あなたの睡眠時間は何時間?平均睡眠時間やそれに伴う影響を解説

「朝起きるのが辛い」、「起きたときに疲れがとれていない」、「日中、体がだるくて重い」などと感じることはありませんか。それは睡眠時間と睡眠の質が影響しているかもしれません。

監修

渡辺 恭良 先生

理化学研究所 生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム

INDEX

日本人の平均睡眠時間は?

睡眠は生きていく上で欠かすことができません。厚生労働省の調査1)によれば、日本人成人の1日の平均睡眠時間は男女ともに6時間以上7時間未満の割合がもっとも高く、次いで5時間以上6時間未満が高くなっています。またOECDの調査2)によると、OECD加盟国と中国や南アフリカなど計30カ国の1日の平均睡眠時間を比較したところ、日本は7時間22分と調査国中で睡眠時間が最も短いことがわかりました。

1) 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
2) OECD Gender Data Portal based on the OECD Time-Use Database

睡眠の質について

日本人の睡眠の質はどうでしょうか。上記の厚生労働省の調査によると、20~50 歳代では男女ともに「日中、眠気を感じた」という回答がもっとも多く、睡眠の質がよくない傾向が見られました。また70 歳代女性では「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した方の割合がもっとも高く、加齢による睡眠の質の変化をうかがうことができます。

人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という質の異なる2つの眠りで構成されています。一般に、脳の疲労は主にノンレム睡眠のときに回復し、体の疲労は両方の睡眠で回復しますが、特にレム睡眠のときに回復するといわれています。夜間に睡眠途中で目が覚めるということは、それだけで脳や体の疲労を十分にとることができない、質の良くない睡眠になっていることになります。

では、質の良い睡眠とはどのようなものでしょうか。厚生労働省による睡眠の質の評価指標を踏まえると次のようになります。自身が質の良い睡眠が得られているかどうか、参考にしてみてください。

  • ・規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがはっきりとしている。
  • ・必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気をもよおすことや居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる。
  • ・途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる。
  • ・朝は気持ちよくすっきりと目覚める。
  • ・目覚めてからスムーズに行動できる。
  • ・寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できる。
  • ・睡眠で熟睡感が得られる。
  • ・日中、過度の疲労感がなく睡眠に対して満足度が得られる。

充実した睡眠の妨げになる点

先に紹介した厚生労働省の調査では、睡眠を確保するための妨げになっているものとして、30~40 歳代の男性では「仕事」、20歳代では男女ともに「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すること」という回答の割合が最も高くなっています。

睡眠を確保するために仕事の内容を変えたり、転職したりすることは難しいでしょう。まずはできるところから始めてみませんか。

例えば、眠りやすい環境を作るだけで睡眠の質はグッと上がります。ポイントは、寝具、温度・湿度、光です。

■寝具
体への負担が少ない寝姿勢(寝相)を保つことができ、保湿性と吸湿性・放湿性のよいものを意識して選ぶとよいでしょう。

■温度・湿度
室温は、冬季は20℃前後、夏季は26℃前後、湿度は40~70%に保つのがよいといわれています。

■就寝前の照明
夜の明るすぎる光は体内時計を乱す原因になります。白っぽい昼光色ではなく、オレンジ系で温かみのある電球色のようなやわらかい光を放つ照明がよいとされています。

また、睡眠不足にならないためには、食事などから摂取する栄養素を工夫することも大切です。睡眠に関与する栄養素とそれが多く含まれる食材をご紹介します。

<睡眠の質の向上が期待できる栄養素>

(注:下記の栄養素の中には過剰摂取を避けるために摂取上限量が設けられているものがあります。)

 働き多く含まれている食材
ビタミンB1糖質をエネルギーに変える際に必要。不足すると糖質をエネルギー源としている脳や神経の働きに影響を及ぼす豚肉、うなぎ、玄米、豆類など
ビタミンB2脂質の代謝を促進し、エネルギーを産生し疲労回復に役立つレバー、納豆、卵、のり、チーズなど
ビタミンB6睡眠の開始やノンレム睡眠の中でも深い睡眠を調整するセロトニンの合成に関わるマグロ、カツオ、ヒレ肉(牛・豚)、バナナなど
カルシウム興奮している神経を鎮静化させる大豆、枝豆、いわし、牛乳、チーズなど
マグネシウム筋肉の収縮を制御し、緊張した体を緩和させ、リラックスさせる青のり、わかめ、昆布、ピーナッツ、玄米、大豆など
グリシン(アミノ酸)寝付き、眠りの深さ、睡眠の満足度、日中の眠気などに関与する豚肉、ホタテ(煮干し)、するめ、大豆など
トリプトファン(アミノ酸)眠り・癒やしに必須のセロトニンの原料となるほか、セロトニンからさらに、「体内時計ホルモン」として睡眠・覚醒のリズムを生み出すメラトニンも作る牛乳、ナッツ、マグロ、鶏肉など

さまざまな影響による睡眠時間の変化

「寝床に就く時間は若い頃と同じなのに、年をとるにつれて早起きになった」、「寒い季節になると、なかなか起きられない」など、睡眠時間が変わったことを感じることはありませんか。人にとって必要な睡眠時間は、睡眠障害などの病気がなくても常に同じというわけではありません。ここでは、年齢および季節による睡眠時間の変化についてご紹介します。

年齢による睡眠時間の変化

夜間の睡眠時間は年齢を重ねるごとに短くなっていきます。実際に夜間眠っている時間を調べた論文を解析した研究によると3)、10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間と減り、65歳で約6時間でした。他方、寝床で過ごす時間は高齢の方ほど長くなる傾向があります。寝床で過ごす時間(全睡眠時間)に占める実際に眠った時間の割合を睡眠効率といい、100%に近いほどよいとされますが、10~20代が100%に近いのに対し、年齢を重ねるにつれて低下していきます。また、加齢に伴って早寝早起きの傾向が強くなり朝型化するのも知られていることです。

一方、若い世代では夜更かしが頻繁に続くことで体内時計にずれが生じ、規則正しい就寝・起床を繰り返す睡眠リズムが乱れ、夜型化を招く傾向があります。

3)Ohayon MM, et al: Sleep, 27(7): 1255-73, 2004

季節による睡眠時間の変化

睡眠時間は季節によっても変化します。これは日長時間(日の出から日の入りまでの時間)と関連しており、暗くなると眠くなり、明るくなると目が覚めるという心身の変化に伴っています。秋から冬にかけて日長時間が短くなるにつれて、食欲の増進や活動性の低下などとともに睡眠時間は長くなります。春から夏にかけて、日長時間が長くなるにつれて睡眠時間は短くなります。アメリカの大学生を対象にした研究4)では、夏に比べて冬に約25分、睡眠時間が長くなることが示されています。

4)Volkov J, et al: D.C.Scientific World Journal. 7, 880-7, 2007

睡眠時間が短い場合(睡眠不足)の弊害

6時間未満の短い睡眠時間でも日中に眠気もなく活動できて、十分に健康を維持できる人をショートスリーパー(短時間睡眠者)と呼びますが、実際に何時間眠れたら健康かという問いに答えを出すのは簡単ではありません。必要な睡眠時間は人によって異なるため、日中しっかり目が覚めて過ごせるかどうかを目安にして、睡眠時間自体にはそれほどこだわらないことが大切です。

日中の眠気がひどい人は睡眠不足かもしれません。残業時間が長い人や夜になると元気になる夜型の人は、朝学校や会社に行く時刻は決まっているため睡眠不足になる傾向があります。睡眠不足は日常生活や体のさまざまなところに影響を及ぼすため注意が必要です。

日常生活における影響

■疲労感の増幅

私たちの身体の中で自律神経系(活動期は交感神経系優位、休止期や睡眠時は副交感神経系優位)は日内変動をしており、日中の起きている間は活動期にあたり交感神経系の作用が強く緊張が続いています。活動量と比例して疲れもたまり、疲れがたまると脳から眠りたいという睡眠欲求が発せられます。慢性的な睡眠不足で睡眠欲求が満たされないと、脳と体は十分な休息をとることができず、疲労感をはじめ、簡単には解決できないマイナス要因が膨らんでいく「睡眠負債」が蓄積していきます。

また、私たちの体の細胞は、活動するためのエネルギーを自ら作り出しています。​しかし、同時に副産物として活性酸素も発生させてしまうので、オーバーワーク状態では細胞がダメージを受けて機能が低下してしまいます。​睡眠などの休息が不足し、細胞の機能が低下した状態のまま無理を続けていると、細胞を修復するためのエネルギーも不足してしまい、修復が間に合わず、疲労が増幅することになります。

■認知機能の低下

睡眠不足によって脳に疲労が蓄積されると、集中力や記憶力、思考力などの認知機能も低下します。これらは仕事や学習においては効率の悪化やミスの発生につながりかねません。また、睡眠不足は精神面への影響も大きく、不安や抑うつ、被害妄想などが発生・悪化する可能性もあります。

■美容への影響

睡眠中の深い眠りであるノンレム睡眠の間には、成長ホルモンの分泌が高まります。成長ホルモンは、成長期では骨や筋肉を増やす働きを担っています。また、成長期だけではなく成人になっても、皮膚を修復したり、新陳代謝を活性化させたりする働きももっています。睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が減るため、美容の面にも影響が及ぶことになります。

睡眠による生活習慣病への影響

睡眠不足が続くと、体や脳の休息、ホルモンの分泌、免疫力の強化といった睡眠による働きがうまく機能しなくなり、結果、さまざまな不調が生じてきます。睡眠不足や睡眠の質の低下は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高め、症状を悪化させることがわかっています。

また、睡眠不足は生活習慣病の引き金となる肥満になりやすいことも明らかになっています。睡眠不足によって、食欲を促進するホルモンの分泌が増加し、逆に食欲を抑えるホルモンの分泌が減少します。さらに、内臓脂肪の増加に関与するホルモンも増加してしまいます。睡眠時間が短いと、食事や運動などの生活習慣が乱れることも太りやすくなる原因と考えられています。お腹がぽっこりふくれる内臓脂肪型肥満に加え、高血圧や脂質異常症、高血糖などの危険因子をあわせ持つ状態をメタボリックシンドロームと呼びますが、その状態が軽度であったとしても、動脈硬化が進み、脳や心臓の疾患などさまざな病気が引き起こされやすくなるのです。これら生活習慣病の発症や進行を予防するためにも、睡眠不足の解消は大切です。

睡眠時間は長すぎてもいけない?

生活習慣病をはじめとする体の不調と睡眠不足は関係が深いといえますが、必要な睡眠時間以上に長く眠ったからといって健康になるわけではありません。眠気がないのに長い時間眠ろうと寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、寝付きが悪く、睡眠も浅くなり、夜中に目覚めやすくなって、結果として熟睡感が損なわれ、不眠につながることになってしまいます。

理想的な睡眠時間は個人によって異なる!

「十分な睡眠時間をとりましょう」といっても、必要な睡眠時間は短すぎても長すぎてもよくありません。また、理想的な睡眠時間は、年齢や体質、生活スタイルなど人によって異なります。朝起きたときに疲れが残っておらず、よく眠れたという満足感があり、日中に眠くならないという点を目安にして、自分に合った睡眠時間を確認してみましょう。

睡眠の質や量をより良くするための入眠方法や睡眠環境の整備方法のことを睡眠衛生といいますが、理想的な睡眠時間を自分のものにするためには、朝日や朝日のような光量の光(昼色光など)を浴びて日内リズムをリセットすること、規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣といった睡眠衛生の内容を理解することが大事です。

今回ご紹介した「睡眠の質の向上が期待できる栄養素」を意識的に摂ることもその一つといえるでしょう。これらの栄養素は食事で摂ることが理想的ですが、今はこれらの栄養素が摂れると同時に疲労回復も期待できる栄養ドリンクなどの製品が出ているので、それらを利用するのも一つの方法です。おやすみ前に服用する場合には、入眠を妨げたり、睡眠を浅くしたりする可能性のあるカフェインの摂取は避けた方がよいため、カフェインの入っていない(ノンカフェイン)ものを選ぶようにすることをおすすめします。

<参考文献>

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