疲れの基礎知識

疲れの基礎知識を理解して、健やかな生活をお送りください。

疲れの警告

監修:理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター センター長
大阪市立大学 健康科学イノベーションセンター センター所長
大阪市立大学大学院医学研究科 システム神経科学 特任教授 渡辺 恭良

はじめに

「疲れ」を感じている時、
あなたはその「疲れ」をどのように
受け止めていますか?

「疲れ」には体からの重要なメッセージが
含まれています。

あなたが今、「疲れている」と感じているならば
是非この「疲れの警告」をご活用ください。

疲れの警告信号

「疲労」は体が警告する生体アラーム

忙しい現代社会、老若男女を問わず疲れている人が多い世の中です。
日常的に「疲れた」と口にし、1980年代には過労死が社会問題になりました。2004年に発表された文部科学省疲労研究班の調査によれば、疲労感を自覚している人の割合は約6割(大阪市、東大阪市の15~65歳の男女2,742人の方の回答)そのうち6カ月以上にわたって慢性疲労を感じている人が39%もいることが明らかになりました(図1)。
疲れてもなお働き続ける日本人の姿がみてとれます。「疲労」は「痛み」や「発熱」と同じように生体の警告信号ですので、それを無視して走り続ければ限界を越えてやがて死にも至ることにつながりかねません。「疲労」はこれまで医学のメスが入らなかった領域ですが、近年になってようやく「疲労」の研究が進められ、注目を集めています。

腹痛や高熱など体内の異常を知らせる生体の警告信号を生体アラームと言い、「痛み」「発熱」は多くの人が体からの警告として自覚しています。ここに「疲労」を加えて、三大生体アラームと言われています。
問題なのは、疲労は「作業能率の低下状態」で、「休め」という重要なシグナルにもかかわらず、「疲労」を感じていても、「痛み」や「発熱」ほど危機感を持たない人が多いことです。その理由は「疲労」は「痛み」ほど脅威を感じないことと、体温計のように疲労を客観的に評価する物差しがないからではないかと言われています。

疲労は「休め」を命じる生体アラームと認識しておくことは重要なことなのです。