元気の雑学

2011年3月23日公開分

Vol.11カワイイふりして、あの子!?

出典:武田薬報462号監修:大阪市立大学大学院医学研究科生化学分子病態学講座教授 井上 正康

はじめに

突然ですが、クイズです。「マダガスカル、モルディブ、セイシェル、トマト」。
これらに共通する言葉は何でしょうか?
どれも地名のように聞こえますが、トマトが腑におちないですよね…。
答えは、「クマノミ」です。
前回はサンゴ礁の海で婚活に勤しむコブシメの健気な男子諸君が登場しましたが、今回はクマノミの逞しい女子のお話をご紹介いたします。

女性社会のクマノミ

クマノミといえば、アカデミー長編アニメ賞に輝いたディズニー映画『ファインディング・ニモ』の主人公が思い浮かぶ方も多いと思います。実は映画で描かれている彼らの様子と本来の生態は、学術的にみるとかなり異なります。
クマノミは和名で隈之魚(くまのみ)と書きます。「隈」は歌舞伎役者の派手な化粧「隈取(くまどり)」のことで、赤やオレンジの体に鮮やかな白い線が入っている様子に由来し、「魚(み)」は魚介の総称で魚名の語尾につけられます。歌舞伎役者といえば誰もが知る典型的な男性社会ですが、クマノミは見た目からでは想像がつかない“女性強し!”の世界なのです。

クマノミとは?

一般にクマノミと呼ばれる魚は、スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科(Amphiprioninae)に属する。全28種のうち日本には6種が生息。関東以南の南日本と西部太平洋、インド洋にかけて分布。体長は15cmほど。

クマノミの生存競争は激しすぎる!?

クマノミはイソギンチャクを棲家とし、体の大きな雌と雄の成魚が一匹ずつと、数匹の小さな幼魚が群れで生活しており、一見、その集団は仲睦まじい家族を連想させます。確かに雌と雄はペアで繁殖しますが、この幼魚がペアの子どもとは限りません。彼らの棲家には厳しい序列があり、体が一番大きいのが雌、二番目に大きいのが雄、三番目以降は性的に未成熟な両性具有※の若者です。つまり、この世に生をうけた時には未だ性別が決まっていないのです。しかも、ペアは自分達が群れを支配し続けられるように、三番目以降の若者を追い回してストレスを与え、餌を捕るエネルギーを削ぐといいます。


何かの理由で一番大きな雌がいなくなると、群れで二番目に大きい雄が雌に変わり、三番目の個体が雄に昇格します。こうして性転換をしながらも、群れのリーダーは常に雌と決まっています。映画『ファインディング・ニモ』では母親がバラクーダに襲われて不在になりますが、この時点で父親(雄)が雌に性転換するのが本来の姿なのです。
若者は厳しい条件に負けずに体を大きくしない限り、子孫を残すチャンスはありません。何年たっても三番目以降のままです。大奥顔負けのこの徹底されたピラミッド構造は、我らが会社組織での出世競争よりも過酷ではないかと同情したくなります。

※両性具有:精巣と卵巣の両方を有する

クマノミで癒されよう

クマノミはその愛らしい姿からサンゴ礁の生物では最もポピュラーな魚です。レジャーダイビングのみならず、飼育用としても人気が高く、水族館へ行かずとも街のペットショップで見かけることも珍しくありません。歌舞伎役者の睨みに負けず劣らず、ビビッドな色彩を放つボディはまさにビタミンカラー。雌の逞しさを現代の人間社会に重ねながら、見る「元気の源」で疲れを癒すのはいかがでしょうか。

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