元気の雑学

2011年6月15日公開分

Vol.12トキにもビタミンB1が大切!?

はじめに

みなさん、トキ(朱鷺)をご存知でしょうか。
知らない人はいないと思われますが、トキは学名Nipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)といい、 コウノトリ目トキ科の鳥です。19世紀までは日本・中国など東アジアに広く分布していましたが、乱獲や環境の変化等により日本産のトキは2003年に絶滅(正確には、野生絶滅)してしまいました。現在では日本産と同一種の中国産のみとなり、日本は中国からツガイの2羽を受け入れて佐渡トキ保護センターで1999年から人工繁殖を開始、2011年3月時点で140羽まで増えています。

原因はトキの偏食?

人工繁殖によって増えたトキは2008年より放鳥を開始していますが、本年3月、放鳥に向け野生復帰訓練中のトキに「飛行中にバランスを崩す」、「池に落ちて溺れる」、「ふらつく」などの異常行動が認められたとの報道がありました。優雅に飛行し歩き回るトキに一体何が起きたのでしょうか。
理由は、トキの好き嫌い、つまり偏食にあったようです。
トキはクチバシの触覚が発達しており、野生ではそれを湿地や田んぼなど泥の中にさしこみ、ドジョウやカエルなどを捕食するのですが、訓練中は好物のドジョウばかり食べていたようです。

偏食でビタミンB1不足に!

ドジョウ、コイなどの淡水魚にはビタミンB1を分解する酵素アノイリナーゼ(※1)が含まれていて、トキのようにドジョウばかり偏食すると、ビタミンB1が分解・欠乏してしまい、脚気(かっけ)(※2)
症状が発現してしまいます。この結果、飛行や歩行に障害を起こすことがあるのです。
幸いなことに、このような症状を呈した個体にビタミンB1を注射したところ、すぐに元気になり、訓練を再開できたとのことした。

※1 アノイリナーゼ(チアミナーゼ):ビタミンB1(チアミン)分解酵素で、淡水魚(コイ、フナ、ドジョウなど)、二枚貝(アサリ、ハマグリ、シジミなど)、シダ類(ワラビ、ゼンマイなど)に含まれるが、加熱により分解される
※2 脚気:ビタミンB1欠乏症の一つで、ビタミンB1の欠乏によって全身の倦怠感、食欲不振、むくみ、しびれなどをきたす病気である。症状として、下肢(脚)の「むくみ」・「しびれ」・「腱反射の低下」などが起きることから「脚気」の名で呼ばれる。心臓機能の低下・不全を起こしたときは「脚気衝心(かっけしょうしん)」と呼ばれる。

食生活を見直してみよう

この脚気、昔は人間においてもよく見られたもので、日本では江戸時代に「江戸わずらい」として、また大正時代には2万人以上の死者がでて「国民病」とまでいわれました。しかしながら、その原因がビタミンB1の欠乏であることが突き止められ、フルスルチアミンをはじめとするビタミンB1誘導体の普及によって、現在ではほとんど見かけることはなくなりました。
ただ、栄養が十分になった現代でもビタミンB1の潜在性欠乏(脚気まではいかないがその手前の状態)があるといわれています。その症状は「疲れやすい」や「朝起きるのがつらい」といったものがありますので、そのような症状がある場合には、食生活を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

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