首が痛い…痛みの原因と予防・対処法をくわしく解説

首は、頭の重みを常に支えながら前後左右に動くため、負担がかかりやすい部位です。首の痛みは日常生活にも大きく支障をきたすため、悩まされている人も多いことでしょう。また、テレワークなどの慣れない環境でPC作業などをしていて、首に違和感を覚える人もいるかもしれません。そこで、首に痛みや違和感を覚える原因や考えられる疾患、痛みの対処法、予防法などをご紹介します。

監修

泉 重樹 先生

法政大学 スポーツ健康学部 教授、博士(スポーツ医学)、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

INDEX

首に痛みを感じる原因

「首が痛い」といっても、痛みの度合いや原因はさまざまです。まずは、首の痛みにはどのようなものがあるかを知っておきましょう。

首の構造とは

人間の首から背中は、脊柱、背骨とも呼ばれる脊椎と、それを支える靭帯、筋肉によって形成されています。脊椎は「頸椎(けいつい)」「胸椎(きょうつい)」「腰椎(ようつい)」「仙骨(せんこつ)」「尾骨(びこつ)」の5つに分けられ、頭蓋骨から骨盤まで、24個の椎骨(ついこつ)という骨が連なっています。

脊椎を横から見ると、頭部は前方へ、お尻の部分は後方に湾曲したS字カーブを描いています。脊椎のS字カーブがバランスをとっているため、人間は直立して2足歩行ができるのです。何らかの原因でこのS字カーブが崩れると首や肩、背中への負担が増し、痛みの原因となることがあります。

なかでも首は7個の椎骨からなる頸椎と、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や僧帽筋(そうぼうきん)などの筋肉で、重い頭を支えています。また、椎骨と椎骨の間には椎間板という組織があり、椎骨にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。

原因①:姿勢の悪さ

首の痛みの大きな原因は、普段の姿勢の悪さから来る筋肉の緊張や血行不良です。

首や背中が緊張するような不自然な姿勢や猫背での作業や、デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとることで、脊椎のS字カーブが崩れます。すると、頭部をうまく支えられずに周辺の筋肉に負担がかかり、首などに張りやこり、痛みが生じやすくなります。

姿勢が悪くなる原因は起きているときだけではありません。寝具が合っていなくて寝ているときの姿勢が悪くなることも、首の痛みの原因となりえます。また、筋肉が緊張し続けると血行が悪くなり、さらにこりや痛みが悪化しやすくなります。

原因②:骨格のゆがみ

片足に体重をかけたり、バッグを常に同じ方の肩にかけるなどの癖がある人は骨格にゆがみやねじれが生じやすくなります。骨格のゆがみによって筋肉に負担がかかったり、神経が圧迫されたりして、こりや痛みを引き起こします。

近年、パソコンやスマートフォンを使用する時間が増えたため、S字カーブが崩れている人が増えているといいます。通常は、くの字のようにカーブしている首の骨。しかし長時間のスマートフォンなどの使用により、真っすぐ(ストレート)になってしまうのです。これらは、ストレートネックやテキストネックと呼ばれます。また、逆にカーブする後弯(こうわん)もあります。

ストレートネックや後弯になると、首や肩などのこり、痛みの他、しびれや頭痛、吐き気などの症状が起きることがあるので注意が必要です。

原因③:加齢

椎骨と椎骨の間でクッションの働きをする椎間板は、加齢によって水分が減少しやすくなります。これにより、骨の稼働による衝撃をうまく緩和できず、痛みが生じることがあります。

また、加齢による筋力低下も痛みの要因となります。特に、重い頭を支える胸鎖乳突筋や僧帽筋の筋肉の量が減少すると血行不良が起きやすいため、筋肉量が少ない高齢者や女性は首や肩のこり、痛みなどが生じやすいといわれています。

原因④:過度なストレス

過度なストレスによって筋肉が緊張し血行が悪くなると、肩こりや首こりが生じ、痛みとなって現れることがあります。また、日常的にストレスが多くかかると自律神経が乱れ、体がこわばって痛みの原因となることもあります。

原因⑤:病気

骨や組織に異常をきたす病気などが原因で、首に痛みが生じることがあります。いつもと違う痛み、急激な痛みの場合は自己判断せず、医療機関を受診することも必要です。

首の痛みをともなう病気(疾患)や症状

首の痛みをともないやすい病気(疾患)や症状を順に紹介します。

※原因となる疾患は、医師の診断が必要です。
以下疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

肩こり・首のこり

首すじや首の付け根から肩・背中にかけて、張りやこり、痛みなどの不快感が生じます。頭痛や吐き気をともなうこともあります。肩こりに関連する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中に位置する僧帽筋の緊張が大きな原因となっています。姿勢の悪さや運動不足、ストレス、冷えなどによって引き起こされるとされています。

寝違え

眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけて痛みが生じる症状です。首を動かすと痛いこともあれば、首が動かせないほどの痛みを感じることもあります。正確な原因はわかっていませんが、睡眠中に不自然な姿勢が続くことで一部の筋肉の血流が妨げられること、前日に行ったスポーツや労働で一部の筋肉が痙攣(けいれん)すること、頸椎の椎間関節の関節包に炎症が起こることなどにより生じると考えられています。

起床時に痛くなり、数時間から数日で痛みが改善されるのが一般的で、医療機関で処方される湿布薬や鎮痛消炎剤の服用も有効です。

頚椎症(変形性頚椎症)

加齢により椎間板が変性したり、椎骨と椎骨をつなぐ椎関節板が変形して骨棘(こつきょく)と呼ばれるトゲができ、神経根を刺激することで痛みが生じる病気です。首から腕の痛みやしびれが生じ、頸椎を後ろに反らせると痛みが強くなります。基本的には自然治癒しますが、強い痛みがある場合は手術での治療を行う場合もあります。

なお、頚椎症による骨棘によって脊髄が圧迫されている場合は頚椎症性脊髄症と呼ばれ、ボタンのはめ外しや箸の使用が難しくなるなどの症状が出ます。

頸椎椎間板ヘルニア

加齢にともなう椎間板の変形により、髄核が後ろに飛び出して、頸部の神経根や脊髄を圧迫する病気です。首や肩、腕に痛みやしびれが出たり、箸が使いにくいなどの症状が現れます。特に首を後ろに反らすと強い痛みが生じることがあります。悪い姿勢での仕事や、スポーツなどが誘因となることもあります。

外傷性頚部症候群

いわゆる「むちうち症」のことで、交通事故や激しいスポーツによって頸部に損傷を受けた後、長期間にわたって首の痛みやしびれなどの症状が出る外傷性の病気です。筋肉や靭帯の損傷で痛みが生じ、頭痛や吐き気などが現れることもあります。

適切な治療を受ければ3カ月程度で痛みがなくなりますが、骨折や脱臼がないにもかかわらずあまり安静にしすぎると痛みが長引く原因になるため、受傷後2~4週間の安静の後にはストレッチを中心とした体操などを習慣づけると良いでしょう。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは、首や肩、腕の神経や血管を圧迫し、それらにしびれなどの症状が現れる疾患の総称です。締めつけ圧迫される、いわゆる絞扼(こうやく)される部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、過外転症候群(小胸筋症候群)と呼ばれます。

斜角筋症候群は、いかり肩の人がなりやすく、肋鎖症候群や過外転症候群は、なで肩で筋力が弱い人に起こりやいとされています。つり革につかまったり、洗濯物を干したりする動作で痛みやしびれが生じることがあります。また、手の冷えや頭痛、めまいなどをともなうこともあります。

首の痛みを予防する方法

姿勢に気をつける

パソコン作業やスマートフォンの閲覧、車の運転など、長時間にわたって同じ姿勢をとっていると筋肉の緊張や血行不良、ひいては首の骨の変形などにもつながりかねません。20~30分に一回は姿勢を変えたり、立ち上がるようにし、定期的に休憩をとるなどして、首や肩を動かすことが大切です。

また、足を組んだり、体の片側だけでバッグを持ったりと、体の片側だけに体重をかけるような姿勢にならないよう心がけましょう。

首が前傾する猫背やストレートネックも首の痛みの原因となります。スマートフォンの長時間使用を避け、やむを得ないときは背筋を伸ばしてスマートフォンを目の高さで見るように心がけましょう。

■デスクワーク時の座り方
  • ・骨盤を立てて座る
  • ・足は地面につける
  • ・猫背にならない

■スマートフォンを見るときの姿勢
  • ・背筋を伸ばす
  • ・スマートフォンを目の高さまで
    持ち上げる
  • ・頭を前に出さない

血行を促す

筋肉が緊張して血行不良が生じ、それによって首のこりや痛みが起こっている場合は、首や肩周りを温めて血行を促しましょう。蒸しタオルを首に当てたり、ゆっくり入浴することを習慣づけて、体を温めてリラックスするのがおすすめです。

また、冬はもちろん、夏も冷房などで体を冷やし過ぎないよう、ストールなどで首を温めるのも良いでしょう。

睡眠環境を見直す

朝目覚めたときに首や肩がこっている場合、枕が体に合っていないのかもしれません。体に合った寝具を選び、寝るときの姿勢にも気をつけましょう。

枕の役割は、布団やマットレスと首の間の隙間を埋めて、立っている姿勢と同じようなS字カーブを保つことです。首の隙間には個人差がありますが、一般的に1~6cmといわれ、布団と首の角度が約5度になるのが理想的です。枕が高すぎたり、低すぎたりすると首などの筋肉に負担がかかり、首の痛みなどが生じやすいうえ、呼吸がしにくくなってぐっすり眠れなくなります。

また、寝具選びの他にも、就寝時は部屋を快適な暗さや温度、湿度に保ち、体をゆっくりと休められるような環境作りも大切です。

運動不足を解消する

適度な運動習慣によって、血流を促進し、筋肉を動かすことは首の痛みの予防につながります。散歩や家事で体を動かす程度でも効果はありますが、手軽にできるウォーキングはおすすめです。

歩くときには、あごをひき、背筋を伸ばして胸を張りましょう。運動によって余計な負担がかからないよう、姿勢と左右のバランスに気をつけ、歩きやすい靴で行ってください。

ストレスをためない生活を心がける

ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のこと。日常のあらゆることがストレスの原因になりえます。毎日の生活習慣を整え、健康的な生活をしながら、ストレスと上手に付き合っていくことが首のこりや痛みの予防につながります。

また、ストレスがたまったと感じたときは、ゆっくりと腹式呼吸をしたり、ゆったりとお風呂に入ったり、好きな音楽を聴いたり……など、自分なりのリラックス方法を見つけ、体の緊張状態をほぐす工夫をしてみましょう。

首が痛いときの対処法

患部を温める/冷やす

肩こりや首のこりなどの慢性的な張りやこり、痛みは、蒸しタオルを首や肩周辺にあて温めたり、やけどに注意しながら使い捨てカイロなどを使って衣服の上から温めるのが良いとされています。温めることにより血行が良くなり、筋肉がほぐれて痛みが緩和されることがあります。また、ゆっくり入浴して全身の血行を良くするのも効果的です。

一方、打撲やねんざ、寝違えのような急性の痛みの場合、筋肉などの炎症により局所に熱を持つことが多いので、一般的には冷やすのがおすすめです。ただし、個人差がありますので、温めすぎや冷やしすぎには注意が必要です。

ストレッチをする

肩や首周りの柔軟性を高め、血行を良くするためにストレッチは有効です。痛みを感じるときに、腕を大きく回し背中の肩甲骨を大きく動かすようなストレッチや、ラジオ体操のような動きのあるストレッチはおすすめです。しかし、痛みがひどいときは逆効果になる恐れもありますので注意しましょう。

市販薬を使う

※市販薬には次のようなものがあります。使用の際には、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

1.内服薬 寝違えなどの痛みには、「痛み止め」といわれる鎮痛消炎剤の内服も有効です。また、末梢神経の修復に関与するビタミンB群や、血液循環の改善に関わる作用のあるビタミンEなどが含まれた内服薬もあります。

2.外用薬 湿布などの貼り薬、塗り薬は、炎症をしずめ、痛みをやわらげる効果があります。首のようによく動き、目立ちやすい場所には、塗り薬などを使用すると気になりません。

病院で診察を受ける

日常生活に支障がない程度に活動でき、痛みも特定の時間や動作に限られる場合は、自然に治るケースが多いので、しばらく安静にして様子をみてもいいでしょう。しかし、原因のわからない首の痛みが急に生じたときやいつもの痛みと違うとき、痛みが長時間にわたって治まらないときなどは、自己判断せず、病院で受診しましょう。

<参考文献>
  • 厚生労働省e-ヘルスネット
  • 厚生労働省|みんなのメンタルヘルス
  • 大阪府|脊椎と脊髄について

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