更新日:2021年12月1日
なぜ、マグロは疲れないのか?
みなさんは、毎日の忙しい生活の中で、「何だか疲れているなぁ~」とお感じになっていることはありませんか?
2005年に実施した「疲労についてのアンケート調査」(インターネット調べ)では、「非常に疲れている」「やや疲れている」の両方を合わせると、全体で約8割の人が「疲れている」と答えています。まさに、「疲労大国、日本」と言っても過言ではありません。今回は、不眠不休で泳ぎ続ける「マグロ」を取り上げ、その疲れを知らない驚異的なカラダの仕組みをご紹介いたします。
INDEX
止まることができないマグロ
出典:武田薬報459号 監修:大阪市立大学大学院医学研究科 生化学分子病態学講座教授 井上 正康
最高時速160kmで泳ぎ続けることができるマグロは、餌を求めて毎日300km以上も海原を泳ぎ回ります。英語でツナ(tuna)と呼ばれていますが、その語源はギリシャ語で“突進”を意味するツナス(thynnus)を意味しています。
海の生物のなかでも食物連鎖の上位に位置する彼らが1日中泳ぎ続ける理由は、まさに生きるためです。マグロは口を開けて泳ぎ、エラを通過する海水に溶けた酸素を常に取り入れながら呼吸しています。この呼吸はラムジュート換水法と呼ばれ、泳ぎを止めると酸欠状態で窒息死してしまいます。このため、マグロは泳ぎを止めることはできません。
マグロは驚異のアスリート
マグロは水の抵抗を最小限にするためにヒレの一部を体内に収納し、エラの表面を大量の海水と接触させ、溶けている酸素を効率よく取り込むための理想的な体型を進化させてきました。この不眠不休の運動に必要なエネルギーを産生するためには、大量の酸素が供給されなければなりません。酸素が欠乏することのないように、酸素を貯蔵するミオグロビン※を筋肉1kgあたりに5~6g含んでいます。これこそが、マグロの驚異的な体力の理由です。私たちのカラダにもミオグロビンが含まれています。動物の筋肉が赤く見える理由は、このミオグロビンが含まれているためです。ちなみに、海原ではなく狭い生け簀(いけす)で養殖されたマグロは、カロリー消費不足で脂が溜まり、白っぽい大トロに変身します。
※ミオグロビン
筋肉の赤色タンパク質であり、これに貯蔵された酸素で大量のエネルギーが産生されます。
赤身のカツオでは1kgに1.5g、白身のタイでは0.06gしか含まれていません。
ヒトは、疲れたら休まなければならない
ご覧頂いた特徴からもお分かりのように、マグロは不眠不休で動き続けなければなりません。
一方、私たち人間はマグロとカラダの仕組みが全く異なるため、不眠不休で働いたら、あっという間に過労死するでしょう。私たちが感じる「疲労」は、「痛み」や「発熱」とともに体内の異常を知らせる三大生体アラームと言われています。もし「疲労」を感じたら、それはあなたのカラダが発している警告として自覚し、きちんと対処することが大切です。
自分にあった疲れの対処法を見つけよう
出典:健康サイト 体の疲れの対処法
最後に、疲れをためないために毎日の生活で取り入れられる疲れの対処法をご紹介します。
ご自分に合った対処法を見つけ、健やかな毎日をお過ごしください。
十分に睡眠をとろう
十分な睡眠は一番の“良薬”。
ただし、寝過ぎはかえって疲れを増すことに…。
お風呂でリラックス
半身浴や足湯を試してみましょう。
長湯すると“湯疲れ”してしまうので気をつけましょう。
食べたいものを食べよう
カラダが欲しているものを食べるのが、疲労回復への第一歩になります。
ただし、食べすぎには要注意です。
疲れに良いビタミンを摂るのも忘れずに
同じメニューに偏らず、バランスの良い食事を大切に。
とくにビタミンB1を十分に摂りましょう。
散歩や気分転換、軽い運動やストレッチをやってみよう
適度な運動は有効な疲労対策。
筋肉をほぐしたり血行を良くしたりするほか、ストレス解消にもなります。