更新日:2021年12月1日
お酒をよく飲む人はビタミンB1不足にご注意!
年末年始は、何かとお酒を飲む機会が増えていくものです。アルコールの摂取量が増える時期に、「何だか疲労を感じることが多くなった」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、疲労の原因のひとつである「アルコール摂取とビタミンB1」の関係についてご説明いたします。
INDEX
アルコール摂取量が増えると、ビタミンB1が多く消費されます
アルコールを摂取すると体内での分解にビタミンB1が消費されます。たくさん飲めばそれだけビタミンB1も多く消費されるのです。エネルギー産生に必要なビタミンB1が不足すると疲労を感じるようになります。
(実生活におけるビタミンB1に関する最近の話題について)
糸川嘉則・武田薬報第343号(1982)別刷
お酒の好きな人はビタミンB1が不足しがちです
大酒家(たいしゅか)といわれる人ほど、酒の肴をあまり食べずに飲む傾向があります。そのため、ビタミンB1摂取量も少なくなるのです。
お酒を飲むと、ビタミンB1の吸収率が悪くなります。
特にシニア世代はビタミンB1不足に注意が必要です
令和元年の飲酒習慣がある人の割合は男性33.9%、女性8.8%で、5年前の男性34.6%、女性8.2%と比較して男性は若干減少し、女性は若干増加しています。ところが、男性の60代以降、女性の50代以降では増加しています。これは、以前の飲酒習慣がそのまま継続されていることが推測されます。以前と同じようにお酒を飲んでも、疲れやすさなど加齢とともに変化を感じませんか?もしかしたらビタミンB1不足かもしれません。
また、年齢とともにビタミンB1の吸収量や保持力は低下していきます。普段からビタミンB1をきちんと補うことを心がけましょう。
飲酒習慣のある者の割合(平成26年と令和元年の比較)
令和元年国民健康・栄養調査より
※飲酒習慣のある者:週に3日以上飲酒し、飲酒日1日当たり1合以上を飲酒すると回答した者 ※未回答者は除く。
コラム
お酒を飲むと顔が赤くなりませんか?
アルコールを摂取すると肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。この物質は体に有害で、食道がんとの関連性が指摘されています。アセトアルデヒドは「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」という酵素で無害な酢酸に分解されます。このALDH2は「遺伝」によって型が決まっています。アセトアルデヒドを分解する力が強い遺伝子(正常型)と弱い遺伝子(欠損型)があり、「完全欠損型」は日本人の約5%に見られるそうです。こういう人はお酒をほとんど飲むことができない「下戸」と呼ばれる人たちです。両親から受け継いだ遺伝子のうち、どちらかが欠損型である「部分欠損型」(日本人の30~40%)の人たちは、顔が赤くなるけれど、そこそこ飲めるタイプです。この顔が赤くなるのは、分解できず体内に残ったアセトアルデヒドによっておきるのです。お酒を飲むと顔が赤くなる人は、お酒はほどほどにしましょう。