元気の雑学

2011年12月26日公開分

Vol.17外洋を旅するタフなサケは、やっぱり疲れにいい!?

出典:武田薬報465号監修:宮城大学 理事・副学長、大阪市立大学 脳科学講座教授 井上正康

はじめに

魚全体の消費量が落ちこんでいる理由などについてはVol.14で紹介しましたが、今回は私たちの食卓になじみ深く、世界の漁獲量の3分の1近くを日本人が消費しているという「サケ」のお話です。

日本の河川からアラスカ湾までの長旅

サケの一生は旅にも例えられますが、ご存じの通り、その始まりは河川です。 日本の川で生まれるシロサケの場合、卵から孵化した幼魚は、春の雪解け水とともに川を下って海に至ります。その後、1〜3ヵ月間は河口近くの沿岸部で生活し、成長するに従って北洋を目指すようになります。


日本の北部に位置するオホーツク海から、太平洋北部のベーリング海とアラスカ南岸のアラスカ湾との間を数年間、水温の変化に合わせて回遊しながら成熟していきます。「台風の墓場」と呼ばれるベーリング海も、サケにとっては生涯の大半を過ごすエサの豊かな生活空間なのです。外洋で十分に成熟したサケは、産卵のために千島列島沿いに南下し、9〜12月頃に日本沿岸にたどり着いて、故郷の川を目指す最後の旅に出ます。いわゆる「サケの遡上(そじょう)」です。鮮やかな婚姻色をまとったサケの群れは、秋の北海道ではおなじみの光景となっています。

種を残すための闘いは、まさに修羅場!

里帰りした雄は、卵を孵化させるのに十分な広さと深さの産卵床を作り、雌を誘い込みます。産卵床を気に入った雌は体を震わせながらそのなかに卵を産み落としますが、雄にとってはこの前後がまさに修羅場となります。雄は産卵中の雌に寄り添いながら放精しますが、その頃合いを狙って別の雄が割り込み、チャッカリ受精させてしまうことも少なくないからです。
雌は、尻尾で砂利を撒き上げて卵を保護します。こうした一連の行動を3〜5回ほど繰り返し、数千もの新しい子孫を残して旅を終えます。この作業は大変なストレスになるので、その後はさすがに力つき、ホッチャレと呼ばれる屍骸(しがい)となってしまいます。

遡上するサケは栄養を蓄え、脂もたっぷり

サケが一生の間に何度も生活の場を変える理由は、河川より海のほうが水温が安定していて、エサが豊富なためです。それを裏付けるかのように、遡上するサケたちは数千キロの長旅でエサを捕食しながら栄養を蓄え、はち切れんばかりに脂がのった体で、数千個もの卵と数百億もの精子を放出することができるようになるのです。
荒巻にされるのは遡上の時に東北へ上がるシロサケで、「鉤鼻(かぎばな)」と呼ばれます。現地では「南部の鼻曲がり」と呼ばれるこの恐ろしい形相は、海水から淡水への移動に伴うストレスホルモンの変化と骨粗鬆症に似たカルシウム代謝の変化が起因しています。

抗酸化作用が強く、疲労回復の強い味方

サケの身は捨てるところがなく、鼻先の軟骨である氷頭(ひず)、頭、胸びれのついている部分であるかま、エラ、ヒレ、身、卵、内臓、皮、尾までしゃぶり尽くされてきました。石狩鍋など、各地の郷土料理にも数多く登場します。
栄養バランスもよく、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルのほか、抗動脈硬化作用のあるEPAやDHAも多く含まれます。サーモンピンク色と称される身肉の正体は、アスタキサンチンと呼ばれるβカロチンなどの仲間であり、極めて強い抗酸化作用を持っています。酸化ストレスの軽減は、疲労回復のためにも不可欠です。何かと慌しいこの季節。サケは疲れた時にこそ食べたい、優れた食材といえるのです。


サケ目サケ科サケ属の魚。体長は種によるが80cm ほど。一生のほとんどを海で過ごすにも関わらず淡水魚に属し、生物学的には速筋から成る白身魚に分類される。
由来は、アイヌ語で夏の食べ物「シャケンベ」「サクイベ」から「サケ」「シャケ」、保存食用のサットカム(乾魚)の転訛、身肉が「裂け」やすいなど諸説ある。
サケは標準和名で一般的にはシロサケを指すが、ベニザケ、ギンザケ、カラフトマス、サクラマス、キングサーモンなどを総称していることもある。

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