、加熱により分解される。アノイリナーゼは、ワラビ、ゼンマイなどのシダ類のほか、淡水魚(コイ、フナ、ドジョウなど)、二枚貝(アサリ、ハマグリ、シジミなど)などにも含まれる。

※2 ビタミンB1の推奨量:ほとんどすべて(97.5%)の日本人がビタミンB1を欠乏しない量

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