更新日:2023年10月31日
疲れているのに眠れないのはなぜ?原因や寝られないときに効果的な対処法をご紹介!
「疲れているのに夜眠れない」といった悩みを持っている方も多いと思います。日中仕事や家事などで忙しく疲れているのに、夜になると目が冴えてなかなか寝つけないのは、なぜなのでしょうか?今回は、疲れているのに眠れない原因や効果的な対処法などをご紹介します。
監修
山下 あきこ 先生
株式会社マインドフルヘルス 代表取締役 医学博士 神経内科・内科医師
INDEX
疲れているのに眠れない原因は?
疲れているのに眠れない原因には、ストレスや寝る直前の行動、生活リズムの乱れ、睡眠環境の悪さ、加齢、病気などが考えられます。ここでは眠れない原因を一つひとつ、詳しく見ていきます。
ストレス(不安や緊張)
精神的なストレスや緊張は睡眠の質を低下させることが多く、健やかな眠りを妨げる可能性があります。ストレスがあったり、緊張していたりするときには脳を覚醒させる交感神経が活発になるためです。眠れないことに焦り、眠ろうとすればするほど、かえって不眠が悪化してしまうことも。ストレスフルな出来事が続いてしまうと、不眠は慢性化しやすくなります。
また、ストレスは自覚なく蓄積している場合もあります。昨今は、さまざまなニュースや情報に昼夜を問わずアクセスできるため、知らないうちにそれらの情報がストレスとなることもあるでしょう。
意外かもしれませんが、人間関係において、緊張感のある関係性(例:会社の上司やクライアント)よりも、親しい間柄の人(例:家族、職場の同僚や友人)とのつながりが、ストレッサー(ストレス要因)になることがあります。自分からストレスに近づかないか、ときにはうまく距離をおくか、今の状況に目を向ける必要があるかもしれません。
寝る前に刺激となる行動をとる
寝る直前に刺激となる行動をとると、疲れていても眠りにくくなります。
この寝つきの悪さに大きく関わってくるのが、自律神経※活動状態の変化です。本来、寝る前に副交感神経の働きが優位になり、交感神経の活動が低下することで、眠気が起こります。しかし、交感神経が優位になるような刺激を与えると、脳が興奮状態になり、睡眠に悪影響を及ぼします。
※自律神経には昼間や活動量の多いときに優位になり脳や体を興奮状態にさせる「交感神経」と、夜間やリラックスタイムに優位になり脳や体を落ち着かせる「副交感神経」があり、その二つはシーソーのように交互に優位になるよう働きます。
寝る直前に避けた方がよい、刺激となる行動
- ・激しい運動
- ・熱いお湯での入浴
- ・明るい光を見る(スマートフォン、テレビ、明るすぎる照明など)
- ・カフェインを摂る
- ・過度な飲酒・喫煙
など。
知らないうちにこれらの習慣を続けていると、ストレスや不安が重なったときに眠りづらくなることが予測されます。改めて、寝る前の行動を見直してもよいかもしれません。
生活リズムの乱れ
生活リズムの乱れも疲れているのに眠れない原因のひとつです。
例えば、仕事や趣味に没頭して寝不足のまま無理して起床する、週末の昼夜逆転生活、朝食を抜くなどの要因があります。このような生活を続けると睡眠に重要な体内時計のリズムが崩れて、睡眠時間帯が乱れやすくなります。
睡眠環境の悪さ
室温や湿度、騒音、光や照明、寝具などの寝室環境は、寝つきや睡眠の深さに影響します。
小さな光や電話の音、車の音などでも起きてしまう人はいるため、今一度、睡眠環境を見直してみてもよいかもしれません。
加齢にともなう生活リズムと眠りの質の変化
疲れているのに眠れない原因として、「加齢」も考えられます。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が加齢とともに低下し、概日リズムが整いにくくなるためです。
また単に年齢を重ねることだけが原因ではなく、仕事などを引退することで時間的な制約が無くなり、生活リズムが乱れることも一因と考えられます。かつては「決まった時間に床につかなくてはならない」と言われていたために、律儀にベッドで過ごす時間が長くなり、寝つきにくくなったと感じるケースもあるようです。
不眠をともなう症状や疾患
かゆみや痛みなどの症状で、不眠になるケースもあります。不眠をともなう疾患がある場合は、不眠そのものよりも、その背後にある病気を治療することで、不眠を解消できます。
不眠をともなう症状や疾患としては、下記のものが代表的です。
- ・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- ・自律神経失調症
- ・うつ病
- ・更年期障害
- ・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
など。
かゆみや痛みなどの症状をともない眠れない日が続いたり、上記の症状や疾患が思い当たる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
疲れているのに眠れないときの効果的な対処法
ゆっくり深呼吸をする
ゆっくりとした大きな呼吸は、副交感神経をスムーズに働かせます。深い呼吸を意識して、腹式呼吸を試してみるとよいでしょう。
<腹式呼吸のやり方>
- ・背筋を伸ばし、鼻からゆっくり息を吸う
→丹田(おへその下)に空気を溜めていくイメージで - ・口からゆっくりと息を吐き出す
→吸うときの倍くらいの時間をかけるつもりで - ・1日10~20回を目安に行う
静的ストレッチを行う
反動をともなわず、関節や筋をじっくり伸ばしていく静的ストレッチは、血圧や心拍数を下げ、副交感神経を優位にします。
呼吸をしながら、30秒以上かけてゆっくりと筋肉を伸ばしていくのがポイントです。反動をつけたり、やりすぎたりすると、逆に交感神経を活発にしてしまうため、注意しましょう。
香りでリラックスする
鎮静作用のある香りをかいでリラックスするのもおすすめです。ラベンダー・カモミール・スギ・ヒノキなど、お好みの香りを選んでみましょう。
なかでも、ラベンダーや白檀(ビャクダン)、沈香(チンコウ)などは、覚醒レベルを下げるという研究結果が報告されています。
ツボ押しを行う
リラックス効果のあるツボを押してみるのもよいでしょう。例えば、緊張をほぐし、リラックスさせるツボである「神門(しんもん)」
自律神経を整える「百会(ひゃくえ)」などは、睡眠を誘う効果があると言われています。
疲れたときにぐっすり眠れる生活のために!日頃からできること
起きる時間は一定にする
まずは、毎日の起きる時間を一定にするとよいでしょう。毎朝、同じ時刻に起床することで、体内時計の正しいリズムをキープすることができると考えられているためです。
寝つける時刻は、季節や日中の活動量などによって変動しやすいものですが、寝床に入るのが遅れても、朝起きる時刻は一定に保つとよいでしょう。
太陽の光を午前中(なるべく早めの時間)に浴びる
朝起きてからすぐ(午前中のなるべく早めの時間帯)に15分程度太陽光を浴びるようにしてみましょう。朝、起きて太陽光を最初に浴びた時刻に応じて、夜に眠気が出現し、自然に眠くなる時刻(起床から約14~16時間後)が決定されます。
朝の起床時に十分な太陽光を浴びなかったり、暗い部屋で昼過ぎまで眠っていたりすると、体内時計のリセットが適切に行われず、入眠時間も遅くなってしまうため、注意しましょう。
寝る前の食事に気をつける
寝る直前の食事は血糖値を上げてしまい、脳を覚醒させてしまうため、夕食は就床3時間以上前に済ませておくことをおすすめします。
とくに、脂肪分の多い食事は胃酸の逆流を起こし、夜中に目を覚まさせてしまう恐れがあるため、控えた方がよいでしょう。
ただし、空腹状態もよくありません。もしお腹が空いてしまって眠れない場合は、温かいスープなど、糖質が控えめの血糖値が上がりにくいものを食べるようにしてみてください。
アルコールやタバコ、カフェイン摂取を控える
就寝前のアルコールやタバコは、脳を刺激し活性化させるため、NGです。寝酒をすると寝つきがよくなるように思えますが、効果は短時間しか続かず、夜中に起きやすくなるため、ぐっすり眠りたいときはなるべく控えるようにしましょう。飲酒する場合は、遅くとも就床の4時間前までにするようにしてください。
また、コーヒーや紅茶、緑茶、チョコレート、栄養ドリンクに多く含まれるカフェインにも、脳を覚醒させる働きがあり、疲れているのに目が覚めてしまう原因になります。これらを摂取する場合は、なるべく午前中にし、昼間でも摂りすぎには注意しましょう。
<眠りのトラブルにつながる嗜好品の摂りすぎチェック>
- □毎日3~4杯はコーヒーを飲む
- □仕事の効率を上げたくてコーヒーを飲む
- □コーヒーが飲めないと落ち着かず、イライラする
- □寝つきが悪いと感じる
- □ドキドキすることが多い
- □食事の時間がとれなくてもコーヒーは飲みたいと思う
- □寝つきをよくしたいので寝酒をする
- □チョコレートをよく食べる
- □エナジードリンクをよく飲む
- □タバコをやめられない(食後や寝起きに必ず一服しないと気が済まない)
上記のチェックリストのなかで、2個以上当てはまっていたら要注意です。
適度に体を動かす
適度に体を動かす、すなわち日中の活動量を保つことは、睡眠の質をよくすることに役立ちます。
就床5~6時間前の30分ほどの定期的な有酸素運動は、睡眠の質をよくすると言われています。とくに、ウォーキングや、ジョギング、縄跳び、ダンス、踏み台昇降など、筋肉を一定のリズムで動かす動作がおすすめです。
ただし、就寝前の激しい運動は、かえって睡眠を妨げるため、避けた方がよいでしょう。
入浴でリラックスする
床に就く1~2時間前に、20分ほどゆっくりとお湯につかると、運動不足の日でも、眠りやすくなります。
就床直前の長風呂や、熱いお風呂は逆に目が覚めてしまうため、入浴の際には時間や温度に気をつけましょう。
睡眠環境を整える
なるべく光や音が出るものはなくし、自分に合った寝具やパジャマを準備するなど、快適と思える睡眠環境を整えることが大切です。
<理想的な寝室環境>
明るさ:真っ暗
湿度:湿度は40~70%
温度:冬季は20℃前後、夏季は26℃前後
寝衣:締めつけず、吸湿性や吸水性がある柔らかい素材
昼間の悩みを寝床に持っていかない
昼間の悩みを寝床に持っていくのは控えましょう。心配ごとがある状態では寝つくのが難しくなり、寝られたとしても浅い眠りになる可能性があります。就床時は、自分の問題に取り組んだり、翌日について計画したりすることは控え、翌日起きてから思考・行動してみてください。
悩みをやわらげる二つの方法
①目玉のポーズ
頭の後ろに両手を当てて、上体を軽く反らせて空を見上げてぼーっとする。終わったら頭をポンポンポンと優しく叩きながら「大丈夫」と自己暗示する。
このポーズをすることで、自信とやる気のホルモン、ぐっすり眠るのに必要なテストステロンの分泌が増え、不眠や中途覚醒の原因になるコルチゾールが減ります。ストレスを減らし、やる気を出させてくれるため、さらによい眠りをつくってくれるでしょう。
②ジャーナリング
その日あったこと、感じたことを紙に書き出す。
ジャーナリングは感情や思考を書き留めるという方法です。心のなかにある思い、すなわち自分の素直な気持ちを誰にも気を使うことなく、外に出して可視化します。1日の終わりに座って心を見つめる時間は、気づきを与えてくれると同時に心に安らぎをもたらしてくれるでしょう。
睡眠に必要な栄養素を摂取する
日頃の食生活に気をつけ、バランスのよい食事をするのはもちろんですが、睡眠の質の向上や、翌日の眠気・疲労の改善に役立つ栄養素を摂取するのも、選択肢のひとつです。睡眠の質向上にはグリシン、疲労の回復にはビタミンB1、B2、B6の摂取がよいです。また、トリプトファンも精神的な疲れに関係するセロトニンの材料になります。
メインとなる栄養素 | |||
---|---|---|---|
ビタミンB1 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | グリシン |
特徴 | |||
糖質を分解して、エネルギーを作り出す際に必要。糖質は脳や神経系のエネルギー源となる。 | 糖質や脂質の代謝を促進し、疲労回復に役立つ。また、皮膚、粘膜などの細胞の正常な働きにも関与している。 | たんぱく質からのエネルギー産生と、皮膚や粘膜の正常な働きを助ける。昼夜の睡眠・覚醒リズムの維持に必要な、セロトニンの合成に関与する。 | 睡眠と関係が深く、脳をクールダウンしたり、体温を下げるように働くアミノ酸。「深部体温」の低下に関与しており、眠りに入りやすくすると言われている。 |
多く含まれている食材 | |||
豚肉、うなぎ、玄米、発芽玄米、大豆、モロヘイヤ、きのこ類、そら豆など | レバー、うなぎ、かれい、ブリ、イワシ、さわら、サンマ、牛乳、納豆など | マグロ、カツオ、鮭、サンマ、レバー、鷄挽肉、鷄ササミ、玄米、にんにく、赤パプリカ、ししとう、バナナなど | カジキマグロ、エビ、豚肉、ホタテ、ホタテ貝柱、するめ、大豆など |
一緒に摂りたい栄養素 |
---|
トリプトファン(アミノ酸) |
特徴 |
トリプトファンは必須アミノ酸(体内でつくることができないため、食品からの摂取が欠かせない栄養素)のひとつ。脳をリラックスさせるホルモンであるセロトニンの合成に必要。また、セロトニンは体内時計のリズムを整える、メラトニンの原料となる。 |
多く含まれている食材 |
牛乳、ナッツ、マグロ、鶏肉、卵、大豆、ゴマなど |
食べ物から毎日、さまざまな栄養素を摂り続けるのが大変なときや、食べ物から少量しか摂取できない栄養素は、ときには市販薬やサプリメントを活用することで効率的に摂取することができるため、おすすめです。
- <寝ている間にも疲労に対処 ビタミンB1配合>
- <寝ている間にも疲労を回復 グリシン配合・ノンカフェイン>
疲れているのに眠れないときは生活習慣の見直しを!
疲れているのに眠れないときは、普段の生活習慣を見直して、スムーズに寝つけるように工夫することが大切です。ストレスの原因に目を向けたり、うまく気持ちを切り替えるテクニックも併せて活用して、寝床に悩みを持ち込まないように心がけましょう。それでも眠れない場合は、不眠をともなう疾患の可能性もあるため、気になる場合は一度医療機関を受診しましょう。
- <監修者(山下あきこ)サイト>
- <参考文献>
- 山下あきこ「こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる」, 共栄書房,2022
- 山下あきこ「悪習慣の罠」,扶桑社新書,2023
- バイオメカニズム学会誌「良質な睡眠のための環境づくり-就寝前のリラクゼーションと光の活用-」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」
- 国立保健医療科学院 睡眠資料Aガイドライン「睡眠障害とは」
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