元気の雑学

2010年8月26日公開分

Vol.5サンゴも夏バテするって本当?

出典:武田薬報460号監修:大阪市立大学大学院医学研究科生化学分子病態学講座教授 井上 正康

はじめに

南国の青い空の下に映える白い砂浜とエメラルドグリーンの海。そして海中には色鮮やかな魚たちが生息しているサンゴ礁…。光合成により多量の酸素を産生していることから、サンゴは植物と間違われやすいのですが、実は“珊瑚虫”と呼ばれるれっきとした動物です。近年、世界中のサンゴ礁でサンゴが真っ白になる「白化現象」が起きています。これはサンゴのストレスによる疲労困憊状態であり、「サンゴの夏バテ」といえる現象です。今回は、サンゴの「疲れ」を通じて、私たちの疲労との関係性を見ていきましょう。

多くの恩恵を与えてくれるサンゴ

サンゴ礁は世界の海に占める割合が極めて少ないにもかかわらず、その海には世界の約25%の魚が棲むといわれ、生態系のなかでも特に生物の多様性が高いといえます。ちなみに、サンゴ礁とは、サンゴの骨格や貝殻などで積み重なってできた「地形」を意味し、サンゴは体内に共生している植物・褐虫藻(かっちゅうそう)※から生きていくのに必要な栄養分の95%以上をもらっています。

※褐虫藻(かっちゅうそう)
単細胞藻類。サンゴ礁を形成する造礁サンゴ(サンゴ)やクラゲ、イソギンチャクなどの体の中に住んでいる。造礁サンゴは、褐虫藻からの光合成で作った栄養以外に自らの触手で動物性プランクトンを捕食することで栄養を摂取している。

そのサンゴ礁がもたらす海洋資源は、酸素、食材、医薬品等の生物資源、あるいは観光資源としても利用され、私たちの生活に大きな恩恵を与えてくれます。

サンゴの「夏バテ」とは?

近年、世界中のサンゴ礁でサンゴが真っ白になる「白化現象」が起きています。
これは、気候変動による海水温の上昇や紫外線等の過度のストレスに耐えられなくなった褐虫藻がサンゴから逃げ出し、自らは栄養分を作ることができない白い体が透けて見えている状態なのです。いわば、ストレスによる疲労困憊状態であり、サンゴの「夏バテ」といえます。

疲労は早い対処が大切

ヒトは紫外線を浴びると日焼けして黒くなりますが、サンゴは逆に白くなります。
「サンゴの白化=死」と誤解されがちですが、この様な状態でもしばらくの間、サンゴは生きています。つまり、早い時期にストレスを取り除いてあげれば、元の美しい体を回復することができるのです。現代の私たちは小麦色の肌よりも美白がもてはやされている時代ですが、サンゴにとって白は生命が脅かされる危険信号なのです。紫外線が日焼けだけでなく、疲労や遺伝子変異も誘起するのは、ヒトもサンゴも同じなのです。ヒトは夏バテの時にはビタミン剤等で栄養補給し、日焼けによるシミやソバカスには日焼け止めクリーム等で対処することができます。


つまり、「疲れ」に早めに対処しなければならないことに関していえば、ヒトもサンゴも同じです。紫外線やストレスなどから私たちが感じている「疲れ」に対して、いかに早めに対処し、健やかな毎日を過ごしていくかが大切です。

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