更新日:2021年12月1日
疲れの基礎知識 疲れの種類:疲れの症状
監修
渡辺 恭良 先生
日本疲労学会 理事長、
神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授、
理化学研究所 名誉研究員、
Integrated Health Science株式会社 代表取締役CEO
疲れの症状
どういう症状を「疲れ」といっていいのでしょうか?
ボーッとする、だるい、カラダが重いといった疲れ感覚は誰しも感じます。少しの休憩、気分転換をすれば、もとの状態に戻るものも疲れといってしまうのか、むずかしいところです。疲れはこれまでは定量的に測れるものではなく、かなり主観的なものと考えられていました。
人は疲れてくると、
- ❶刺激に対する反応が遅くなる
- ❷思考力が低下し、注意力が散漫になる
- ❸動作が緩慢で、行動量が低下する
などの変化が見られます。
疲労とは、作業能率の低下状態として定義されます。通常、平均的にできている作業量や効率がたとえば6、7割以下に有意に下がってきた時に、「疲れ」といえるのではないでしょうか。作業能率のなかには、注意散漫になってエラーをすることも含まれます。
今まで疲れを定量的に測る方法はありませんでしたが、文部科学省の疲労班の研究で、ATMT(Advanced Trail Making Test)法など複数の方法論が開発され、疲労を定量的に測れるようになりました。
コンピュータのスクリーンに表示された25個の数値を順番に押していく時間を測定して、その反応の速度や間違いから疲労の度合いがわかります。反応速度が遅くなり、間違いが多くなれば疲れている状態です。