更新日:2022年4月4日
夜眠れない原因を解説!不眠におすすめの睡眠対策・リラックス方法5つ
忙しい毎日を送る中で、体は疲れているのに「目を閉じていてもなかなか眠れない」、眠りが浅く「夜中に何度も目覚めてしまう」など、不眠に悩まされている人も多いのではないでしょうか。明日の朝も早いから「眠らなければ」と焦れば焦るほど、ストレスとなり、眠れなくなることもあります。今回はそんな不眠について、原因と対処法をご紹介します。
監修
渡辺 恭良 先生
日本疲労学会 理事長、
神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授、
理化学研究所 名誉研究員、
Integrated Health Science株式会社 代表取締役CEO
INDEX
不眠をともなう症状・疾患
不眠とひとことで言っても、寝付きが悪い、寝ている途中で何度も目が覚めてしまう、朝早すぎる時間に目が覚めてしまうなど、さまざまな症状があります。また、睡眠不足によって疲労を翌日に持ち越してしまうと、日中に眠気を起こしてしまう場合もあるため、ご自身の不眠の症状はどれかを自覚し、対策することが大切です。症状によっては、不眠の原因となる別の疾患が隠れていることもあるので注意が必要です。
※以下の疾患は、医師の診断が必要です。下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診断を受けましょう。
不眠症
心配ごとがあるときに「眠ろうとしても眠れない」という不眠を一度は経験したことがあるのではないでしょうか。数日から数週のうちにまた眠れるようになれば問題はありませんが、不眠が1カ月以上続き、日中の倦怠感、意欲や集中力の低下、食欲不振など、生活に支障をきたす不調が出る場合は、不眠症という病気が疑われます。
不眠症は4つのタイプに分けられます。
■入眠障害
寝床に入ってから眠りにつくまでに時間が長くかかり、寝つきが悪くなるタイプです。人によっては、気がかりなことなどが頭に浮かんで、ますます目がさえてしまうこともあります。不眠症で最も多いタイプであり、若い人にも多く見られます。
■中途覚醒
いったん眠りについた後、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めるタイプです。中高年に最も多く見られます。トイレに何度も起きる泌尿器疾患(夜間頻尿)が原因となる場合もあります。また、目を覚ますと再び眠りにつけないケースも少なくありません。
■早朝覚醒
起きようと思っていた時間よりもかなり早く(30分以上前)目が覚めてしまい、そのまま眠れなくなるタイプです。朝早く起きることで、日中に眠気を感じたり、夕方以降の早い時間帯に眠くなったりします。
■熟眠障害
睡眠時間は十分とれているにもかかわらず、目が覚めたときに「ぐっすり眠れて休養できた」という充実感がないタイプです。「一晩中、眠りが浅くて、よく眠れなかった」という訴えが多いケースといえます。
睡眠・覚醒リズム障害
人の体には睡眠と覚醒を繰り返す体内時計が備わっており、その周期は1日約25時間です。ところが地球の1日の周期は24時間なので約1時間のズレがあり、私たちの体にはそのズレを調整する機能が備わっています。この調整がうまくいかないことから生じる睡眠障害が睡眠・覚醒リズム障害です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まることで体が酸欠状態になるため、睡眠が中断されます。再び眠ると呼吸がまた止まってしまい、夜間にそれを何度も繰り返すことで深い睡眠がとれません。睡眠時間を確保しても慢性の睡眠不足の状態となり、日中に強い眠気や倦怠感に襲われます。舌やのどの筋肉が緩んで、気道が閉塞したり狭くなったりすることによって起きるものを閉塞性睡眠時無呼吸といい、いびきをかくのが特徴です。
過眠症
夜間に十分な睡眠がとれているにもかかわらず、日中に強い眠気が起きる病気です。危険な作業や大事な会議、車の運転などの途中でも眠ってしまうほどの強い眠気に襲われます。過眠症の一つにナルコレプシーがあります(ナルコは「睡眠」、レプシーは「発作」の意味)。強い眠気の他に、笑ったり驚いたときに体の力が抜ける、金縛りになったり怖い夢を見たりするといった特徴があります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
夕方から深夜にかけて、足に痛みやかゆみ、虫がはう感じ、むずむず感などの不快な耐えがたい感覚が出てきて、足を動かさずにはいられなくなる病気です。布団の中でじっとしていられず、眠くても寝つくことができません。寝つけたとしても眠りが浅いため、十分な睡眠でありません。中年以降の女性に多く、鉄欠乏性貧血や人工透析を受けている人に多いことが知られています。
周期性四肢運動障害
寝ている間に片足または両足が何かを蹴るような感じで周期的にぴくぴくと勝手に動くことが繰り返し生じる運動障害です。就寝中、体がリラックスした状態のときに頻繁に起こり、カフェインを多く摂ったときや疲れているときに出やすいという特徴があります。むずむず脚症候群と合併することが多い病気です。睡眠がとれても、足がぴくぴく動いて目が覚めることを一晩の間に繰り返すため眠りが浅くなり、日中に眠気やだるさが強くなります。
不眠で考えられる原因
ストレス
睡眠には、体は休んでいても脳は働いている浅い眠りのレム睡眠と、脳が休んでいる深い眠りのノンレム睡眠があります。精神的なストレスが大きいとレム睡眠が増え、肉体的なストレスが大きいとノンレム睡眠が増えることが分かっています。不安や緊張などの精神的なストレスが大きい場合、浅い眠りのレム睡眠が長くなり、睡眠の質は低下します。睡眠の質が下がると疲労の回復が困難になり、6カ月以上疲れが継続した場合は、慢性疲労に繋がる可能性があるため、注意が必要です。
生活環境
夜更かしが続くような不規則な生活をしていると、体内時計のリズムが崩れて睡眠の質が低下します。特に注意したいのが就寝前です。寝る直前までパソコンやスマートフォンなどを直視していると、LEDディスプレイの光(ブルーライト)が刺激となって覚醒してしまい、夜更かしが助長され、結果として睡眠不足を招きます。
カフェインやアルコールを含む飲み物の摂取
コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには覚醒と利尿の作用があるため、睡眠を妨げる原因となります。また、就寝前のアルコールは寝つきは良くなりますが、夜中に目が覚めて、そのあと眠れないという状態が増えるため、全体として睡眠の質の低下を招きます。就寝前のアルコールが睡眠時無呼吸症候群を悪化させることも分かっているため、「寝酒」は控えるようにしましょう。
女性ホルモンの影響
女性の場合、生理周期にともない分泌されるホルモンの変化が睡眠に大きな影響を与えます。排卵して黄体期に入るとプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加し、基礎体温が上昇します。この黄体期から次の生理が始まるまでの期間は、プロゲステロンの影響で体温リズムのメリハリがなくなり、日中の眠気が強くなったり、睡眠が浅くなったりします。
また、閉経前後の約10年間にはエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に減少するため、身体的、精神的な変化が起こります(更年期)。その精神症状の一つとして不眠が見られます。
不眠によって引き起こされる影響
不眠などの睡眠障害は生活習慣病の発症に関わっています。例えば、睡眠時無呼吸症候群の人は、夜間に何度も呼吸が停止することによって、高血圧、心不全、脳血管障害などの生活習慣病にかかりやすくなるといわれています。
睡眠不足が長く続くと、疲労回復が難しくなります。睡眠不足が続いて疲労が回復しないと、日中の注意力や集中力が低下したり、頭痛やその他の体の痛みや消化器系の不調が現れ、意欲が低下することが分かっています。
また、睡眠不足による注意力や集中力の低下は、就労の場においては作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故などの危険性を高めます。
眠れないときおすすめの対策・リラックス方法5つ
睡眠は体の疲労と脳の疲労の双方の回復にとって重要な生理現象です。
寝つきを良くしたい、眠りの質を上げて疲労を解消したいときは日々の生活習慣を見直すことで改善が期待できます。まずは不眠の大敵であるストレスを解消し、リラックスを心がけることが大切です。ここでは、そのために今日からできる方法をご紹介します。
❶快適な就寝環境
まずは就寝環境を見直してみましょう。
寝るときの照明が明るすぎると睡眠の質が低下します。真っ暗にする必要はありませんが、例えばフットライトを使うなどして、不安を感じない程度の明るさにするとよいでしょう。温度や湿度は、季節に応じて心地よいと感じるくらいに調節することが大切です。
寝衣や寝具も睡眠の質に影響します。寝衣はリラックスできるものにし、ベッドマットや敷布団は硬すぎずやわらかすぎずといった、適度な硬さのものにしましょう。掛け布団は保温性、吸湿性、放湿性があり、寝返りがしやすいように軽くて体にフィット感があるものが望ましいとされます。
また、音も重要です。静かな環境を保つことが難しい場合は耳栓をするのも一つの手段です。
❷規則正しい食生活
規則正しい食習慣は快眠のためにとても重要です。特に朝食は、体内時計のリズムを整えるために毎朝摂ることで体と心を目覚めさせることができます。一方、寝る直前の飲食は消化活動が活発になって睡眠を妨げるため、控えるようにしましょう。
リラックスするために不眠や不安によいとされるカモミールティーなど、ノンカフェインのハーブティを飲むこともおすすめです。
ただし、就寝前の水分の取りすぎは夜間頻尿の原因となるので注意しましょう。
❸適度な運動
昼間の運動が夜間の睡眠を安定させ、睡眠の質を改善することが分かっています。習慣的に運動をしている人は寝つきがよいだけでなく、深く眠れるようになり、睡眠の質が高くなります。ただし、激しい運動は逆効果となるので注意が必要です。よい眠りを導くためには、体への負担が少ない早足の散歩や、軽いジョギングなどの有酸素運動を毎日規則的に行うのが効果的です。ただし、就寝前の運動は体が興奮して眠れなくなることもあるので控えた方がよいでしょう。
❹入浴
人間の脳は、活動する日中の時間帯は温度が高く、夜間は体から熱を逃して温度を下げます。このときに眠気が生じやすくなります。入浴は就寝前に体温を一時的に上げることで、夜間の脳の温度との差が明確になるので、眠気が得られやすくなります。寝つきを良くし、質の高い睡眠をとるためには、床につく2~3時間前にぬるめのお湯にゆっくりと浸かることがおすすめです。好きな香りの入浴剤やアロマオイルを入れて、入浴時間をリラックスタイムにするとよいでしょう。
❺ツボ押し
不眠の症状を緩和させるために、東洋医学のツボを利用するのも一つの方法です。不眠に効果があるとされる代表的なツボを二つご紹介します。
失眠(しつみん)
足の裏のかかとの中央にあるツボです。お灸がよく使われますが、できない場合は少し強めの圧を加えるのがコツです。テニスボールやワインのコルクなどを上から踏み込むようにして刺激するとよいでしょう。
百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんにあるツボで、左右の耳の上の先端と鼻を結んだ線の交点にあります。左右の中指を重ねるようにして当てて、手のひらで頭を包むように中指に圧を加えてください。
疲労回復には十分な睡眠が大切!
睡眠の質が気になったら、まずは自分の睡眠の状態を把握することが大切です。そのための一つの方法として就寝と起床の時刻、熟睡した時間帯を記録します。もし医療機関に相談した方がよいということになったら、自分の睡眠の状況を医師に知らせるための有用な情報にもなります。
不眠や睡眠不足の一番の弊害は、疲労の回復が難しくなることです。いきいきとした毎日をすごすためにも、自分でできる対策を一つでも多く日常生活の中に取り入れ、規則正しい睡眠習慣をつけるようにしましょう。
それでも、疲れや眠りの浅さが気になる場合は、寝ている間に疲労が回復できる栄養ドリンクなどもおすすめです。就寝前には「ノンカフェイン」のものを選ぶようにするとよいでしょう。
- <参考文献 >
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf) - 内山真編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」(じほう), 2019
- 三島和夫「不眠の悩みを解消する本」(法研) , 2015
- 内山真「名医が教える不眠症に打ち克つ本」(アーク出版), 2010
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
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